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(アニメしか見ておりませんので、犬の話は「オーベルシュタインが犬を飼い始めたらしい」という程度しか把握しておりません。
その前提で書いておりますので、原作などにもっと細かい説明がありこの話だとつじつまが合わない、ということがあるやもしれませんがご容赦下され。
一応ネットで調べてはみましたが。)
オーベルシュタインが犬を飼いはじめた。しかもその犬のため深夜肉を買いに出かけたらしい。
ミュラーがそんな話を持ちかけた時上級大将たちはまさか想像しなかっただろう。
オーベルシュタインが養い始めたのが老犬だけではなかったことを。
上級大将たちがおもしろげにその話をしている頃、執務を終え我が家へ帰宅したオーベルシュタインはどうにも、落ち着かない気分でいた。
と言うのも、昨晩まで自分のほかには執事のラーベナルトしかいなかった広い邸宅に、一匹の老犬とうら若き少女がいるのである。
落ち着かなくてあたりまえだ。
「おかえりなさいパウル様」
朝家を出るときラーベナルトに彼女の服装を整えてやるように命じたが、それはしっかりと実行されたようである。
彼女は名をフロイラインという。
なぜ彼女がこの家に引き取られたかと言うと、なかなか面倒なことがあったのだ。
昨晩に至る前まで、オーベルシュタイン宅の周りで老犬がうろついていた。
これが今まさに肉をむさぼっているあの犬である。
オーベルシュタインが衛兵と警備のことを話し合っていると、老犬はオーベルシュタインの隣に座り込んだ。
衛兵はオーベルシュタインの犬かと尋ねた。なるほど、この迷い犬は私の犬に見えたのか。オーベルシュタインは不意にそう考えて、では責任でも取ってやろうか、どうせ老い先は短そうだと犬を養うことにしたのだった。
気まぐれが向いただけだが問題はそのあとである。
老犬は散歩をしたがった。そこでオーベルシュタインはラーベナルトにそれをいいつける。
そしてラーベナルトが帰ってきたとき、なんと一人増えていたのだ。
少女は暴行を受けた後の様子でひどく憔悴していた。老犬はそんな彼女をいたわるようにクンクン鳴き、少女もうっすら目を開けて犬を抱きしめた。
どうやらこの犬の飼い主はこの少女だったようなのだと執事は言った。
オーベルシュタインは犬にしてやられたのだ。連れて帰ってきたものを放り出すわけにもいかず、オーベルシュタインは少女も保護したのだった。
「ラーベナルトさんが着せてくれました。おかしくありませんか?」
「まぁ、悪くないだろう」
女性から服の感想を求められたことのないオーベルシュタインである、当たり障りなくそう答えると彼女は嬉しげに笑った。
「食事は済ませたのか」
「いいえ、この家の主より先にいただけるわけがないわ。あー……あのこは犬だから」
フロイラインは構いもせず肉を食べ続ける老犬に苦笑していった。
「まだなら食卓に着きなさい。
この時間ならばラーベナルトが夕食の支度を済ませているはずだ」
「はい、パウル様」
フロイラインはうまく行儀よくできないことに悪戦苦闘しながら食事をした。
テーブルマナーなどよく知らないようだ。
オーベルシュタインは特に何も言わないでおいた。
そのうちラーベナルトからまなぶであろうと。彼女はまた、自分の生い立ちについていろいろと話した。
どうやらオーベルシュタインが自分を知ってくれれば少しは警戒の念も薄れるのではないかと思っているらしい。
残念ながら何の特殊能力もない少女をオーベルシュタインはまったく警戒していなかったが。
ひとしきり話し終えて、オーベルシュタインがナイフとフォークを置くと、フロイラインは不安そうな顔で言った。
「あの、やっぱり私の話なんて面白くなかったですか?」
「面白い必要はあったか」
「いえ、ないですけど……せっかく仕事を終えて帰ったのに、つまらない話をお聞かせしてしまったかなって。ごめんなさい」
「卿は私に伝えるべき事項を伝えたまでだ」
フロイラインはきょとんとして、一息おいてから次の瞬間にはもう笑っていた。
何がそんなに楽しいのかオーベルシュタインにはよく分からなかったけれど、とにかくフロイラインは嬉しそうなのだ。
「パウル様って面白い人なのね」
「君は感性がずれているようだ」
「そんなことありません。
そうだ、じゃあ明日からはパウル様の「伝えるべき事項」を聞かせていただかないと」
「私が伝えることなどないと思うが」
「いいえ。パウル様が嫌いなこととか、きちんと教えていただかないと。
養っていただいているのに変なマネできないですもの。ね?」
ふん、くだらん。
いつもならそんな一言で済むはずなのに、夕食を満足して終えた老犬がオーベルシュタインの足元にとぐろをまくと、彼はそういう気にもなれなかった。
かわりに、「卿の気が済むなら」と彼らしからぬ風に答えたのだった。
どうにも昨晩から、オーベルシュタインは自分を見失っているような気もする。
ただ未知なる自分を知る機会になると思って、とりあえずしばらくは老犬と少女を養ってみようと思う。
犬と彼女
あとがき
