7章 シャイルとミズカ

日が経つにつれ、マルナとも仲良くなった。そして、約束通り、二、三週間後に、警察へ連絡。占い師に会いに行く日までは、順調だった。

「ふふ。あなたですね、北風使いと言うのは。あ、ミズカさんでしたっけ?」

ポケモン世界に来て、3週間。警察に連絡をし終えた後、占い師に一人で会いに行った。占い師は軽い口調の男性で二十代後半くらいだった。柔らかい表情の人なのだが、ミズカは何故か背中がゾクッとした。

「先に言っておきます。私は誰の味方でもありません。強いて言うなら、自分の味方ですかね」
「はぁ……」

何なのだろう。占い師の目は、何でも見透かしてしまいそうに感じられた。

「ふふ。貴方は結構利口みたいですね。私の外見ではなく、内面を見ている……。恐らく私が恐いでしょう」
「な……。良いから早く言いたい事を言ってください!」
「まあまあ……。そういうすぐに熱くなるところが利口と言い切れないところですかね」

そう言われ、口を噤む。

「まあ良いでしょう」

占い師は、コホンと咳払いをし、話さ始めた。

「今のままでは鍵は見つかりません。あなたは記憶を取り戻す必要があります」
「記憶を……」
「多分、取り戻すことはほとんど無理だ。そうですね……、百パーセント中……、十パーセントくらいですね。でもそれはそれで、世界は破滅せずに済む。しかし、その分、リスクがあるんですよ」

「ふふ」と笑う占い師は、不気味だった。

「あなたには、弟がいますね」
「……」
「もう時期、此方の世界に来ることになりますよ。重大な役目を背負って」

その言葉に驚き、目を見開いた。

「鍵を見つけなければ、その弟が……、NWGのボスによって殺されます」
「え、どういう事?」
「彼はNWGを滅ぼす重要な役目を果たすんですよ。恐らく彼がいないと組織を壊滅出来ない。鍵を見つけないと言うなら、彼が犠牲になるだけで、世界は破滅しないで済みますがね。それ以外の方法だったら、破滅の鍵と彼と……、そしてあなたがいないと世界の破滅は防ぐ事が出来ないわけです」

占い師はまた「ふふ」と笑った。

「はっきり言います。世界は破滅する可能性の方が高い。あなたが鍵を探さなくても、あるきっかけで記憶を取り戻してしまったら……。鍵は見つかり、世界は破滅します」
「つまり、破滅の鍵とタカナオとあたしがいないと、確実に世界の破滅を防げないってこと?」
「そうなりますね。あなたが鍵を見つけない自信があり、弟を見捨てられるという自信があるなら話は別ですが」

口には出さなかったが答えが出るのに一秒も経たなかった。弟を見捨てる姉が何処にいるのか。

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