2章 姉
『お姉ちゃんなんでそんなに、ポケモンが好きなの?』
『え……っと、好きだから好きなの』
ふいにそんな会話が蘇った。全く言った覚えのない言葉。しかし、たしかにあった会話。
ずっと小さい時の記憶。彼女は自分の質問に答えになっていない答えを放った。けれども、本当に好きなのは伝わっていた。いつもテレビに張り付いてポケモンを観ていた。ゲームでポケモンバトルをすることもよくあった。
そんな姉は、3ヶ月前、突然に姿を消してしまった。
「だから、お姉ちゃんだよ!」
「何言ってんのよ、あんたにお姉ちゃんなんていないでしょ」
その言葉に驚いた。ありえない。母が自分の娘を忘れるわけがない。しかし、妙に胸騒ぎがする。
「……じ、冗談はなしだよ?」
「冗談って、タカナオが冗談言っているじゃない」
おかしい。たしかに母親は冗談をよく言うが、表情でわかる。本気で言っているらしかった。にわかに信じ難いことが起こっている。ドクドクと心臓が脈打つ。
「もういいよ」
携帯を持って、部屋へ戻った。そして、ベッドに寝転がると携帯を開く。携帯が表示している時間は、もう夜の11時を越していた。どうしてもミズカの消息が気になり、携帯のアドレス帳でミズカの携帯番号を探す。
「ミズカ……ミズカ……」
姉の名前を呼びながら、アドレス帳を端から見ていく。しかし、彼女の名前はなかった。
「……お姉ちゃんのメールアドレスも携帯番号も……ない?」
それだけじゃない。名前すらなかった。頭が真っ白になって行く。
「……部屋」
そうだ、姉の部屋だ。もしかしたら、書き置きでもしているかもしない。ベッドからピョンと飛び起きて、少しミズカの部屋に入るのは気が引けたが、勢いよくドアを開けた。……しかし、そこはただの空き部屋と化していた。そのガランとした部屋が、彼女の存在を否定する。
「……お……姉ちゃん……?」
ミズカは、タカナオの中だけの存在となっていることに、やっと理解した。
「……どうして」
何がなんだかわからない。自分の姉が一瞬にして消えてしまった。
タカナオは、家を飛び出した。公園や店、心当たりのあるところは隅から隅まで探した。そして、出会ったのは、前の父親だった。
タカナオの母は一度離婚し、再婚している。今の父親は実の父親ではない。目の前に立っていたのは、実の父親の方であった。
「……なんでお姉ちゃんがいないの?」
そう聞くと、父親は困った表情をした。やはり自分の言っていることはおかしく聞こえるのだろうか。そう思った瞬間、意識を失っていた。
起きたときには、ベッドの上。自分も姉の存在を忘れていた――。
『え……っと、好きだから好きなの』
ふいにそんな会話が蘇った。全く言った覚えのない言葉。しかし、たしかにあった会話。
ずっと小さい時の記憶。彼女は自分の質問に答えになっていない答えを放った。けれども、本当に好きなのは伝わっていた。いつもテレビに張り付いてポケモンを観ていた。ゲームでポケモンバトルをすることもよくあった。
そんな姉は、3ヶ月前、突然に姿を消してしまった。
「だから、お姉ちゃんだよ!」
「何言ってんのよ、あんたにお姉ちゃんなんていないでしょ」
その言葉に驚いた。ありえない。母が自分の娘を忘れるわけがない。しかし、妙に胸騒ぎがする。
「……じ、冗談はなしだよ?」
「冗談って、タカナオが冗談言っているじゃない」
おかしい。たしかに母親は冗談をよく言うが、表情でわかる。本気で言っているらしかった。にわかに信じ難いことが起こっている。ドクドクと心臓が脈打つ。
「もういいよ」
携帯を持って、部屋へ戻った。そして、ベッドに寝転がると携帯を開く。携帯が表示している時間は、もう夜の11時を越していた。どうしてもミズカの消息が気になり、携帯のアドレス帳でミズカの携帯番号を探す。
「ミズカ……ミズカ……」
姉の名前を呼びながら、アドレス帳を端から見ていく。しかし、彼女の名前はなかった。
「……お姉ちゃんのメールアドレスも携帯番号も……ない?」
それだけじゃない。名前すらなかった。頭が真っ白になって行く。
「……部屋」
そうだ、姉の部屋だ。もしかしたら、書き置きでもしているかもしない。ベッドからピョンと飛び起きて、少しミズカの部屋に入るのは気が引けたが、勢いよくドアを開けた。……しかし、そこはただの空き部屋と化していた。そのガランとした部屋が、彼女の存在を否定する。
「……お……姉ちゃん……?」
ミズカは、タカナオの中だけの存在となっていることに、やっと理解した。
「……どうして」
何がなんだかわからない。自分の姉が一瞬にして消えてしまった。
タカナオは、家を飛び出した。公園や店、心当たりのあるところは隅から隅まで探した。そして、出会ったのは、前の父親だった。
タカナオの母は一度離婚し、再婚している。今の父親は実の父親ではない。目の前に立っていたのは、実の父親の方であった。
「……なんでお姉ちゃんがいないの?」
そう聞くと、父親は困った表情をした。やはり自分の言っていることはおかしく聞こえるのだろうか。そう思った瞬間、意識を失っていた。
起きたときには、ベッドの上。自分も姉の存在を忘れていた――。
