7章 シャイルとミズカ
「あの日以来だ。ミズカが本気でこの世界の破滅を防ごうとし始めたのは……。きっと、守るものが目の前に出来て浮いていた足が地についたんだろうな」
ノリタカの言葉に、サトシとシゲルは顔を歪めた。きっと、隣の部屋にいるミズカは記憶を取り戻せずにいて、苛立ちを隠せずにいるだろう。
「あなた達に会うと、北風使い様が決めたのも一刻も早く記憶を取り戻したかったからなんです」
納得のいく言葉だった。今まで、顔を出さなかったミズカが、何故今頃になって自分達と会うと言ってくれたか、理解出来た。
「しかし、私とリョウスケの目的は違いました。あなた達に、どうしても北風使い様を救い出して欲しかったのです」
「じゃあ君は、リョウスケの考えを知っていたのかい?」
「はい。……シャイル様の正体をバラしていたことは知りませんでしたが。わからないままだった場合、私が、シャイル様が北風使いという事をバラすつもりでした。だから、北風使い様を説得していたのです」
マルナはシゲルの質問にそう答えた。 確かに、マルナが必死で止めてくれていたのをサトシは目の当たりにしている。
「北風使い様は闇の中にいます。ボスが母親だという私では、救うことなど出来ません。お願いです。あなた達の力を貸してください」
胸を押さえているマルナの表情は辛そうだった。出来れば、自分が救いたい。しかし、敵の身内と一緒では闇から抜け出せるわけがない。彼女はそう思っている。
サトシは考える。本当にそうだろうかと。
少し前までミズカは一人で頑張っていたと思っていたが、そうでもなさそうだ。ミズカはノリタカの協力を得ているし、リョウスケを頼ってタカナオをお願いしている。それなら、マルナも……。そばにいてくれるだけで心強いのではないだろうか。
「……いや、マルナもいないと助けられないと思うぜ」
「え……」
「あいつには、周りの身内なんてどうでも良いんだ。例え、両親がろくでなしでも、敵のボスでも、その人はその人なんだよ」
サトシの言葉に「ろくでなしの両親は俺のことだ」とノリタカがニコッと笑った。
「むしろ、君がいなかったら、今のミズカはもっと酷い状況に立たされていた。彼女も感謝してるよ。君を助けたいとね」
マルナは顔を歪めた。北風使いを恨んだことがなかったわけではない。母親を彼女に盗られたみたいで嫌だった。ミズカはわかっているだろう。そんな自分を果たして助けたいと思うだろうか。不思議でならなかった。
ノリタカの言葉に、サトシとシゲルは顔を歪めた。きっと、隣の部屋にいるミズカは記憶を取り戻せずにいて、苛立ちを隠せずにいるだろう。
「あなた達に会うと、北風使い様が決めたのも一刻も早く記憶を取り戻したかったからなんです」
納得のいく言葉だった。今まで、顔を出さなかったミズカが、何故今頃になって自分達と会うと言ってくれたか、理解出来た。
「しかし、私とリョウスケの目的は違いました。あなた達に、どうしても北風使い様を救い出して欲しかったのです」
「じゃあ君は、リョウスケの考えを知っていたのかい?」
「はい。……シャイル様の正体をバラしていたことは知りませんでしたが。わからないままだった場合、私が、シャイル様が北風使いという事をバラすつもりでした。だから、北風使い様を説得していたのです」
マルナはシゲルの質問にそう答えた。 確かに、マルナが必死で止めてくれていたのをサトシは目の当たりにしている。
「北風使い様は闇の中にいます。ボスが母親だという私では、救うことなど出来ません。お願いです。あなた達の力を貸してください」
胸を押さえているマルナの表情は辛そうだった。出来れば、自分が救いたい。しかし、敵の身内と一緒では闇から抜け出せるわけがない。彼女はそう思っている。
サトシは考える。本当にそうだろうかと。
少し前までミズカは一人で頑張っていたと思っていたが、そうでもなさそうだ。ミズカはノリタカの協力を得ているし、リョウスケを頼ってタカナオをお願いしている。それなら、マルナも……。そばにいてくれるだけで心強いのではないだろうか。
「……いや、マルナもいないと助けられないと思うぜ」
「え……」
「あいつには、周りの身内なんてどうでも良いんだ。例え、両親がろくでなしでも、敵のボスでも、その人はその人なんだよ」
サトシの言葉に「ろくでなしの両親は俺のことだ」とノリタカがニコッと笑った。
「むしろ、君がいなかったら、今のミズカはもっと酷い状況に立たされていた。彼女も感謝してるよ。君を助けたいとね」
マルナは顔を歪めた。北風使いを恨んだことがなかったわけではない。母親を彼女に盗られたみたいで嫌だった。ミズカはわかっているだろう。そんな自分を果たして助けたいと思うだろうか。不思議でならなかった。