君の夢を捕まえに
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パッとしないのはたぶん、気が付かれないように動くことが得意だから。豪快なキッド海賊団の中でどこか浮いていると感じたのは、そこかもしれない。しかし今はおかげで、誰もセアラを気にする者はいない。
ヒューマンショップの会場に入ってすぐ、その姿は目に映った。逆側の入り口近くに、キッド海賊団がいたのだ。腕を組んで壁を背に立ち、何か買うというよりは会場の様子を面白半分に伺っている様子だった。こんなに人のいるところなら、まさか突然ぶん殴られはしないだろう。そっと、そっと、人ごみを分けて逆の入り口へ向かっていく。しかし、もう少しで、という頃になって、予想外のことが起こったのだ。
昨夜まで麦わらの海賊団で客人のような扱いで一緒に過ごしていた人魚のケイミ―が、本日の目玉商品として紹介されていたのだ。
「な、朝まで一緒にいたのに…!」
席も離れており、ほとんど会話もしていないが、珍しい人魚のことはすぐに思い出した。そして、次の瞬間「5憶で買うえ~!」と、大きな声が聞こえたのだ。天竜人だった。
「ご、おく…」
天竜人のことはもちろん良く知っている。売られた人々の行く末も良く知っている。それだけに、知っている女の子が今まさにそんな状況下にあるだなんて、信じがたく、苦しいことだった。
自体はそれだけでは終わらなかった。
次の瞬間、セアラとキッドたちの間の壁がぶち破られたのだ。驚いて後ずさると、がれきの山から出てきたのはルフィ達だった。そして彼はケイミ―の姿をその目に認めると走り出した。
後ろから皆がとめようとする。そして魚人の男が撃たれた。
それが何者かわからなかったが、顔をあげたルフィは怒りに燃えていた。
もう、セアラにはルフィが何をしようとしているのかが分かった。
「だめだ!ルフィ――」
叫びは間に合わなかった。
間に合ったところで阻止はできなかったろう。あろうことか、ルフィは天竜人を拳で殴り飛ばしたのだった。
もはや笑いすら浮かんでくるようだ。
「麦わらの一味、ほんとにただものじゃない…!」
人々は巣を埋められたアリのように一目散に会場を飛び出した。邪魔だと言わんばかりに人にぶつかられ、よろめきながら耐える。やがてその人の波が消えたころ、もう一度舞台に目をやろうとすると、今度は何か、すさまじい気のようなものが全身をびりびりとふるわせた。オークションの奥から出てきた男によるもののようだ。
しかし、味わったことのない感覚だ、もしかして何かの能力者かと思えば、彼はいとも簡単にケイミ―の首輪を外してしまった。
いったいどういうことなのか。
「悪かったな、君ら。見物の海賊だったか。今のを難なく持ちこたえるとは、半端者ではなさそうだ」
え、とあたりを見回せば、他の海賊や逃げそびれた人々は眠ったように倒れていた。残っているのは3つの海賊団だけだった。
「――と、その脇の君、も海賊かね? もし違っていたなら巻き込んでしまったかな、すまない」
「え、あ、いや…」
男、シルバーズ・レイリーは意識を保っている海賊団のどれにも属していないように見えるセアラに気が付くと、付け足すようにそういった。
「は、セアラ!?」
「おうお前~! 無事だったか! よかったな!そこにお前の船長居るぞ!」
「てめぇ……」
ナミがばしっとルフィと叩いたが、本人はよかったなと笑みを浮かべていた。ぎぎぎ、とぎこちなくキッドの方に顔を向けると、一同は驚いた顔を向けていた。キッドだけは青筋をたてて、じろりとセアラを睨んだ。こんなにも睨まれたことは一生のうち一度もない気がする。だが、目を背けることはできなかった。
「とにかく君たち、私はもうさっきのような力は使わんから、ここを抜けることに力を尽くしてくれ。ここは既に海兵に囲まれている。大将が来るのも時間の問題だぞ」
レイリーの一言に、キッドは舌打ちをし、視線を外した。
「話はあとだ。いまここで大将とぶつかるのはゴメンだぜ」
キッドは入り口に向かって歩き出す。
