5章 初めてのジム戦、リョウスケの苦悩
「なるほどな。おーい、タケシ。聞こえるか?」
サトシが叫ぶような声でタケシを呼ぶと、初めて此方を見た。そして近寄ってくる。
「どうした?」
今度は先程まで食器洗いを手伝っていたリョウスケが話しかけてきた。ヒナは、タケシの兄弟姉妹と遊んでいる。こちらに気づいた様子はない。
「サトシとシゲルから電話が来た」
タカナオは再び画面を見た。サトシがタケシに連絡を入れるのは珍しいことではない。リョウスケは、何か北風使いについてわかったのだろうと呑気に考えていた。
「お久しぶりです」
「久しぶりだな。ところでさ、タケシに聞きたいことがあるんだ」
サトシの言葉にタケシは首を傾げる。
「なんだ?」
「黒いコートを着て顔を隠した人と、金髪のツインテールの女の子を見なかったかい?」
シゲルの質問に、リョウスケは自分の額に冷や汗を感じた。そんな様子を隣で見ているタカナオは怪訝になる。
「いや、見てないな……。それがどうしたんだ?」
「実は、その二人組が北風使いについて調べ回ってるらしいんだ。ハナダシティを目指してるみたいだから、ニビシティを通ってないかと思って連絡したんだけど……、見てないなら良いや」
リョウスケは、深くため息をついた。北風使いについて調べていて、その容姿ならシャイルとマルナに間違いないだろう。ということは、シャイルもマルナもここら辺にいるという事になる。
「追いかけるのか」
タケシに聞かれ、サトシとシゲルは頷いた。
「もしかしたら、強力な助っ人になるかもしれないからね」
「敵かもしれないぞ」
「それだったら、尚更ほっとくわけにいかないだろ?」
リョウスケは顔がひきつる。出来れば、追いかけて欲しくない。
「リョウスケ、どうかしたのかい?」
シゲルがリョウスケの様子に気づいた。
「そういえば、カスミさんは?」
リョウスケは首を横に振ると話を変える。
「あぁ、ジムをこれ以上空けとくわけにはいかない。って言って自転車でハナダジムに帰った」
これには、サトシが答えた。たしかに、ジムリーダーにも関わらず、ずっと空けておくわけにいかない。カスミも色々と大変だなとタカナオは思った。
「そうか。カスミにこのことは? ハナダに向かったんだろう?」
タケシが聞く。
「伝えてないけど、怪しい奴を見たら連絡するように言ってあるから、その二人組は見てないと思うぜ」
「黒いコートに顔を隠した人って怪しいよね」
タカナオは苦笑しながら言った。想像してみると、かなり変だ。金髪のツインテールの女の子がいなかったら、まず変に思われるだろう。
「ま、そういう事だから……。タカナオ、気を付けろよ」
「あ、うん」
「そちらも気をつけて下さいね」
リョウスケはチャンスだと思い、勢い良く電話を切った。
「どうして、そんな焦ってるの?」
顔をしかめながら、タカナオは聞いた。リョウスケは、「別に」と平然を装うと台所へ行き、再度食器洗いをし始めた。
「なんか、リョウスケの様子、おかしくなかったか?」
トキワシティでは、サトシが真っ暗になった電話の画面を指差しながら、そんな事を言う。シゲルはその言葉に頷いた。
「何か隠しているようだったね。だが、今はそんな事を考えている場合じゃない。行くぞ」
少し気になりながらも、仕方なく二人は、おばあさんの言っていた黒いコートの人と金髪のツインテールの少女を探しにトキワシティを後にした。
サトシが叫ぶような声でタケシを呼ぶと、初めて此方を見た。そして近寄ってくる。
「どうした?」
今度は先程まで食器洗いを手伝っていたリョウスケが話しかけてきた。ヒナは、タケシの兄弟姉妹と遊んでいる。こちらに気づいた様子はない。
「サトシとシゲルから電話が来た」
タカナオは再び画面を見た。サトシがタケシに連絡を入れるのは珍しいことではない。リョウスケは、何か北風使いについてわかったのだろうと呑気に考えていた。
「お久しぶりです」
「久しぶりだな。ところでさ、タケシに聞きたいことがあるんだ」
サトシの言葉にタケシは首を傾げる。
「なんだ?」
「黒いコートを着て顔を隠した人と、金髪のツインテールの女の子を見なかったかい?」
シゲルの質問に、リョウスケは自分の額に冷や汗を感じた。そんな様子を隣で見ているタカナオは怪訝になる。
「いや、見てないな……。それがどうしたんだ?」
「実は、その二人組が北風使いについて調べ回ってるらしいんだ。ハナダシティを目指してるみたいだから、ニビシティを通ってないかと思って連絡したんだけど……、見てないなら良いや」
リョウスケは、深くため息をついた。北風使いについて調べていて、その容姿ならシャイルとマルナに間違いないだろう。ということは、シャイルもマルナもここら辺にいるという事になる。
「追いかけるのか」
タケシに聞かれ、サトシとシゲルは頷いた。
「もしかしたら、強力な助っ人になるかもしれないからね」
「敵かもしれないぞ」
「それだったら、尚更ほっとくわけにいかないだろ?」
リョウスケは顔がひきつる。出来れば、追いかけて欲しくない。
「リョウスケ、どうかしたのかい?」
シゲルがリョウスケの様子に気づいた。
「そういえば、カスミさんは?」
リョウスケは首を横に振ると話を変える。
「あぁ、ジムをこれ以上空けとくわけにはいかない。って言って自転車でハナダジムに帰った」
これには、サトシが答えた。たしかに、ジムリーダーにも関わらず、ずっと空けておくわけにいかない。カスミも色々と大変だなとタカナオは思った。
「そうか。カスミにこのことは? ハナダに向かったんだろう?」
タケシが聞く。
「伝えてないけど、怪しい奴を見たら連絡するように言ってあるから、その二人組は見てないと思うぜ」
「黒いコートに顔を隠した人って怪しいよね」
タカナオは苦笑しながら言った。想像してみると、かなり変だ。金髪のツインテールの女の子がいなかったら、まず変に思われるだろう。
「ま、そういう事だから……。タカナオ、気を付けろよ」
「あ、うん」
「そちらも気をつけて下さいね」
リョウスケはチャンスだと思い、勢い良く電話を切った。
「どうして、そんな焦ってるの?」
顔をしかめながら、タカナオは聞いた。リョウスケは、「別に」と平然を装うと台所へ行き、再度食器洗いをし始めた。
「なんか、リョウスケの様子、おかしくなかったか?」
トキワシティでは、サトシが真っ暗になった電話の画面を指差しながら、そんな事を言う。シゲルはその言葉に頷いた。
「何か隠しているようだったね。だが、今はそんな事を考えている場合じゃない。行くぞ」
少し気になりながらも、仕方なく二人は、おばあさんの言っていた黒いコートの人と金髪のツインテールの少女を探しにトキワシティを後にした。