君の夢を捕まえに
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あの島を出港して一か月以上経った。クルーたちにとって長すぎる一か月だった。そろそろ全員に限界が近くなっていた。キッドのじろりと船内を見回す鋭い目つき、飲みっぱなしで転がる酒瓶、明らかに良いとは言えない機嫌。キッドはまだ気が落ちつかないままだ。彼にとって自分のクルーがいなくなることは最も許せない事のうちの一つだった。
それも誰かに殺されたわけでもなく、自らの意志で消えたのだから、腹の底で煮えるものは収まらない。
何が悪かったのか、何が気に食わなかったのか。嬉しそうにこの船に乗ることを選び、後ろをついてきたあの顔は嘘だったのか。俺たちに信頼はなかったのか。
「キラーさんには負けるけど、わたし頭が一番大事! だから、どんな時でも頭の為に道を選ぶ」
いつだか、そんな風に言っていたのは誤りだったのか、全て嘘だったのか。
自分はその嘘を見抜けずにいい気分にさせられていただけなのか。何をそう考えても、気持ちの落としどころは見つからなかった。
しかし船を止めることはできない。一行は前半の海最後の島、シャボンディ諸島を目指して進み続けるしかなかった。
そんな中、立ち寄る島、立ち寄る島でおかしな話を聞くようになった。
「ワンピースは、ひとつなぎの大秘宝はあります、そう信じています」
人々はそういう態度をとるようになったのだ。中には「ひとつなぎの大秘宝を信じます」という看板すら掲げる店もあるのだという。どういうことなのか。それは今まででは信じがたいことだった。いくら新世界が近くなってきたからと言って、そう島の住人の意識は変わるものだろうか。薄々感じるうさん臭さに、何かがあるのかと疑わずにはいれない。
そして一行は、とある島で実際にそういった看板を扉に掛けている店を発見したのだった。
店内はいたって普通だった。キッドは掌を返されでもしたようなむしゃくしゃした気分になった。代わりに、落ち着いた様子のヒートたちが店主に尋ねた。
「やっぱりこの辺の海にまで来ると、ワンピースっていうのも現実味があるものって認識なのか?」
尋ねられた店主はグラスを拭きながらこう答えた。
「いやぁ、そいつはお守りみたいなもんさね。親戚の店で不吉なことがあってから、扉にあんな文句を書き連ねて下げてある」
話はこうだ。店主の親戚の店に、新世界を引き返した海賊が来たという。彼らは新世界など嵐吹き荒れ、奇妙な生き物がのさばるだけの地獄、あんなところに大秘宝などない、あったとしても巨大な生き物の腹の底だ。見つかりっこない。仮にラフテルがあるのだとしても、たどり着けるわけがない。あれはもう神の世界、神話なんだ、現実じゃない。そんな世界を旅するよりも、故郷に帰る方がいい。俺たちはこの海に教えてもらったんだ、生まれ故郷を大事にしろと。それが神様からのせめてもの贈り物だ。
それは新世界を引き返す海賊たちの多くが口にすることだった。
するとその場にいた小柄な人間が、店ごと破壊してその海賊を八つ裂きにしたという。
「その人間ってのは、男か?」
「さぁな、わからんよ。全身黒づくめで顔はわからんかったそうだ。その親戚は今ウチの家に避難してきてるが、あまりのショックに寝込んでる。あいつの店だけじゃねぇ、そういう目にあった海賊と巻き込まれた店がいくつもある。何が目的なんだか。そいつは一通りそういった海賊を殺しては次の島へ姿を消す。だから俺たちみたいに、海賊が立ち寄る店じゃああいう看板がはやってるのさ。
別の場所でやってほしいもんだ、まったく。ひどい話じゃ、阿知良さんの方からワンピースを信じるかと問いかけて、信じるわけがないと大笑いをした人間を殺したってのもきいたな。うわさに留まるが、当たり屋だな完全に」
