5章 初めてのジム戦、リョウスケの苦悩
「どうして組織に入ってたの?」
タカナオが一番聞きたい質問をした。彼は、顔を歪めると、荷物から手紙を出して、二人に見せた。その手紙は、両親が捕まった時、ポッポから渡されたものである。
『リーグ優勝者、リョウスケへ
この度は、お前の両親を頂戴することにした。助けたいのなら、我が組織、NWGに加入してもらいたい。安心しろ、NWGに加入し、任務を最後までこなせば、お前の両親は返してやる』
二人は読むと、驚いた表情でリョウスケを見た。彼は目を逸らす。
「NWGって……。まさか……」
タカナオが震えた声で聞いた。リョウスケは頷く。二人ともリョウスケの両親に関しては納得いっていなかった部分があった。この手紙から、何が起こったのか把握し、納得する。
それよりもNWGという文字に驚いた。一瞬目を疑ったが間違いない。NWGと書いてある。
「……じゃあ、……じゃあお姉ちゃんを追っている悪の組織って……。……NWG?」
恐る恐る口を開くタカナオに、リョウスケは「ああ」と返事した。
「正式には『North Wind Group』。NWGはその略だ。訳すと『北風集団』」
つまり目的の意味が込められていたのだ。
「約束した人って言うのは誰なのよ?」
「シャイルっていう人。後、仲間にマルナって奴がいた。マルナとは、タカナオは会ってる」
リョウスケの言葉に、タカナオは「え?」聞き返した。マルナという人物など、聞き覚えがない。
「ほら、最初この世界に来る前にリングマで襲ってきた奴だよ」
「え……。あの人?!」
目をパチクリさせ、リョウスケに言う。
「そう。あいつだ。だから、お前は安全だったんだよ、どっちにしろな」
タカナオはため息をついた。そういうのは先に言って欲しい。
「今、その人達は?」
「……同じく裏切り者になってる。多分、サトシさんとシゲルさんが追っているのは、その二人だ」
ニビジムのことを思い出す。そういえば、二人のことを聞いた途端、リョウスケの様子が変になっていた。
「え。だったら居場所がわかるじゃないのよ……。早くサトシさんとシゲルさんに連絡……」
ヒナはそう言った所で口を噤んだ。リョウスケが言いたくないのがわかったからだ。リョウスケがこのことを話せば、サトシ達でも許してくれないのではないだろうか。
「わりぃ。言いたくないのもあんだけど、最近、連絡が取れねぇんだ。だから俺も、二人の居場所はわからない。……んで、他に聞きたいことはあるか?」
リョウスケは、少し不安げな表情のタカナオとヒナに聞いた。そう聞かれた二人は顔を見合わせると表情を和らげた。
「良いよ。僕達……、リョウスケを信じてるから」
「お前ら……」
「だから、言いたくないなら無理に言わなくて良いわ。この事……、隠していたかったら、私達だけの秘密にしても良いし……、ね?」
二人は、彼に言いたいことを言うとニコッと笑った。リョウスケだって辛かったのだ。理由を知り、裏切られたという気持ちはなくなっていた。二人の気持ちが嬉しくて、リョウスケも笑い返す。
「じゃあ行こう」
そして、タカナオ達はハナダシティへ向かい始めた。リョウスケが一番重要な事を黙っているとも知らずに……。
タカナオが一番聞きたい質問をした。彼は、顔を歪めると、荷物から手紙を出して、二人に見せた。その手紙は、両親が捕まった時、ポッポから渡されたものである。
『リーグ優勝者、リョウスケへ
この度は、お前の両親を頂戴することにした。助けたいのなら、我が組織、NWGに加入してもらいたい。安心しろ、NWGに加入し、任務を最後までこなせば、お前の両親は返してやる』
二人は読むと、驚いた表情でリョウスケを見た。彼は目を逸らす。
「NWGって……。まさか……」
タカナオが震えた声で聞いた。リョウスケは頷く。二人ともリョウスケの両親に関しては納得いっていなかった部分があった。この手紙から、何が起こったのか把握し、納得する。
それよりもNWGという文字に驚いた。一瞬目を疑ったが間違いない。NWGと書いてある。
「……じゃあ、……じゃあお姉ちゃんを追っている悪の組織って……。……NWG?」
恐る恐る口を開くタカナオに、リョウスケは「ああ」と返事した。
「正式には『North Wind Group』。NWGはその略だ。訳すと『北風集団』」
つまり目的の意味が込められていたのだ。
「約束した人って言うのは誰なのよ?」
「シャイルっていう人。後、仲間にマルナって奴がいた。マルナとは、タカナオは会ってる」
リョウスケの言葉に、タカナオは「え?」聞き返した。マルナという人物など、聞き覚えがない。
「ほら、最初この世界に来る前にリングマで襲ってきた奴だよ」
「え……。あの人?!」
目をパチクリさせ、リョウスケに言う。
「そう。あいつだ。だから、お前は安全だったんだよ、どっちにしろな」
タカナオはため息をついた。そういうのは先に言って欲しい。
「今、その人達は?」
「……同じく裏切り者になってる。多分、サトシさんとシゲルさんが追っているのは、その二人だ」
ニビジムのことを思い出す。そういえば、二人のことを聞いた途端、リョウスケの様子が変になっていた。
「え。だったら居場所がわかるじゃないのよ……。早くサトシさんとシゲルさんに連絡……」
ヒナはそう言った所で口を噤んだ。リョウスケが言いたくないのがわかったからだ。リョウスケがこのことを話せば、サトシ達でも許してくれないのではないだろうか。
「わりぃ。言いたくないのもあんだけど、最近、連絡が取れねぇんだ。だから俺も、二人の居場所はわからない。……んで、他に聞きたいことはあるか?」
リョウスケは、少し不安げな表情のタカナオとヒナに聞いた。そう聞かれた二人は顔を見合わせると表情を和らげた。
「良いよ。僕達……、リョウスケを信じてるから」
「お前ら……」
「だから、言いたくないなら無理に言わなくて良いわ。この事……、隠していたかったら、私達だけの秘密にしても良いし……、ね?」
二人は、彼に言いたいことを言うとニコッと笑った。リョウスケだって辛かったのだ。理由を知り、裏切られたという気持ちはなくなっていた。二人の気持ちが嬉しくて、リョウスケも笑い返す。
「じゃあ行こう」
そして、タカナオ達はハナダシティへ向かい始めた。リョウスケが一番重要な事を黙っているとも知らずに……。