あなたを鳥にしたい。(連載中)
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世界なんて消えろ。あ、でもまってそれはダメだ。
「ウチの願望のせいで頭が消えてしまうのはよろしくない」
世界が消える=この世のもの全て消える=漫画消滅、作者消滅=ONEPIECE消滅=キッドの頭消滅。
最悪な方程式(もはや式ですらないが)が頭にうかんできたので撤回することにする。ほかにも、色々な好きな物が消えてしまうのはいやだなぁ。そもそも世界が消えるときにはウチも消える訳なのでかまわないと言えばかまわないのかもしれないけれど。
別に、頭のグッズを集めまくっているとか、そういうわけではない。そこまでオタクではない。気持ちとしては頭のことオタク並みに好きでいる自身はあるけれど。けど金がないのでフィギュアとか買えないからラバーストラップとかを持っている程度。お部屋にある頭グッズはキーホルダーが三つだけなので、ちょっとだけ好きって程度にしか見えないだろう。いや、金が有れば好きなだけ買うけどね。
だってほら、今せっかく大型ショッピングモールに来ているのに、お昼を食べたウチの残金はわずか150円。何が買えるんだコレで。バイト禁止の高校生はオタク活動にいそしむほどお金持ちじゃない。常に貧困なのだ。月のお小遣いは3000円。
楽しげに歩く人々の間をすり抜けて歩く。母から頼まれた…ってか押しつけられた買い物も済ませたのではやくこの騒がしい場所を抜けようと思う。
あ、でもあの駄菓子屋さんよりたいな。ショッピングモールに似つかわしくない「作られた古さ」で周りから浮いている駄菓子屋が目にとまった。駄菓子屋ならこれくらいのお金でもなんかうまいもの売ってるかも。
駄菓子屋は、昔を懐かしむ大人で溢れていた。150円でもそこそこ買えそうかな。と、人を避けたひょうしになにかを棚から落としてしまった。拾い上げるとそれはONEPIECEの筒状の箱だった。あれか、中に縦長のポスターとガムがが入っているヤツ。誰のがはいってんだろ。今人気のトラファルガーさんかしら。裏側を見ると、トラファルガーの姿はない。もしかしたらシークレットなのかも。てか待って。ウチは箱を二度見した。
「頭…!」
頭がいる…!え、うそでしょなんてこった!これいくらですか!?え、百円+税込み!?全十種類だから確率は単純に言って十分の一…。私の残金をかけるか?
棚を見れば、まだまだたくさんポスターはあって、今拾ったのと違うのに変えるか少し迷う。だけど自分の手で選んで頭がでなかったらショックすぎるから…ここはおっこちたこの箱にかけようと思う。
「すんません、会計お願いします」
そして、買ってしまった。残金約90円。だ、大丈夫!
まい棒なら買えるから!
とりあえず袋から取り出し恐る恐る箱を開けた。
…見えねぇ。さすがに丸まったポスターからわずかに覗く足だけでは判断が難しい。
取り出して開くと、神が降臨しました。
「…ありがとう神様!」
頭!なんてりりしい頭!
今までアニ●イトとか行くと母に無駄遣いするなって怒られるし、もちろんネット注文とかもバレると怒られるし、グッズ見つけてもなかなかお金が足りなかった。(ウチの両親は道場主で、生徒達にはやさしいくせに娘の私のことはほっときっぱなしで、そのくせオタクみたいな事をすると道場主の娘にふさわしくないとか意味のわからんことを言うのだ)
そんなウチに、まさかの百円ポスターが愛と勇気をくれました。
ありがとう神様。
もう少しがんばって生きることにします。