店主はそういい終えると、今朝の新聞を一行に渡した。
そこにはフードに顔を隠す人物の写真が載っていた。
通り魔 ファントムキラー
懸賞金5000万ベリー
それも誰かに殺されたわけでもなく、自らの意志で消えたのだから、腹の底で煮えるものは収まらない。
何が悪かったのか、何が気に食わなかったのか。嬉しそうにこの船に乗ることを選び、後ろをついてきたあの顔は嘘だったのか。俺たちに信頼はなかったのか。
「キラーさんには負けるけど、わたし頭が一番大事! だから、どんな時でも頭の為に道を選ぶ」
いつだか、そんな風に言っていたのは誤りだったのか、全て嘘だったのか。
自分はその嘘を見抜けずにいい気分にさせられていただけなのか。何をそう考えても、気持ちの落としどころは見つからなかった。
しかし船を止めることはできない。一行は前半の海最後の島、シャボンディ諸島を目指して進み続けるしかなかった。
そんな中、立ち寄る島、立ち寄る島でおかしな話を聞くようになった。
「ワンピースは、ひとつなぎの大秘宝はあります、そう信じています」
人々はそういう態度をとるようになったのだ。中には「ひとつなぎの大秘宝を信じます」という看板すら掲げる店もあるのだという。どういうことなのか。それは今まででは信じがたいことだった。いくら新世界が近くなってきたからと言って、そう島の住人の意識は変わるものだろうか。薄々感じるうさん臭さに、何かがあるのかと疑わずにはいれない。
そして一行は、とある島で実際にそういった看板を扉に掛けている店を発見したのだった。
店内はいたって普通だった。キッドは掌を返されでもしたようなむしゃくしゃした気分になった。代わりに、落ち着いた様子のヒートたちが店主に尋ねた。
「やっぱりこの辺の海にまで来ると、ワンピースっていうのも現実味があるものって認識なのか?」
尋ねられた店主はグラスを拭きながらこう答えた。
「いやぁ、そいつはお守りみたいなもんさね。親戚の店で不吉なことがあってから、扉にあんな文句を書き連ねて下げてある」
話はこうだ。店主の親戚の店に、新世界を引き返した海賊が来たという。彼らは新世界など嵐吹き荒れ、奇妙な生き物がのさばるだけの地獄、あんなところに大秘宝などない、あったとしても巨大な生き物の腹の底だ。見つかりっこない。仮にラフテルがあるのだとしても、たどり着けるわけがない。あれはもう神の世界、神話なんだ、現実じゃない。そんな世界を旅するよりも、故郷に帰る方がいい。俺たちはこの海に教えてもらったんだ、生まれ故郷を大事にしろと。それが神様からのせめてもの贈り物だ。
それは新世界を引き返す海賊たちの多くが口にすることだった。
するとその場にいた小柄な人間が、店ごと破壊してその海賊を八つ裂きにしたという。
「その人間ってのは、男か?」
「さぁな、わからんよ。全身黒づくめで顔はわからんかったそうだ。その親戚は今ウチの家に避難してきてるが、あまりのショックに寝込んでる。あいつの店だけじゃねぇ、そういう目にあった海賊と巻き込まれた店がいくつもある。何が目的なんだか。そいつは一通りそういった海賊を殺しては次の島へ姿を消す。だから俺たちみたいに、海賊が立ち寄る店じゃああいう看板がはやってるのさ。
別の場所でやってほしいもんだ、まったく。ひどい話じゃ、阿知良さんの方からワンピースを信じるかと問いかけて、信じるわけがないと大笑いをした人間を殺したってのもきいたな。うわさに留まるが、当たり屋だな完全に」
店主はそういい終えると、今朝の新聞を一行に渡した。
そこにはフードに顔を隠す人物の写真が載っていた。
通り魔 ファントムキラー
懸賞金5000万ベリー