ぼくの声、きみに届け。
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1 カレーうどんは汚れを落としにくい
どんなに極悪な人間でも、苦手なものはあるだろう。怖いものが何かと聞かれれば答えにくいが、苦手なものならばまた話は違ってくる。
もちろん、この海賊団の船長にも、そして副船長にもそれは存在する。
そして二人はたった今、それを目の前にし、なんとも言えぬ表情を浮かべていた。
「おいキラー、お前、これ嫌いだったろう。ちゃんとコックのやつに言っておけよ」
「いや、俺よりお前の方が嫌いなんじゃないか?」
「あ? 俺は別に食えるわ」
「……」
「あれ、キラーさん、嫌いでしたか?」
カレーうどん。
温かい湯気を上げ、潮風に吹かれ疲れた男たちを癒さんと食欲を誘う香りで誘う。コックは不思議そうにしていた。家庭でもレストランでも目にする定番料理を、ただ麺に乗せただけなのだから、そう思うのも確かだ。
「あ、もしかして、カレーは汚れが取りにくい、とかですか?」
コックがマスクを指さして言う。
「そうだな――味は嫌いじゃないんだがな」
「そいつはすみません。明日の分ですが別のも用意があるんで、そっちをお持ちしますよ。頭は?」
「ああ、いや、俺は別にいい」
キッドはしっしとコックを追い払い、自分はさっさとフォークで麺を巻き、食べ始める。分厚いコートから覗く白い肌に、カレーの粒が飛んだ。思わず出るのは舌打ち。
「なあ、キッド」
「あ?」
自分よりも不機嫌そうな顔の相棒を見て、キラーは言う。
「根に持っているのは俺だけかと思ったが…」
「あいつのことは根に持ってねぇよ。ただあのことを思い出すとよ、ガキだった自分を思い出して、虫唾が走るだけだ」
「……違いない」
コックが持ってきたパスタを、キラーは当たり前のようにマスクの穴からすする。カレーとミートソース、どちらの汚れが厄介なのか、正直周りにはよくわからないだろう。
このことを知るのは、幼馴染のこの二人だけなのだ。
どんなに極悪な人間でも、苦手なものはあるだろう。怖いものが何かと聞かれれば答えにくいが、苦手なものならばまた話は違ってくる。
もちろん、この海賊団の船長にも、そして副船長にもそれは存在する。
そして二人はたった今、それを目の前にし、なんとも言えぬ表情を浮かべていた。
「おいキラー、お前、これ嫌いだったろう。ちゃんとコックのやつに言っておけよ」
「いや、俺よりお前の方が嫌いなんじゃないか?」
「あ? 俺は別に食えるわ」
「……」
「あれ、キラーさん、嫌いでしたか?」
カレーうどん。
温かい湯気を上げ、潮風に吹かれ疲れた男たちを癒さんと食欲を誘う香りで誘う。コックは不思議そうにしていた。家庭でもレストランでも目にする定番料理を、ただ麺に乗せただけなのだから、そう思うのも確かだ。
「あ、もしかして、カレーは汚れが取りにくい、とかですか?」
コックがマスクを指さして言う。
「そうだな――味は嫌いじゃないんだがな」
「そいつはすみません。明日の分ですが別のも用意があるんで、そっちをお持ちしますよ。頭は?」
「ああ、いや、俺は別にいい」
キッドはしっしとコックを追い払い、自分はさっさとフォークで麺を巻き、食べ始める。分厚いコートから覗く白い肌に、カレーの粒が飛んだ。思わず出るのは舌打ち。
「なあ、キッド」
「あ?」
自分よりも不機嫌そうな顔の相棒を見て、キラーは言う。
「根に持っているのは俺だけかと思ったが…」
「あいつのことは根に持ってねぇよ。ただあのことを思い出すとよ、ガキだった自分を思い出して、虫唾が走るだけだ」
「……違いない」
コックが持ってきたパスタを、キラーは当たり前のようにマスクの穴からすする。カレーとミートソース、どちらの汚れが厄介なのか、正直周りにはよくわからないだろう。
このことを知るのは、幼馴染のこの二人だけなのだ。