君の夢を捕まえに
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「うぅ…」
「あ!前が覚めたぞ!ルフィ、目を覚ましたみたいだ!」
まぶしい。体が重い。目を開けると、木目の天井が見える。
夢でも見ているのか。夢なら、せめてからだは万全だと嬉しいのだけれど…。セアラは思いながら、瞬きをする。視界に何かが映っている。
「あ、トナカイさんがいる…夢だ…」
「あ、おい! 夢じゃないぞ!」
「え…」
セアラは思わず起き上がり、軋む体に悶絶した。
「だめだよ、まだじっとしてなきゃ」
「あだだだだだ、めっちゃ痛い…」
「グランデラインの真ん中で沈没した船の上にいるのを見た時は、もう死んじゃったのかと思ったけど、目が覚めたみたいでよかった」
「お!チョッパー!おきたのかー?」
部屋の入り口に目をやると、麦わら帽子の少年が無邪気な笑みを浮かべて立っていた。どこかで見たことのある顔だ。どこかで…
「……っぬああああ!!!」
「お、なんだ?」
「うわあああああ麦わらああああ! 嘘! ここ! 麦わらの船!?!?なんで!?!?てか今どこ、今どこなの!?!?」
「おおお、落ち着いてくれよ。ここはシャボンディ諸島の手前の海だ!」
「しゃぼんでぃ!? 」
まじか、とベッドにリターンしたセアラに、トナカイもといチョッパーが聴診器を当てる。
「あとはゆっくり休めば回復するよ」
「そっかぁ、よかったなお前」
「う、うん…あの、ところで私がどこのだれかって、知ってる?」
「知らねぇ~」
「なんで、助けたの?」
自分を誰とも知らない、それでは拾った理由など見当たらない、思わずそう聞けばルフィはちょっとだけ考えてから答えた。
「お前、船の上で泣いてたから」
セアラは面食らって、それだけ?と思わず聞き返した。
「おう、そんだけだ! どうせ明日には島に着くし、飯食ってけ!そこで下ろしてやる!」
うん、そうしよう、と彼は自分でも納得したように繰り返すと、飯!と叫びながら部屋を去っていった。
麦わらの海賊団は、その賞金額とは見合わないほど明るくにぎやかで、騒がしかった。セアラは思わず自分はたまたまあそこに浮いていたのではなく海賊だと自ら言ったが、他のクルーたちもルフィが決めたことだからと大して気にしていないようだった。
「なあ、お前のところって楽しいか? どんな海賊なんだ?」
宴を兼ねた夕食では、ルフィは興味津々にそう聞いてきた。
「あんまりほかの海賊団の話って聞かないし、私も気になるわ」
「お前のところは強い剣士はいるか?」
「あ、うん…副船長は、すごく強い剣士だよ」
「船長はどんな人なの?」
ニコ・ロビンの質問に、セアラは一瞬言葉を詰まらせた。
「どうした、お前。なんか泣きそうだぞ? ひでえやつなのか?」
「もしかしてそいつに放り出されて浮いてたのか?」
「違うの! 私が勝手に出てきたの。チョッパー、心配してくれてありがとう。私…あんまりパッとしないから、ちょっとそれがコンプレックスで…パッとしようと思って船を出て一人で活動してみたんだけど、たった数か月で敵に負けて、それで浮いてたの。
たぶん、うちの船長もシャボンディ諸島にいると思う。でも勝手に出て行って、勝手に死にかけて、おまけに他の海賊に助けられて、もう、合わせる顔もないなって」
「ふーん、俺はパッとしないとは思わねぇけどな」
上の方から相槌が飛んでくる。二階のへりに腰かけていた海賊狩りのゾロが、降りてくると一枚の紙を一味に見せた。最初に声をあげたのは航海士ナミだった。
「げ! あんた賞金首…!?」
「うん。それまだ名前もばれてないでしょう? ソロ活動で2000万からそこまであがったんだけど、ねらわれちゃってね」
「へえ~こんなかわいい子が5000万か!」
黒足のサンジが驚いたように言った。
「助けてもらったし、もちろんここでは何もしないよ」
「お前、島に着いたら船長探すのか?」
「どうしよう、私…」
せっかくの楽しげな夕食の時間が、少し沈んだ空気になってしまう。それでもいろいろと想像を巡らせると、不安な気持ちでいっぱいになる。
お前なんかもういらないと言われてしまうのだろうか。
思いきりなぐられるだろうか。
舌打ちだけして、いなかったことにされるのか。
裏切り者として、キラーあたりに暗殺でもされるのだろうか。
みんなといままで築いてきた信頼はある。それでもそれを先に裏切ったのでは自分だ。信頼が厚いからこそ、どんな風になるのか見当もつかない。
「俺は~のこのこ戻っても、いいと思うけどな」
狙撃手ウソップは、セアラの顔色を伺いながらそういった。
「そうだぜ! 仲間がス~パ~になって戻ってきたら、うれしいじゃねぇか!」
「賞金が変わっただけだけど…」
「ヨホホ、だいじなのは、生きて会うことです!」
「え!骸骨がしゃべった!?!?」
「「「今更かい!!」」」
最初からいたのにブルックに気が付かなかったセアラに、一味はそう突っ込んで笑った。