4章 バタフリーと密猟団
「で、北風使いは?」
「いや、今、行方不明で何処にいるかは……」
そう言うと、いきなり少年は何やら妄想し始めた。リョウスケとヒナは顔を見合わせ、首を傾げる。
「あぁ、きっと北風使いは、繊細でおしとやかな方なんだろうな」
自分の姉は、真逆の性格だ。繊細という言葉もおしとやかという言葉も当てはまらない。タカナオの知る限り、彼女は女らしくないのだ。少年はきっとミズカを女らしい人と勘違いしているだろう。
「行方不明……、今頃、泣いてるんだろうなぁ。そして白馬の王子の俺を待ってるんだ」
タカナオはおかしくなったが笑いを堪える。ミズカが、白馬の王子を待っているわけがない。弟の自分は、よく知っている。彼女は現実をわかっている。それに、そんな事を言われたら「馬鹿じゃん」と軽く流す。姉と会わせたら、この少年はきっと絶望するだろうとタカナオは思った。
「なぁ、こいつの頭大丈夫か?」
「タカナオ、早く行きましょうよ」
リョウスケとヒナがそう言いながら、タカナオを引っ張った。もとの道に戻るらしく、今度は来た道を歩き始める。行ったり来たりと大変だ。
「おい、無視るな~」
すると、またまた少年は道を塞いだ。
「他に何か用なの?」
いい加減、腹が立ってきてしまい、少しキレ気味にタカナオはその少年に聞いた。
「バトルだ!」
「……なんで?」
タカナオは首を傾げた。リョウスケとヒナも意味がわからないらしく、頭の上にクエスチョンマークを出している。
「わかってないなぁ。強くなくては、振り向いてもらえないだろう?」
「いや……、僕、まだ……バトルやったことない……」
「は? まさか、新人トレーナーか?」
少年に言われ、タカナオは頷いた。そう、彼はまだトレーナーとバトルをした事がない。少年は驚いた表情を浮かべた。まさか、初心者だとは思ってなかったらしい。
「まぁ、良い。お前に俺の強さを見せてやるよ! そして北風使いに会ったら俺を紹介してくれ!」
そう言って指を差され、タカナオはリョウスケとヒナを見た。強いと言ったらこの二人の方が強いだろう。そう思い、口を開くがリョウスケに口を塞がれた。
「ニビジムの挑戦前にちょうど良い相手が出来たじゃねぇか。俺らを頼るな」
小声で言ったリョウスケの表情は笑っていた。自分とヒナを知らない無知なトレーナーだ。きっと大したことはないだろう。おそらく新人トレーナーとそう変わらないはず。
タカナオは、リョウスケの言いたいことがわかったらしく頷いた。
「わかった。受けてたつよ」
「じゃあ、二対二な。ポケモン、二匹ぐらいは持ってるだろ?」
「了解」
タカナオは、すんなりと了解した。バトルが済めば、もうこの少年は自分に用はないはずだ。それなら早く済ませようと思ったのだ。
「審判はいらないな」
「うん」
タカナオの生まれて初めてのポケモンバトルが始まった。
「ゼニガメ、頼んだ!」
「ゼニィ!!」
タカナオが出した最初のポケモンはゼニガメだった。練習をしたり、野生のポケモンとバトルをしたりしていたため、とりあえず、バトルにはなるだろう。
「いけ、ピジョン」
少年が出したポケモンはピジョン。飛行タイプである。ピジョンは、優雅に空を飛んでいた。相手は空中戦にするらしい。図鑑を出してみるが、知っている情報しかない。
「そっちからどうぞ!」
やけにテンションの高い少年を前にタカナオは少しやりずらさを覚えながらも、先に指示を出し始める。
「いや、今、行方不明で何処にいるかは……」
そう言うと、いきなり少年は何やら妄想し始めた。リョウスケとヒナは顔を見合わせ、首を傾げる。
「あぁ、きっと北風使いは、繊細でおしとやかな方なんだろうな」
自分の姉は、真逆の性格だ。繊細という言葉もおしとやかという言葉も当てはまらない。タカナオの知る限り、彼女は女らしくないのだ。少年はきっとミズカを女らしい人と勘違いしているだろう。
「行方不明……、今頃、泣いてるんだろうなぁ。そして白馬の王子の俺を待ってるんだ」
タカナオはおかしくなったが笑いを堪える。ミズカが、白馬の王子を待っているわけがない。弟の自分は、よく知っている。彼女は現実をわかっている。それに、そんな事を言われたら「馬鹿じゃん」と軽く流す。姉と会わせたら、この少年はきっと絶望するだろうとタカナオは思った。
「なぁ、こいつの頭大丈夫か?」
「タカナオ、早く行きましょうよ」
リョウスケとヒナがそう言いながら、タカナオを引っ張った。もとの道に戻るらしく、今度は来た道を歩き始める。行ったり来たりと大変だ。
「おい、無視るな~」
すると、またまた少年は道を塞いだ。
「他に何か用なの?」
いい加減、腹が立ってきてしまい、少しキレ気味にタカナオはその少年に聞いた。
「バトルだ!」
「……なんで?」
タカナオは首を傾げた。リョウスケとヒナも意味がわからないらしく、頭の上にクエスチョンマークを出している。
「わかってないなぁ。強くなくては、振り向いてもらえないだろう?」
「いや……、僕、まだ……バトルやったことない……」
「は? まさか、新人トレーナーか?」
少年に言われ、タカナオは頷いた。そう、彼はまだトレーナーとバトルをした事がない。少年は驚いた表情を浮かべた。まさか、初心者だとは思ってなかったらしい。
「まぁ、良い。お前に俺の強さを見せてやるよ! そして北風使いに会ったら俺を紹介してくれ!」
そう言って指を差され、タカナオはリョウスケとヒナを見た。強いと言ったらこの二人の方が強いだろう。そう思い、口を開くがリョウスケに口を塞がれた。
「ニビジムの挑戦前にちょうど良い相手が出来たじゃねぇか。俺らを頼るな」
小声で言ったリョウスケの表情は笑っていた。自分とヒナを知らない無知なトレーナーだ。きっと大したことはないだろう。おそらく新人トレーナーとそう変わらないはず。
タカナオは、リョウスケの言いたいことがわかったらしく頷いた。
「わかった。受けてたつよ」
「じゃあ、二対二な。ポケモン、二匹ぐらいは持ってるだろ?」
「了解」
タカナオは、すんなりと了解した。バトルが済めば、もうこの少年は自分に用はないはずだ。それなら早く済ませようと思ったのだ。
「審判はいらないな」
「うん」
タカナオの生まれて初めてのポケモンバトルが始まった。
「ゼニガメ、頼んだ!」
「ゼニィ!!」
タカナオが出した最初のポケモンはゼニガメだった。練習をしたり、野生のポケモンとバトルをしたりしていたため、とりあえず、バトルにはなるだろう。
「いけ、ピジョン」
少年が出したポケモンはピジョン。飛行タイプである。ピジョンは、優雅に空を飛んでいた。相手は空中戦にするらしい。図鑑を出してみるが、知っている情報しかない。
「そっちからどうぞ!」
やけにテンションの高い少年を前にタカナオは少しやりずらさを覚えながらも、先に指示を出し始める。