君の夢を捕まえに
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青い空は海を青くさせる。
昨日までの海は、ある男を映し出しセアラには赤く見えていた。今は空の男がいない。一人で小さな船に乗り、物珍しいような気持ちさえ抱きながら海を滑っている。
数日前の夜、セアラは何度か船と島を行き来し、キッドからもらった金や財宝を換金しに行っていた。3度目でようやく運びきり、その金のいくらかを食つなぐために懐にしまい、残りを持ち港へ向かった。港には腕のいい船大工がいた。そのことは前日に確認に来ていたため、あとは金を渡し、頼んでいた小舟を受け取るだけだった。もともとベースはすっかり出来上がっていた船で、あとは細かな調節を頼んでいた。
キッド海賊団のログポースは、もう少しで偉大なる航路の後半、新世界に突入する。その前に、どうしてもやりたいことがあった。
ひとつ、自分の懸賞金を海賊団にふさわしい値段にまで上げること。
もうひとつ、キッドの夢をあざ笑う底辺にいる海賊どもを片っ端から痛めつけること。
セアラがキッド海賊団の一員となったのは、この偉大なる航路にはいる直前のことだった。それから今まで、一人も新しいクルーを迎えていない。賞金額もさっぱりで、船内には3億、1億、ついで何千万もの賞金のかかるクルーもいる。そんな中で存在感の薄い
セアラは、まだ2000万ベリー。これから新世界に行くというのに、これでは格好がつかない。キッドはもちろん自分の能力を買って誘ってくれたわけだから、最低でも2倍以上にはしたいとずっと思っていた。
正直懸賞金の件は建前も大きい。本当のところ、最近彼女がずっと考えてきたことは、2番目の底辺海賊たちを嬲り殺すことだった。
グランドラインも前半を終えようというところまで来て、それでもまだいるのだ、海賊とも呼べないような海賊が。
「ひとつなぎの大秘宝なんて存在しない」
南の海にいたころ、キッドたちは散々そういわれてきたという。そのたびにやつらを叩き潰してきた。
偉大なる航路に入った今でも、そういうやつらは絶えない。
かれらがわざわざ偉大なる航路で旅をする理由は、実にくだらない。
財宝が欲しい、珍しい植物や動物を見つけて一儲けしたい。また、新世界から引き返してきた海賊、入る度胸も、しかし海賊をやめる度胸もない、中途半端な連中。
全て、海賊王になる男の間にいていい存在ではない。
いまでは、キッドがいちいちそういうやつらの相手をしているのを見るのが、セアラは嫌でたまらなかった。
だからキッドに余計なことと言われてもいい、嫌われてもいい、自分のやりたい方法で、自分の主人に道を切り開きたいなんて、バカなことを考えていた。
馬鹿なことでも、それでもそのバカなことが何だか嬉しく感じられた。自分もちゃんと海賊だったのだなと再確認する。
自分も野望があって、そのためにこうして裏切りともとれるような行動に出ている。心苦しさよりも、この海の先の行方が気になって仕方ない。
「頭、待ってて。私の手配書、あなたにきっと届ける」
なんの荷物もない小舟は、風に導かれ走っていく。
昨日までの海は、ある男を映し出しセアラには赤く見えていた。今は空の男がいない。一人で小さな船に乗り、物珍しいような気持ちさえ抱きながら海を滑っている。
数日前の夜、セアラは何度か船と島を行き来し、キッドからもらった金や財宝を換金しに行っていた。3度目でようやく運びきり、その金のいくらかを食つなぐために懐にしまい、残りを持ち港へ向かった。港には腕のいい船大工がいた。そのことは前日に確認に来ていたため、あとは金を渡し、頼んでいた小舟を受け取るだけだった。もともとベースはすっかり出来上がっていた船で、あとは細かな調節を頼んでいた。
キッド海賊団のログポースは、もう少しで偉大なる航路の後半、新世界に突入する。その前に、どうしてもやりたいことがあった。
ひとつ、自分の懸賞金を海賊団にふさわしい値段にまで上げること。
もうひとつ、キッドの夢をあざ笑う底辺にいる海賊どもを片っ端から痛めつけること。
セアラがキッド海賊団の一員となったのは、この偉大なる航路にはいる直前のことだった。それから今まで、一人も新しいクルーを迎えていない。賞金額もさっぱりで、船内には3億、1億、ついで何千万もの賞金のかかるクルーもいる。そんな中で存在感の薄い
セアラは、まだ2000万ベリー。これから新世界に行くというのに、これでは格好がつかない。キッドはもちろん自分の能力を買って誘ってくれたわけだから、最低でも2倍以上にはしたいとずっと思っていた。
正直懸賞金の件は建前も大きい。本当のところ、最近彼女がずっと考えてきたことは、2番目の底辺海賊たちを嬲り殺すことだった。
グランドラインも前半を終えようというところまで来て、それでもまだいるのだ、海賊とも呼べないような海賊が。
「ひとつなぎの大秘宝なんて存在しない」
南の海にいたころ、キッドたちは散々そういわれてきたという。そのたびにやつらを叩き潰してきた。
偉大なる航路に入った今でも、そういうやつらは絶えない。
かれらがわざわざ偉大なる航路で旅をする理由は、実にくだらない。
財宝が欲しい、珍しい植物や動物を見つけて一儲けしたい。また、新世界から引き返してきた海賊、入る度胸も、しかし海賊をやめる度胸もない、中途半端な連中。
全て、海賊王になる男の間にいていい存在ではない。
いまでは、キッドがいちいちそういうやつらの相手をしているのを見るのが、セアラは嫌でたまらなかった。
だからキッドに余計なことと言われてもいい、嫌われてもいい、自分のやりたい方法で、自分の主人に道を切り開きたいなんて、バカなことを考えていた。
馬鹿なことでも、それでもそのバカなことが何だか嬉しく感じられた。自分もちゃんと海賊だったのだなと再確認する。
自分も野望があって、そのためにこうして裏切りともとれるような行動に出ている。心苦しさよりも、この海の先の行方が気になって仕方ない。
「頭、待ってて。私の手配書、あなたにきっと届ける」
なんの荷物もない小舟は、風に導かれ走っていく。