君の夢を捕まえに
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「頭、傷も落ち着いて、今は寝てます」
「ああ、ご苦労だったな。お前は今日はもう休め」
「いや、しかしまだ…」
「様子は俺が見ておく」
気にすんな、とキッドは船医を半ば追い払うように部屋に戻らせた。船医もほかの戦闘員たちと同じように疲れているはずだ。キッドももちろん疲労困憊だが、眠くはなかった。
病室のベッドで眠るセアラは、3か月前より少し髪が伸びた。
最初、ファントムキラーの手配書を見た時、男か女かもわからなかった。だがどこか見覚えがある気がして、よく見てみるとヒントがあったのだ。腕の裾がすこしだけめくれていた。その生地が赤い、それだけだった。それでもキッドは確信した。これがセアラの手配書だと。それが分かってから、キッドは嫌に落ち着いていた。あの置手紙を思い出し、ひょっとしてセアラは前々から言っていた「目立たない」を払拭しに行ったのでは、と思ったのだ。
「案の定だったな」
彼女はもちろん、海賊団の中では目立っていた。皆が豪快に闘って取り逃した敵を全てしっかり始末していたのは彼女だし、皆が気が付かない敵の狙撃手にそっと近づいて倒すのも彼女だった。だが、彼女は外からの視線を気にしていた。それはこの海賊団にいることを誇りに思っての気持ちなのだ。この海賊団を舐めさせまいと、自らの箔を上げに行ったのだ。
「まあ、たしかにお前は勝手だったが…」
「ただの身勝手だったとはいえないさ」
「…キラーか」
入り口に視線を向けると、月明かりに照らされキラーが立っていた。マスクはしておらず、やわらかい表情をしていることがすぐにわかる。
「船医と交代しようかと思ったが、お前がいるなら無用だな」
「ああ」
「キッド、わかっていたんだろう、ファントムキラーの正体」
「ああ」
「なら俺がフォローをすることもない。」
「なんだフォローってのは」
「怒ってやるな、と言ってやろうかと思っていた」
「まあ、腹は立ったが、結果残して戻ってきたんだ。十分だ。
今後は二度とこんなマネさせねぇけどな、必要もねぇだろ」
「違いない」
うう、とうめき声がして、二人の視線はセアラに移された。目が覚めたのではなく、寝言のようだ。
「キッド、それにな、クルーという意味以上に、セアラを手放すなよ」
「あ? 余計なお世話だ。こんないい女、他にいるかよ。キラー、お前にだとしてもやれねぇぞ」
「一度は同じ女の子を好いたこともあったが、昔のことだ」
「おいおい、いつの話だよそりゃあ」
キラーは楽しむように笑うと、そのまま病室を後にした。
キッドは大きくあくびをし、ベッドにに肘をついた。
今度どこかで海兵に出くわすことがあれば、ファントムキラーがキッド海賊団のセアラだったと公開してやらねば。
今回の事件で麦わらの一味と共犯として見られているのだから、また少し賞金も上がるだろう。
白いシーツに上半身を預け、キッド海賊団に夜が訪れた。
「ああ、ご苦労だったな。お前は今日はもう休め」
「いや、しかしまだ…」
「様子は俺が見ておく」
気にすんな、とキッドは船医を半ば追い払うように部屋に戻らせた。船医もほかの戦闘員たちと同じように疲れているはずだ。キッドももちろん疲労困憊だが、眠くはなかった。
病室のベッドで眠るセアラは、3か月前より少し髪が伸びた。
最初、ファントムキラーの手配書を見た時、男か女かもわからなかった。だがどこか見覚えがある気がして、よく見てみるとヒントがあったのだ。腕の裾がすこしだけめくれていた。その生地が赤い、それだけだった。それでもキッドは確信した。これがセアラの手配書だと。それが分かってから、キッドは嫌に落ち着いていた。あの置手紙を思い出し、ひょっとしてセアラは前々から言っていた「目立たない」を払拭しに行ったのでは、と思ったのだ。
「案の定だったな」
彼女はもちろん、海賊団の中では目立っていた。皆が豪快に闘って取り逃した敵を全てしっかり始末していたのは彼女だし、皆が気が付かない敵の狙撃手にそっと近づいて倒すのも彼女だった。だが、彼女は外からの視線を気にしていた。それはこの海賊団にいることを誇りに思っての気持ちなのだ。この海賊団を舐めさせまいと、自らの箔を上げに行ったのだ。
「まあ、たしかにお前は勝手だったが…」
「ただの身勝手だったとはいえないさ」
「…キラーか」
入り口に視線を向けると、月明かりに照らされキラーが立っていた。マスクはしておらず、やわらかい表情をしていることがすぐにわかる。
「船医と交代しようかと思ったが、お前がいるなら無用だな」
「ああ」
「キッド、わかっていたんだろう、ファントムキラーの正体」
「ああ」
「なら俺がフォローをすることもない。」
「なんだフォローってのは」
「怒ってやるな、と言ってやろうかと思っていた」
「まあ、腹は立ったが、結果残して戻ってきたんだ。十分だ。
今後は二度とこんなマネさせねぇけどな、必要もねぇだろ」
「違いない」
うう、とうめき声がして、二人の視線はセアラに移された。目が覚めたのではなく、寝言のようだ。
「キッド、それにな、クルーという意味以上に、セアラを手放すなよ」
「あ? 余計なお世話だ。こんないい女、他にいるかよ。キラー、お前にだとしてもやれねぇぞ」
「一度は同じ女の子を好いたこともあったが、昔のことだ」
「おいおい、いつの話だよそりゃあ」
キラーは楽しむように笑うと、そのまま病室を後にした。
キッドは大きくあくびをし、ベッドにに肘をついた。
今度どこかで海兵に出くわすことがあれば、ファントムキラーがキッド海賊団のセアラだったと公開してやらねば。
今回の事件で麦わらの一味と共犯として見られているのだから、また少し賞金も上がるだろう。
白いシーツに上半身を預け、キッド海賊団に夜が訪れた。