いえ、オーベルシュタイン嫌いですよ。嫌いだったんですけど結果的こうしてかくくらいには萌えを見出しました
今では好きです笑
その前提で書いておりますので、原作などにもっと細かい説明がありこの話だとつじつまが合わない、ということがあるやもしれませんがご容赦下され。
一応ネットで調べてはみましたが。)
オーベルシュタインが犬を飼いはじめた。しかもその犬のため深夜肉を買いに出かけたらしい。
ミュラーがそんな話を持ちかけた時上級大将たちはまさか想像しなかっただろう。
オーベルシュタインが養い始めたのが老犬だけではなかったことを。
上級大将たちがおもしろげにその話をしている頃、執務を終え我が家へ帰宅したオーベルシュタインはどうにも、落ち着かない気分でいた。
と言うのも、昨晩まで自分のほかには執事のラーベナルトしかいなかった広い邸宅に、一匹の老犬とうら若き少女がいるのである。
落ち着かなくてあたりまえだ。
「おかえりなさいパウル様」
朝家を出るときラーベナルトに彼女の服装を整えてやるように命じたが、それはしっかりと実行されたようである。
彼女は名をフロイラインという。
なぜ彼女がこの家に引き取られたかと言うと、なかなか面倒なことがあったのだ。
昨晩に至る前まで、オーベルシュタイン宅の周りで老犬がうろついていた。
これが今まさに肉をむさぼっているあの犬である。
オーベルシュタインが衛兵と警備のことを話し合っていると、老犬はオーベルシュタインの隣に座り込んだ。
衛兵はオーベルシュタインの犬かと尋ねた。なるほど、この迷い犬は私の犬に見えたのか。オーベルシュタインは不意にそう考えて、では責任でも取ってやろうか、どうせ老い先は短そうだと犬を養うことにしたのだった。
気まぐれが向いただけだが問題はそのあとである。
老犬は散歩をしたがった。そこでオーベルシュタインはラーベナルトにそれをいいつける。
そしてラーベナルトが帰ってきたとき、なんと一人増えていたのだ。
少女は暴行を受けた後の様子でひどく憔悴していた。老犬はそんな彼女をいたわるようにクンクン鳴き、少女もうっすら目を開けて犬を抱きしめた。
どうやらこの犬の飼い主はこの少女だったようなのだと執事は言った。
オーベルシュタインは犬にしてやられたのだ。連れて帰ってきたものを放り出すわけにもいかず、オーベルシュタインは少女も保護したのだった。
「ラーベナルトさんが着せてくれました。おかしくありませんか?」
「まぁ、悪くないだろう」
女性から服の感想を求められたことのないオーベルシュタインである、当たり障りなくそう答えると彼女は嬉しげに笑った。
「食事は済ませたのか」
「いいえ、この家の主より先にいただけるわけがないわ。あー……あのこは犬だから」
フロイラインは構いもせず肉を食べ続ける老犬に苦笑していった。
「まだなら食卓に着きなさい。
この時間ならばラーベナルトが夕食の支度を済ませているはずだ」
「はい、パウル様」
フロイラインはうまく行儀よくできないことに悪戦苦闘しながら食事をした。
テーブルマナーなどよく知らないようだ。
オーベルシュタインは特に何も言わないでおいた。
そのうちラーベナルトからまなぶであろうと。彼女はまた、自分の生い立ちについていろいろと話した。
どうやらオーベルシュタインが自分を知ってくれれば少しは警戒の念も薄れるのではないかと思っているらしい。
残念ながら何の特殊能力もない少女をオーベルシュタインはまったく警戒していなかったが。
ひとしきり話し終えて、オーベルシュタインがナイフとフォークを置くと、フロイラインは不安そうな顔で言った。
「あの、やっぱり私の話なんて面白くなかったですか?」
「面白い必要はあったか」
「いえ、ないですけど……せっかく仕事を終えて帰ったのに、つまらない話をお聞かせしてしまったかなって。ごめんなさい」
「卿は私に伝えるべき事項を伝えたまでだ」
フロイラインはきょとんとして、一息おいてから次の瞬間にはもう笑っていた。
何がそんなに楽しいのかオーベルシュタインにはよく分からなかったけれど、とにかくフロイラインは嬉しそうなのだ。
「パウル様って面白い人なのね」
「君は感性がずれているようだ」
「そんなことありません。
そうだ、じゃあ明日からはパウル様の「伝えるべき事項」を聞かせていただかないと」
「私が伝えることなどないと思うが」
「いいえ。パウル様が嫌いなこととか、きちんと教えていただかないと。
養っていただいているのに変なマネできないですもの。ね?」
ふん、くだらん。
いつもならそんな一言で済むはずなのに、夕食を満足して終えた老犬がオーベルシュタインの足元にとぐろをまくと、彼はそういう気にもなれなかった。
かわりに、「卿の気が済むなら」と彼らしからぬ風に答えたのだった。
どうにも昨晩から、オーベルシュタインは自分を見失っているような気もする。
ただ未知なる自分を知る機会になると思って、とりあえずしばらくは老犬と少女を養ってみようと思う。
犬と彼女
あとがき
いえ、オーベルシュタイン嫌いですよ。嫌いだったんですけど結果的こうしてかくくらいには萌えを見出しました
今では好きです笑