7章 シャイルとミズカ
「マルナ、あの人に連絡して」
ミズカはマルナに頼みごとをする。頼まれた彼女は、サトシとシゲルを見て、
「お二人も連れていくのですか?」
と、顔をしかめながら聞いた。
「まだ二人は聞きたいことがたくさんあると思うから。あの人の所へ行った方が良いよ。あたし、説明下手だし」
マルナは納得したらしく、ポケギアを出し、ある所へ連絡を入れ始めた。
「すみません。これから知人の所へ寄っても良いですか?」
マルナが連絡している間に、ミズカは二人に聞いた。
「良いぜ」
「あぁ。状況を教えてくれるならね」
サトシとシゲルは頷いた。昔から、ミズカが説明することが苦手なのは知っている。ならば、その知人に話してもらった方が良い、そう思ったのだ。
「北風使い様、宜しいそうです」
「じゃあ行こっか」
マルナの呼び方も、シャイルから北風使いへと変わっていた。ミズカはニコッと笑うと、軽い足取りで知人がいる家へと向かって歩き始めた。
途中、ミズカのポケギアが鳴った。画面を見ると、『リョウスケ』と書いてある。どうやら連絡して来たらしい。きっと、今の状況について聞きたいのだろう。そう思って電話に出る。
「はい、もしもし」
「もしもし、お姉ちゃん?」
しかし、リョウスケではなかった。この声の持ち主はミズカの弟、タカナオである。
「な……、た、タカナオ!?」
思わず叫んでしまった。隣でマルナが吹き出す。たしかに、リョウスケがミズカについて話していてもおかしくはないが、まさか連絡を入れて来るとは夢にも思わなかったのだ。
サトシとシゲルは、やっと自分たちの知っているミズカを目の当たりにした。
「お姉ちゃんだ……」
その反応は間違いなく自分の姉だろうという確認した言い方だった。
「自分がリョウスケのポケギアからかけたクセに何言ってるの……」
呆れた表情でミズカはため息をついた。
「だって、シャイルって名前で入ってるから……」
「あぁ、そっか」
そういえば、リョウスケにはポケギアに登録する際、シャイルと入れるように頼んでいた。そのことをすっかり忘れていた。
「でさ、お姉ちゃん……」
「何?」
「リョウスケのこと……、怒らないでね?」
「お前、そんなこと言うために電話したのかよ!」
隣にいるのかリョウスケの声が聞こえた。思わず、笑みを漏らす。タカナオとリョウスケが良い友好関係を築いていてホッとした。
「わかってる。リョウスケにはありがとうって言っておいて。サトシさんとシゲルさんとは、合流したからって」
その言葉を聞き、タカナオは安心した様子で「良かった」と呟いた。
「……ごめんね。巻き込んで」
「お姉ちゃんだって巻き込まれてるだけだろ」
ため息混じりに言う弟にミズカは笑うしかなかった。
ミズカはマルナに頼みごとをする。頼まれた彼女は、サトシとシゲルを見て、
「お二人も連れていくのですか?」
と、顔をしかめながら聞いた。
「まだ二人は聞きたいことがたくさんあると思うから。あの人の所へ行った方が良いよ。あたし、説明下手だし」
マルナは納得したらしく、ポケギアを出し、ある所へ連絡を入れ始めた。
「すみません。これから知人の所へ寄っても良いですか?」
マルナが連絡している間に、ミズカは二人に聞いた。
「良いぜ」
「あぁ。状況を教えてくれるならね」
サトシとシゲルは頷いた。昔から、ミズカが説明することが苦手なのは知っている。ならば、その知人に話してもらった方が良い、そう思ったのだ。
「北風使い様、宜しいそうです」
「じゃあ行こっか」
マルナの呼び方も、シャイルから北風使いへと変わっていた。ミズカはニコッと笑うと、軽い足取りで知人がいる家へと向かって歩き始めた。
途中、ミズカのポケギアが鳴った。画面を見ると、『リョウスケ』と書いてある。どうやら連絡して来たらしい。きっと、今の状況について聞きたいのだろう。そう思って電話に出る。
「はい、もしもし」
「もしもし、お姉ちゃん?」
しかし、リョウスケではなかった。この声の持ち主はミズカの弟、タカナオである。
「な……、た、タカナオ!?」
思わず叫んでしまった。隣でマルナが吹き出す。たしかに、リョウスケがミズカについて話していてもおかしくはないが、まさか連絡を入れて来るとは夢にも思わなかったのだ。
サトシとシゲルは、やっと自分たちの知っているミズカを目の当たりにした。
「お姉ちゃんだ……」
その反応は間違いなく自分の姉だろうという確認した言い方だった。
「自分がリョウスケのポケギアからかけたクセに何言ってるの……」
呆れた表情でミズカはため息をついた。
「だって、シャイルって名前で入ってるから……」
「あぁ、そっか」
そういえば、リョウスケにはポケギアに登録する際、シャイルと入れるように頼んでいた。そのことをすっかり忘れていた。
「でさ、お姉ちゃん……」
「何?」
「リョウスケのこと……、怒らないでね?」
「お前、そんなこと言うために電話したのかよ!」
隣にいるのかリョウスケの声が聞こえた。思わず、笑みを漏らす。タカナオとリョウスケが良い友好関係を築いていてホッとした。
「わかってる。リョウスケにはありがとうって言っておいて。サトシさんとシゲルさんとは、合流したからって」
その言葉を聞き、タカナオは安心した様子で「良かった」と呟いた。
「……ごめんね。巻き込んで」
「お姉ちゃんだって巻き込まれてるだけだろ」
ため息混じりに言う弟にミズカは笑うしかなかった。