4章 バタフリーと密猟団
トキワシティを跨ぎ、そのトキワシティとニビシティとの間を繋ぐトキワの森に足を踏み入れた三人は道に迷っていた。
「……迷ったな」
「……迷ったわね」
「迷ったの?」
腕を組んだリョウスケに、一生懸命地図を開き場所を確認しているヒナ。タカナオはヒナの持っている地図に顔を覗かせた。
「だから地図を見て行こうって言ったのよ。トキワの森なんか楽勝とか言って、リョウスケの勘なんて当てになるわけないじゃない」
ヒナが自分に言い聞かせるように言ったのは、きっと二度とリョウスケに頼らないと決めたからだろう。イラだっているせいか、場所がよくわからない。タカナオはそんなヒナを見ながら地図の一点を指差した。
「ここ……、違う?」
間違っていたらという不安を感じながら指した。
「……あ、そうかも」
ヒナは今来た道を思い出しながら地図を指でなぞると呟いた。どうやら、ニビシティまでの道を一本間違えているらしく、それがわかるとタカナオとヒナはため息をついてリョウスケを見た。彼は「わりぃ」と軽く謝る。
「まあ、戻れば良いや。二人とも戻ろう」
タカナオがさっき来た道を戻ろうと振り返る。すると、少年が目の前に仁王立ちしていた。
「おい、お前!」
少年はタカナオを指さして呼んだ。凄い剣幕で自分を見ている。無論、最近この世界に来たタカナオはその少年を知るはずもない。
先程、リョウスケの勘で進んでいた道を見たタカナオは、何故かそっちの方向に歩き出す。
「二人とも、こっちの道を通ってみようよ。なんとかなる気がする」
あまり、面倒な事には巻き込まれたくない。しかも嫌な予感がする。
「あぁ、そうだな」
「……タカナオが言うなら良いわよ」
絶対に面倒臭くなるやつ。リョウスケとヒナも同感らしく、タカナオについて行く。しかし、見ず知らずの少年は走って進行方向を塞ぐ。
「何か用ですか?」
年齢的には、タカナオの方が上だが彼は偉そうにしている少年の態度を見て、面倒な事にならないよう敬語を使う。
「お前、北風使いの弟だろ!!」
指で差され、少しムカついたが、そんな事を気にしている場合ではない。タカナオは敵かと思って一歩下がった。
「な、なんで僕のことを?」
また連れて行かれそうになるのかと思うと気が引ける。
「俺、北風使いの大ファンなんだ!」
「……は?」
拍子抜けした。とりあえず敵ではなさそうだ。そこは安心できた。
「前から会ってみたくてさ。北風使いの弟が、ここらを歩いてるって噂を聞いたから走って追いかけてたんだ!」
どういう噂が回ったのだろうか。敵がいるため、いくらでも自分が北風使いの弟だという噂は流れるだろうが、このトキワの森を歩いてることを誰がいつ流したのか良くわからない。噂というのは怖いものだ。
「……迷ったな」
「……迷ったわね」
「迷ったの?」
腕を組んだリョウスケに、一生懸命地図を開き場所を確認しているヒナ。タカナオはヒナの持っている地図に顔を覗かせた。
「だから地図を見て行こうって言ったのよ。トキワの森なんか楽勝とか言って、リョウスケの勘なんて当てになるわけないじゃない」
ヒナが自分に言い聞かせるように言ったのは、きっと二度とリョウスケに頼らないと決めたからだろう。イラだっているせいか、場所がよくわからない。タカナオはそんなヒナを見ながら地図の一点を指差した。
「ここ……、違う?」
間違っていたらという不安を感じながら指した。
「……あ、そうかも」
ヒナは今来た道を思い出しながら地図を指でなぞると呟いた。どうやら、ニビシティまでの道を一本間違えているらしく、それがわかるとタカナオとヒナはため息をついてリョウスケを見た。彼は「わりぃ」と軽く謝る。
「まあ、戻れば良いや。二人とも戻ろう」
タカナオがさっき来た道を戻ろうと振り返る。すると、少年が目の前に仁王立ちしていた。
「おい、お前!」
少年はタカナオを指さして呼んだ。凄い剣幕で自分を見ている。無論、最近この世界に来たタカナオはその少年を知るはずもない。
先程、リョウスケの勘で進んでいた道を見たタカナオは、何故かそっちの方向に歩き出す。
「二人とも、こっちの道を通ってみようよ。なんとかなる気がする」
あまり、面倒な事には巻き込まれたくない。しかも嫌な予感がする。
「あぁ、そうだな」
「……タカナオが言うなら良いわよ」
絶対に面倒臭くなるやつ。リョウスケとヒナも同感らしく、タカナオについて行く。しかし、見ず知らずの少年は走って進行方向を塞ぐ。
「何か用ですか?」
年齢的には、タカナオの方が上だが彼は偉そうにしている少年の態度を見て、面倒な事にならないよう敬語を使う。
「お前、北風使いの弟だろ!!」
指で差され、少しムカついたが、そんな事を気にしている場合ではない。タカナオは敵かと思って一歩下がった。
「な、なんで僕のことを?」
また連れて行かれそうになるのかと思うと気が引ける。
「俺、北風使いの大ファンなんだ!」
「……は?」
拍子抜けした。とりあえず敵ではなさそうだ。そこは安心できた。
「前から会ってみたくてさ。北風使いの弟が、ここらを歩いてるって噂を聞いたから走って追いかけてたんだ!」
どういう噂が回ったのだろうか。敵がいるため、いくらでも自分が北風使いの弟だという噂は流れるだろうが、このトキワの森を歩いてることを誰がいつ流したのか良くわからない。噂というのは怖いものだ。