3章 旅立ちの朝
裏切り者となったシャイルとマルナは、途中、休憩を入れていた。なるべくマサラタウンを離れてきたが、寝ていないせいか、体が重く、ついに森の中の木陰で休むことにした。
昼も暗いトキワの森は、想像以上に眠気を誘う。それでも眠れないのは、きっとシャイルの精神状態が原因。シャイルはちらりと荷物整理をするマルナを見る。
「なぁ、マルナ。本当に良いのか? カルナはお前の母親だ。心配するだろう?」
心配そうに、トーンを下げた声で言ったシャイルに、マルナは首を横に振った。マルナは、組織のボス、カルナの娘なのだ。それがずっと気掛かりだった。
もちろん、マルナを疑う心はまったくない。が、母親から引き離してしまって良かったのだろうかと心配する。
「いいえ、お母様の行なっていることは間違いです。それに、あの人は心配なんてしていませんよ」
寂しそうにマルナは言った。
「心配しない親なんていないと思うぞ」
シャイルは優しく言った。自分もつい最近まで、心配しない親もいるものだと思っていた。しかし、ある出来事があって違うことに気付かされた。
世界の破滅を企んでいても、カルナは母親だ。マルナは世界の破滅の最後まで娘だ。そこに変わりはない。マルナは顔を歪める。
「シャイル様……。私は組織の人間です。貴方が来る前にやっていた行いは消えません。それはつまり組織で母が私を利用していたということに他なりません。もう少し早く動いていれば、こんなことにはならなかったですし、だから結果的に貴方を組織に入れることになってしまったんです」
「自分を責めるな。組織に入ることになったのは、お前のせいじゃない。ボスのせいだろ。それにお前がいなければ、俺は途方に暮れてた。マルナには感謝してる」
シャイルは、マルナの頭に手を乗せた。温もりが伝わり、マルナは涙を溜める。
「……すみません」
泣いたことに謝るマルナにシャイルは微笑む。
「いいさ。さぁ、落ち着いたら、また歩くぞ」
「はい」
二人はもう少し休んでいくことにした。
昼も暗いトキワの森は、想像以上に眠気を誘う。それでも眠れないのは、きっとシャイルの精神状態が原因。シャイルはちらりと荷物整理をするマルナを見る。
「なぁ、マルナ。本当に良いのか? カルナはお前の母親だ。心配するだろう?」
心配そうに、トーンを下げた声で言ったシャイルに、マルナは首を横に振った。マルナは、組織のボス、カルナの娘なのだ。それがずっと気掛かりだった。
もちろん、マルナを疑う心はまったくない。が、母親から引き離してしまって良かったのだろうかと心配する。
「いいえ、お母様の行なっていることは間違いです。それに、あの人は心配なんてしていませんよ」
寂しそうにマルナは言った。
「心配しない親なんていないと思うぞ」
シャイルは優しく言った。自分もつい最近まで、心配しない親もいるものだと思っていた。しかし、ある出来事があって違うことに気付かされた。
世界の破滅を企んでいても、カルナは母親だ。マルナは世界の破滅の最後まで娘だ。そこに変わりはない。マルナは顔を歪める。
「シャイル様……。私は組織の人間です。貴方が来る前にやっていた行いは消えません。それはつまり組織で母が私を利用していたということに他なりません。もう少し早く動いていれば、こんなことにはならなかったですし、だから結果的に貴方を組織に入れることになってしまったんです」
「自分を責めるな。組織に入ることになったのは、お前のせいじゃない。ボスのせいだろ。それにお前がいなければ、俺は途方に暮れてた。マルナには感謝してる」
シャイルは、マルナの頭に手を乗せた。温もりが伝わり、マルナは涙を溜める。
「……すみません」
泣いたことに謝るマルナにシャイルは微笑む。
「いいさ。さぁ、落ち着いたら、また歩くぞ」
「はい」
二人はもう少し休んでいくことにした。