君の夢を捕まえに
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バーソロミューのパシフィスタに道をふさがれた時にはどうなるかと思われたが、トラファルガーとの(不本意な)共闘でなんとか危機は脱した。
キッド海賊団はコーティングを終えた船に走り込み、すぐに出向した。セアラも3か月前のように手際よく帆を張った。陸からもだいぶ離れ、一行はようやく落ち着きを取り戻していた。
つかれて甲板に座り込むクルーたちだが、セアラだけはまだ気が抜けず、縁に背を預けて立っていた。
進路確認が終われば、キッドとキラーはマストから降りてくるだろう。
「セアラ」
ワイヤーが声をかけ、座ればいいと声をかけたが、首を横に振った。
「お前、怪我してないか…? なんか血が出てるぞ」
「え?あ、これは…さっきのじゃなくて、その、開いたというか…」
あまりの急展開に当たり前のように動いてしまったが、つい数日前まで気絶するほどの怪我をしていたのだ。自覚すると、傷が痛み、頭がふらふらしてきた。怪我の自覚で一気に緊張が解けたのか、立っていられないほどだ。縁につかまり、なんとか耐える。
キッドが戻ってくるまで、この船に座り込むことは許されない気がしたのだ。
「おい、大丈夫なのか」
「ちょっと、この前ドジしちゃって…ぶっちゃけシンドイ…」
「いいから座れって、おい船医は?」
「い、いいの。頭にごめんなさいするまでは――」
「なに遠慮してんだ。お前の船だろここは」
甲板から通ずる通路から声が聞こえた。
なんとか顔をあげると、首までゴーグルを下ろした船長の姿がそこにあった。
「頭…」
「座れ、戻ってきておいて、俺の言ってることがきけねぇかよ」
「ふ、ふふ、それも、そうですね…でもちょっと座る方がシンドイ気が、」
キッドは不機嫌そうな足音でそばまで来ると、膝をついて自分の肩にセアラをつかまらせた。
「頭、」
「ここは? 支えてもいいか」
「う、こっちなら…」
「とりあえず運ぶぞ」
「ま、まって、頭」
皆が固唾をのむ中、キッドもキラーも何も言わずにたどたどしい言葉を待っていた。
セアラはすすり泣きながら、キッドの首に縋り付くように腕を伸ばした。
「ごめんな、さい」
「…ああ」
「私、色々、我慢できないことがあって、勝手に出て行ったけど、死にそうになった時すごく、寂しかったよ」
「馬鹿が、死ぬなら俺が見ているところで死にやがれ」
「戻っても、いいですか…?」
「本当に馬鹿な奴だな。てめぇは俺たちの為に、自分の為に箔をつけにいっただけだ。目障りなもん消しに行っただけだ。だが今日分かっただろう、この先の海では、目障りな野郎はいちいち手なんざ下さなくたって、死ぬ海なんだよ」
「うん、」
「泣いてる場合じゃねぇぞ、こっからだ、有り余ってるもん吐き出してもたりねぇようなことがこの先に待ってんだ。さっさと怪我なおして、いくぞ」
「うん…!」
やっと、キッドが口の端を上げた。キラーはやれやれ、とため息をつき、クルーたちも笑って甲板に寝転がった。
キッド海賊団はコーティングを終えた船に走り込み、すぐに出向した。セアラも3か月前のように手際よく帆を張った。陸からもだいぶ離れ、一行はようやく落ち着きを取り戻していた。
つかれて甲板に座り込むクルーたちだが、セアラだけはまだ気が抜けず、縁に背を預けて立っていた。
進路確認が終われば、キッドとキラーはマストから降りてくるだろう。
「セアラ」
ワイヤーが声をかけ、座ればいいと声をかけたが、首を横に振った。
「お前、怪我してないか…? なんか血が出てるぞ」
「え?あ、これは…さっきのじゃなくて、その、開いたというか…」
あまりの急展開に当たり前のように動いてしまったが、つい数日前まで気絶するほどの怪我をしていたのだ。自覚すると、傷が痛み、頭がふらふらしてきた。怪我の自覚で一気に緊張が解けたのか、立っていられないほどだ。縁につかまり、なんとか耐える。
キッドが戻ってくるまで、この船に座り込むことは許されない気がしたのだ。
「おい、大丈夫なのか」
「ちょっと、この前ドジしちゃって…ぶっちゃけシンドイ…」
「いいから座れって、おい船医は?」
「い、いいの。頭にごめんなさいするまでは――」
「なに遠慮してんだ。お前の船だろここは」
甲板から通ずる通路から声が聞こえた。
なんとか顔をあげると、首までゴーグルを下ろした船長の姿がそこにあった。
「頭…」
「座れ、戻ってきておいて、俺の言ってることがきけねぇかよ」
「ふ、ふふ、それも、そうですね…でもちょっと座る方がシンドイ気が、」
キッドは不機嫌そうな足音でそばまで来ると、膝をついて自分の肩にセアラをつかまらせた。
「頭、」
「ここは? 支えてもいいか」
「う、こっちなら…」
「とりあえず運ぶぞ」
「ま、まって、頭」
皆が固唾をのむ中、キッドもキラーも何も言わずにたどたどしい言葉を待っていた。
セアラはすすり泣きながら、キッドの首に縋り付くように腕を伸ばした。
「ごめんな、さい」
「…ああ」
「私、色々、我慢できないことがあって、勝手に出て行ったけど、死にそうになった時すごく、寂しかったよ」
「馬鹿が、死ぬなら俺が見ているところで死にやがれ」
「戻っても、いいですか…?」
「本当に馬鹿な奴だな。てめぇは俺たちの為に、自分の為に箔をつけにいっただけだ。目障りなもん消しに行っただけだ。だが今日分かっただろう、この先の海では、目障りな野郎はいちいち手なんざ下さなくたって、死ぬ海なんだよ」
「うん、」
「泣いてる場合じゃねぇぞ、こっからだ、有り余ってるもん吐き出してもたりねぇようなことがこの先に待ってんだ。さっさと怪我なおして、いくぞ」
「うん…!」
やっと、キッドが口の端を上げた。キラーはやれやれ、とため息をつき、クルーたちも笑って甲板に寝転がった。