7章 シャイルとミズカ
「……イル様! シャイル様!」
シャイルは、マルナの呼ぶ声に全く聞く耳を持たず、スタスタ歩いて行く。それを見てマルナはシャイルの腕を掴んだ。やっとの事でシャイルは立ち止まる。
「サトシさんとシゲルさんは、もうあなたの事を知っています」
「わかっている」
「もう頼っても良いじゃないですか」
「関係ない奴等を巻き込むわけにはいかないだろ。あいつらが、これ以上関わったら、大きな傷を負う可能性がある」
「私は……、あなたが傷ついた方が嫌です」
マルナの言葉に、シャイルは「えっ?」と聞き返した。
「たしかに、関係ない人達を巻き込むのは良くないことです。しかし、あなたは色々な事を背負い過ぎてます。もう十分に傷ついてるあなたに、これ以上……、傷ついて欲しくありません……」
「マルナ……」
マルナは泣いていた。シャイルはその場で立ち尽くし、黙る。自分の選択が正しくないことぐらい、シャイルにはわかっていた。マルナやリョウスケにどのくらい心配を掛けた事か……。
しかし、知らない自分を知っている彼らと、会いたくなかった。記憶があれば、それは救われたのだが。
「ピピカ!」
そこへ、一匹のピカチュウが二人の前にやって来た。後から、そのポケモンのトレーナー、サトシも来る。
「……見つけたぜ」
追いかけて来たサトシを見て、マルナはパッと明るい表情になった。やっとシャイルを暗闇から解放出来る。そう思った。
「なんで逃げるんだよ……」
サトシは嘆いた。ずっと探していたのだ。この日が来るのを待ち望んでいた。
「ずっと心配してたんだぜ?」
ずっと、無事なのか心配していた。無事を祈っていた。
「シゲルも……、カスミも……、タケシも……、ハルカも……、ヒカリも……、マサトも……」
自分だけじゃない。他の旅仲間達も。ただ、一人の人間に会いたかった。
「そして、タカナオも……」
会って無事を確かめたかった。
「俺達の記憶が戻ってなくても良いんだよ」
この際、記憶なんてどうでも良い。二度と会えないと思っていた人に再び会えたのだから。
「俺達の所に帰ってきてくれよ」
それが彼らの望んでいることだった。後は、何も望まない。
「な? ……ミズカ」
彼は、精一杯の気持ちでシャイルの正体である北風使いを呼んだ。
シャイルは、マルナの呼ぶ声に全く聞く耳を持たず、スタスタ歩いて行く。それを見てマルナはシャイルの腕を掴んだ。やっとの事でシャイルは立ち止まる。
「サトシさんとシゲルさんは、もうあなたの事を知っています」
「わかっている」
「もう頼っても良いじゃないですか」
「関係ない奴等を巻き込むわけにはいかないだろ。あいつらが、これ以上関わったら、大きな傷を負う可能性がある」
「私は……、あなたが傷ついた方が嫌です」
マルナの言葉に、シャイルは「えっ?」と聞き返した。
「たしかに、関係ない人達を巻き込むのは良くないことです。しかし、あなたは色々な事を背負い過ぎてます。もう十分に傷ついてるあなたに、これ以上……、傷ついて欲しくありません……」
「マルナ……」
マルナは泣いていた。シャイルはその場で立ち尽くし、黙る。自分の選択が正しくないことぐらい、シャイルにはわかっていた。マルナやリョウスケにどのくらい心配を掛けた事か……。
しかし、知らない自分を知っている彼らと、会いたくなかった。記憶があれば、それは救われたのだが。
「ピピカ!」
そこへ、一匹のピカチュウが二人の前にやって来た。後から、そのポケモンのトレーナー、サトシも来る。
「……見つけたぜ」
追いかけて来たサトシを見て、マルナはパッと明るい表情になった。やっとシャイルを暗闇から解放出来る。そう思った。
「なんで逃げるんだよ……」
サトシは嘆いた。ずっと探していたのだ。この日が来るのを待ち望んでいた。
「ずっと心配してたんだぜ?」
ずっと、無事なのか心配していた。無事を祈っていた。
「シゲルも……、カスミも……、タケシも……、ハルカも……、ヒカリも……、マサトも……」
自分だけじゃない。他の旅仲間達も。ただ、一人の人間に会いたかった。
「そして、タカナオも……」
会って無事を確かめたかった。
「俺達の記憶が戻ってなくても良いんだよ」
この際、記憶なんてどうでも良い。二度と会えないと思っていた人に再び会えたのだから。
「俺達の所に帰ってきてくれよ」
それが彼らの望んでいることだった。後は、何も望まない。
「な? ……ミズカ」
彼は、精一杯の気持ちでシャイルの正体である北風使いを呼んだ。