5章 初めてのジム戦、リョウスケの苦悩
「あの、すみません」
サトシが、一人のおばあさんに話しかけた。白い着物を着た風変りのおばあさんはピンピンしており、元気良さそうに、「何じゃ?」と聞いてきた。話しかけた理由は、自分たちが聞きまわっているところを、ずっと見られていたからだ。
ミズカを探しているサトシとシゲルは、トキワシティにいた。理由はトキワの森で変な少年がタカナオのことを知っていたから。タカナオのことは、そんなにニュースで流れていない。つまり組織の一員が噂を流している可能性がある。
組織が近辺を探っているなら、ミズカが近くにいてもおかしくはない。
「僕達、仲間を探しているんですが、ミズカという女の子を知りませんか? 北風使いの生まれ変わりの子なんですが……」
シゲルが聞くと、おばあさんは首を横に振った。それを聞いて、サトシはため息をつく。
北風使いについては、多分、カントー地方全域に知れ渡っている。しかし、知っていても、自分達の知っていることくらいしか、わかっていない人が大半だ。
近くにいてもおかしくはない。しかし、手掛かりはない。
「そうですか。ありがとうござ……」
「北風使いの生まれ変わりを探しておるんじゃな?」
シゲルが礼を言おうとすると、おばあさんはそれを遮った。遮られて驚いた二人は顔を見合わせる。何か知っているのだろうか。
「北風使いのことについて、調べている二人組の奴じゃったか。数日前におった。そやつらを追いかければ、何か知っておるかもしれん」
おばあさんの言葉に道が開けた気がした。もしかしたら、その二人はミズカに会っているかもしれない。それに、北風使いについても自分達より知っている可能性がある。
もっと言えば、協力してもらえる可能性だってあるのだ。逆に、組織の一員で敵だというのも考えられるが、組織についても知りたいところだ。どちらにしろ追いかける以外の選択肢はない。
「その人達はどんな容姿でしたか?」
「一人は、黒いコートに顔を隠した者、もう一人は、金髪のツインテールのオナゴじゃった」
「歳は?」
容姿を聞いて身を乗り出すようにサトシが聞いた。
「オナゴの方は、十三、四。もう一人は顔を隠しておったから、ワシにはよく……」
おばあさんは、黒いコートの人を思い出そうとしているのだろう。腕を組んで考える。
「多分、お前さん達と同じくらいじゃな。性別はわからんが、男みたいな口調じゃった。そやつらはハナダシティら辺を目指しているはずじゃよ」
それを聞き、二人は大きくお辞儀をしておばあさんと別れた。ハナダシティに向かったということは、ニビシティを挟んでいる。彼らはニビシティにあるニビジムへ連絡をいれた。電話は、テレビ電話になっている。
「はい。もしもし」
電話に出たのは、このジムリーダーのジローでも、ポケモンドクターのタケシでもなかった。
「あ、サトシにシゲル……」
タカナオである。二人は、彼が出て心底驚いた表情を浮かべる。
「どうして、君がここに……」
「ジムに挑戦しようと思ってここへ来たんだ。そしたら、タケシが、家事が終わったらとかわけのわからない話になって……」
タカナオは苦笑しながら、シゲルの質問に答えた。よく後ろを見ると物凄い勢いで掃除をしているタケシの姿がチラチラ画面に映っている。
サトシが、一人のおばあさんに話しかけた。白い着物を着た風変りのおばあさんはピンピンしており、元気良さそうに、「何じゃ?」と聞いてきた。話しかけた理由は、自分たちが聞きまわっているところを、ずっと見られていたからだ。
ミズカを探しているサトシとシゲルは、トキワシティにいた。理由はトキワの森で変な少年がタカナオのことを知っていたから。タカナオのことは、そんなにニュースで流れていない。つまり組織の一員が噂を流している可能性がある。
組織が近辺を探っているなら、ミズカが近くにいてもおかしくはない。
「僕達、仲間を探しているんですが、ミズカという女の子を知りませんか? 北風使いの生まれ変わりの子なんですが……」
シゲルが聞くと、おばあさんは首を横に振った。それを聞いて、サトシはため息をつく。
北風使いについては、多分、カントー地方全域に知れ渡っている。しかし、知っていても、自分達の知っていることくらいしか、わかっていない人が大半だ。
近くにいてもおかしくはない。しかし、手掛かりはない。
「そうですか。ありがとうござ……」
「北風使いの生まれ変わりを探しておるんじゃな?」
シゲルが礼を言おうとすると、おばあさんはそれを遮った。遮られて驚いた二人は顔を見合わせる。何か知っているのだろうか。
「北風使いのことについて、調べている二人組の奴じゃったか。数日前におった。そやつらを追いかければ、何か知っておるかもしれん」
おばあさんの言葉に道が開けた気がした。もしかしたら、その二人はミズカに会っているかもしれない。それに、北風使いについても自分達より知っている可能性がある。
もっと言えば、協力してもらえる可能性だってあるのだ。逆に、組織の一員で敵だというのも考えられるが、組織についても知りたいところだ。どちらにしろ追いかける以外の選択肢はない。
「その人達はどんな容姿でしたか?」
「一人は、黒いコートに顔を隠した者、もう一人は、金髪のツインテールのオナゴじゃった」
「歳は?」
容姿を聞いて身を乗り出すようにサトシが聞いた。
「オナゴの方は、十三、四。もう一人は顔を隠しておったから、ワシにはよく……」
おばあさんは、黒いコートの人を思い出そうとしているのだろう。腕を組んで考える。
「多分、お前さん達と同じくらいじゃな。性別はわからんが、男みたいな口調じゃった。そやつらはハナダシティら辺を目指しているはずじゃよ」
それを聞き、二人は大きくお辞儀をしておばあさんと別れた。ハナダシティに向かったということは、ニビシティを挟んでいる。彼らはニビシティにあるニビジムへ連絡をいれた。電話は、テレビ電話になっている。
「はい。もしもし」
電話に出たのは、このジムリーダーのジローでも、ポケモンドクターのタケシでもなかった。
「あ、サトシにシゲル……」
タカナオである。二人は、彼が出て心底驚いた表情を浮かべる。
「どうして、君がここに……」
「ジムに挑戦しようと思ってここへ来たんだ。そしたら、タケシが、家事が終わったらとかわけのわからない話になって……」
タカナオは苦笑しながら、シゲルの質問に答えた。よく後ろを見ると物凄い勢いで掃除をしているタケシの姿がチラチラ画面に映っている。