キラーは困ったように、セアラに手招きをして自分も後に続いた。ヒートたちもそわそわとしながらも後ろに続く。
「もののついでだ、お前ら、助けてやるよ!表の掃除はしといてやるから安心しな」
ヒューマンショップの会場に入ってすぐ、その姿は目に映った。逆側の入り口近くに、キッド海賊団がいたのだ。腕を組んで壁を背に立ち、何か買うというよりは会場の様子を面白半分に伺っている様子だった。こんなに人のいるところなら、まさか突然ぶん殴られはしないだろう。そっと、そっと、人ごみを分けて逆の入り口へ向かっていく。しかし、もう少しで、という頃になって、予想外のことが起こったのだ。
昨夜まで麦わらの海賊団で客人のような扱いで一緒に過ごしていた人魚のケイミ―が、本日の目玉商品として紹介されていたのだ。
「な、朝まで一緒にいたのに…!」
席も離れており、ほとんど会話もしていないが、珍しい人魚のことはすぐに思い出した。そして、次の瞬間「5憶で買うえ~!」と、大きな声が聞こえたのだ。天竜人だった。
「ご、おく…」
天竜人のことはもちろん良く知っている。売られた人々の行く末も良く知っている。それだけに、知っている女の子が今まさにそんな状況下にあるだなんて、信じがたく、苦しいことだった。
自体はそれだけでは終わらなかった。
次の瞬間、セアラとキッドたちの間の壁がぶち破られたのだ。驚いて後ずさると、がれきの山から出てきたのはルフィ達だった。そして彼はケイミ―の姿をその目に認めると走り出した。
後ろから皆がとめようとする。そして魚人の男が撃たれた。
それが何者かわからなかったが、顔をあげたルフィは怒りに燃えていた。
もう、セアラにはルフィが何をしようとしているのかが分かった。
「だめだ!ルフィ――」
叫びは間に合わなかった。
間に合ったところで阻止はできなかったろう。あろうことか、ルフィは天竜人を拳で殴り飛ばしたのだった。
もはや笑いすら浮かんでくるようだ。
「麦わらの一味、ほんとにただものじゃない…!」
人々は巣を埋められたアリのように一目散に会場を飛び出した。邪魔だと言わんばかりに人にぶつかられ、よろめきながら耐える。やがてその人の波が消えたころ、もう一度舞台に目をやろうとすると、今度は何か、すさまじい気のようなものが全身をびりびりとふるわせた。オークションの奥から出てきた男によるもののようだ。
しかし、味わったことのない感覚だ、もしかして何かの能力者かと思えば、彼はいとも簡単にケイミ―の首輪を外してしまった。
いったいどういうことなのか。
「悪かったな、君ら。見物の海賊だったか。今のを難なく持ちこたえるとは、半端者ではなさそうだ」
え、とあたりを見回せば、他の海賊や逃げそびれた人々は眠ったように倒れていた。残っているのは3つの海賊団だけだった。
「――と、その脇の君、も海賊かね? もし違っていたなら巻き込んでしまったかな、すまない」
「え、あ、いや…」
男、シルバーズ・レイリーは意識を保っている海賊団のどれにも属していないように見えるセアラに気が付くと、付け足すようにそういった。
「は、セアラ!?」
「おうお前~! 無事だったか! よかったな!そこにお前の船長居るぞ!」
「てめぇ……」
ナミがばしっとルフィと叩いたが、本人はよかったなと笑みを浮かべていた。ぎぎぎ、とぎこちなくキッドの方に顔を向けると、一同は驚いた顔を向けていた。キッドだけは青筋をたてて、じろりとセアラを睨んだ。こんなにも睨まれたことは一生のうち一度もない気がする。だが、目を背けることはできなかった。
「とにかく君たち、私はもうさっきのような力は使わんから、ここを抜けることに力を尽くしてくれ。ここは既に海兵に囲まれている。大将が来るのも時間の問題だぞ」
レイリーの一言に、キッドは舌打ちをし、視線を外した。
「話はあとだ。いまここで大将とぶつかるのはゴメンだぜ」
キッドは入り口に向かって歩き出す。
キラーは困ったように、セアラに手招きをして自分も後に続いた。ヒートたちもそわそわとしながらも後ろに続く。
「もののついでだ、お前ら、助けてやるよ!表の掃除はしといてやるから安心しな」