5章 初めてのジム戦、リョウスケの苦悩
「何をわけのわからんことを……」
「俺は一度、あの人とバトルをした。それはシャイルさんを最初信じられなかったからだ」
彼は最初、シャイルを信じなかった。組織にいる奴は皆敵だと思っていたからである。どんな理由であろうと、正体がなんであろうと信じるつもりはなかった。だから、仲間になる気も、協力する気も、全くなかった。
「だけど、バトルで知った。あの人の強さを……」
ある日、いきなりシャイルは、リョウスケに両親を助ける手伝いをしたいと言ってきた。彼はいい心地がせずに断った。しかし、どうしてもと言ってきたため、バトルで諦めさせようと思った。
リーグ優勝した自分が負けるはずがない。リョウスケはシャイルにバトルを申し込んだ。無論、リョウスケは本気を出していた。しかし、その時の勝利はシャイルに終わった。
「シャイルさんって、バトルになると無我夢中になるんだ。前が見えなくなって、そのせいかポケモンとの息もピッタリで。どれだけサーナイトがシャイルさんに信頼しているのか、伝わってきた」
レベルは、リョウスケのポケモンの方が断トツで高かった。しかし、シャイルにはレベルが通用しなかった。いや、そもそもシャイルのトレーナーとしての腕が良かった。
自分の技は見切られ、サーナイトと息を合わせて向かってきていた。サーナイトは心を通わしたトレーナーと一緒にいると力を発揮できるポケモン。それをリョウスケは知っている。
「何が言いたい」
「俺が思うに、人間が一人を理解するのは凄い時間が掛かるけど、ポケモンはすぐにわかるし、人間以上に何かを感じられる。確かなんだ」
「つまり、お前はシャイルのポケモンの様子を見て信じるようになったのか」
リョウスケは頷いた。敵は呆れた表情で彼を見る。
「ふん。馬鹿馬鹿しい。根拠になっていないだろう」
「根拠ならあるさ。他にも。一番に信じたくなったわけがそれだっただけだ。今は……、あの人を裏切りたくない」
まさか、自分のことで精いっぱいのはずなのに、両親を助けてくれるとは思わなかった。リョウスケがこうして思い切りリンクとぶつかれるのも、シャイルが両親を助けてくれていたからだ。人質のままだったら、どうにもできなかった。
リョウスケはチラッとデンリュウを見た。デンリュウは何を言いたいのかわかったらしく、頷いている。
「電磁波だ」
「何!?」
咄嗟のことで敵は動けなかった。デンリュウの電磁波で体がしびれ、動かなくなる。
「言っただろ? 次は容赦なく、お前を攻撃するって」
「な……」
デンリュウに礼を言い、モンスターボールに戻すと「じゃあな」と、リョウスケは、タカナオとヒナを追いかけて行った。
シャイルを裏切ることはしない。たとえ、タカナオやヒナに誤解されても、それだけはできない。しかし、リョウスケはもう一つ決心していた。
幹部まで動いている。きっとシャイルが見つかるのも時間の問題だ。自分とマルナだけではシャイルを守り切れない。だったら、頼れるところに頼るしかない。脳裏には世界チャンピオンが浮かぶ。
自分のことはバレた。きっと、チャンピオン達にも、シャイルにも裏切りものだと怒られる。しかし、リョウスケはもう怖くはなかった。完全に腹を括り、開き直った。
「俺は一度、あの人とバトルをした。それはシャイルさんを最初信じられなかったからだ」
彼は最初、シャイルを信じなかった。組織にいる奴は皆敵だと思っていたからである。どんな理由であろうと、正体がなんであろうと信じるつもりはなかった。だから、仲間になる気も、協力する気も、全くなかった。
「だけど、バトルで知った。あの人の強さを……」
ある日、いきなりシャイルは、リョウスケに両親を助ける手伝いをしたいと言ってきた。彼はいい心地がせずに断った。しかし、どうしてもと言ってきたため、バトルで諦めさせようと思った。
リーグ優勝した自分が負けるはずがない。リョウスケはシャイルにバトルを申し込んだ。無論、リョウスケは本気を出していた。しかし、その時の勝利はシャイルに終わった。
「シャイルさんって、バトルになると無我夢中になるんだ。前が見えなくなって、そのせいかポケモンとの息もピッタリで。どれだけサーナイトがシャイルさんに信頼しているのか、伝わってきた」
レベルは、リョウスケのポケモンの方が断トツで高かった。しかし、シャイルにはレベルが通用しなかった。いや、そもそもシャイルのトレーナーとしての腕が良かった。
自分の技は見切られ、サーナイトと息を合わせて向かってきていた。サーナイトは心を通わしたトレーナーと一緒にいると力を発揮できるポケモン。それをリョウスケは知っている。
「何が言いたい」
「俺が思うに、人間が一人を理解するのは凄い時間が掛かるけど、ポケモンはすぐにわかるし、人間以上に何かを感じられる。確かなんだ」
「つまり、お前はシャイルのポケモンの様子を見て信じるようになったのか」
リョウスケは頷いた。敵は呆れた表情で彼を見る。
「ふん。馬鹿馬鹿しい。根拠になっていないだろう」
「根拠ならあるさ。他にも。一番に信じたくなったわけがそれだっただけだ。今は……、あの人を裏切りたくない」
まさか、自分のことで精いっぱいのはずなのに、両親を助けてくれるとは思わなかった。リョウスケがこうして思い切りリンクとぶつかれるのも、シャイルが両親を助けてくれていたからだ。人質のままだったら、どうにもできなかった。
リョウスケはチラッとデンリュウを見た。デンリュウは何を言いたいのかわかったらしく、頷いている。
「電磁波だ」
「何!?」
咄嗟のことで敵は動けなかった。デンリュウの電磁波で体がしびれ、動かなくなる。
「言っただろ? 次は容赦なく、お前を攻撃するって」
「な……」
デンリュウに礼を言い、モンスターボールに戻すと「じゃあな」と、リョウスケは、タカナオとヒナを追いかけて行った。
シャイルを裏切ることはしない。たとえ、タカナオやヒナに誤解されても、それだけはできない。しかし、リョウスケはもう一つ決心していた。
幹部まで動いている。きっとシャイルが見つかるのも時間の問題だ。自分とマルナだけではシャイルを守り切れない。だったら、頼れるところに頼るしかない。脳裏には世界チャンピオンが浮かぶ。
自分のことはバレた。きっと、チャンピオン達にも、シャイルにも裏切りものだと怒られる。しかし、リョウスケはもう怖くはなかった。完全に腹を括り、開き直った。