6章 ハナダジムの戦い

二度とシャイルに顔向けできなくなると思っていた。シャイルの『止めなくても、ジンは優しいから』という言葉がずっと引っ掛かっていた。

「何処へ行くの?」
「警察へ行く。組織のことも全て話す。この三人には、お前らが納得のいく形で話せ」
「どうせクビが飛ぶなら警察に行った方が償えるよ。じゃあね」

そう言って、二人は他の敵を起こして去っていった。タカナオは、気が抜けたのかその場に座り込む。

――僕がNWGを滅ぼす重要な役目をする……?

ずっと頭に再生される。信じられない。しかし、助けてくれと連絡を入れたミズカはもしかしたら知っていたのかもしれない。

手の汗が酷い。

「カスミ、ハルカ、ヒカリ」

タカナオは三人を呼んだ。彼女達は、「なに?」と首を傾げる。

「ちょっとヒナとリョウスケと三人で話したいことがあるんだ」
「……わかったわ。あたし達は客室に戻ってるわね」
「話が終わったら、客室に来て!」
「ケーキを用意して、待ってるかも」

タカナオの気持ちを悟った三人はその場を後にした。タカナオは、ゆっくりと立ち上がると近くの席に座った。リョウスケとヒナも顔を見合わせると適当に腰を下ろす。

「ごめん。巻き込んで」

一息つくとタカナオはそう言った。聞いている二人は黙って首を横に振る。

「さっきも言った通り、本当は、こんな争い事は嫌いなんだ。もちろん、お姉ちゃんと喧嘩したり、友達と喧嘩したりはするさ。でも、それは後があるってわかってるからでさ、こうも先がどうなるかわからない争いなんて嫌で嫌で、逃げたいって心の底では思ってる」

エーフィがバトルを教えてくれようとしたのに向き合えなかったのも、それが原因だった。ゲームでは出来るのに、現実ではできない。

初めて本当の気持ちを話すタカナオに、二人は、戸惑った表情を浮かべた。

「でも、それと同じくらい人が傷つくのは見たくない。誰かのせいで、仲間割れするとか、友達を失うとかなんて嫌だ。大切な人はとくに……」

ここまで、自分の旅に付き合ってくれた二人には感謝している。短くはあったが、彼らの強さと優しさがタカナオは大好きになっていた。

チラッと二人を見た。話がまとまらない。何を言えば良いのか。

「だから、つまり……。二人には自由にして欲しいんだ。僕との旅が嫌だったら、誰かとの約束とか、そういうのに囚われずに無理しなくていい」

その言葉に、二人は顔を見合わせた。彼の言いたい事がわかる。自分達二人が、間に壁をつくっている事が、タカナオには気がかりなのだ。

「たしかに、最初は約束だからって囚われてたかもな」

リョウスケは、わざと大きな声で言った。タカナオは、やっぱりと少し寂しそうな表情をする。

「でも今は、お前が俺達を思ってくれてるように、俺もお前のことが凄く大切だ。仲間を見捨てるなんて俺には出来ねぇよ」
「リョウスケ……」

リョウスケは彼にニッと笑いかけた。こうやって自分の気持ちを打ち明けてくれたことがリョウスケは嬉しかった。向き合うことができなかった彼が、今向き合っている。それはさっき協力して、NWGの連中と対峙したときに感じていた。

タカナオは嬉しそうに、優しく笑い返す。とりあえず、リョウスケとはこれからも旅を出来るらしい。問題はヒナである。

「さっき……」

少し戸惑いながら、ヒナは口を開いた。二人はヒナに顔を向ける。

「さっき君は、なんであたしが自分と旅をしてるのか聞いたわよね?」
「う、うん……」

タカナオは頷いた。NWGの連中が現れる前の話だ。

「昔、貴方のお姉さんに会ったことがあるの。あたしは家族と旅行中だったのよ。でも迷子になっちゃって……、そんな時、助けてくれたのがミズカさんだったの」

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