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2章 姉

「おい、タカ。今日部活休みだろ? 遊びに行こうぜ!」
「ごめん。今日は塾なんだ」
「わかった。また今度な」

友達がそう返事をすると、塾だと言って遊びを断った少年は教室を出て行った。この少年、タカナオは中学2年生の14歳。野球部に所属しているごく普通の男子である。

今日は部活が休みなのだが、塾のため、友達と遊ぶことが出来なかった。タカナオが学校を後にして十分が経とうとしていた。

人の気配のない場所に差し掛かった。そこを少し歩いていると、いつもは見かけない変わった姿の少女がいた。年齢は彼とそこまで変わらないように思える。

格好は、フリフリのオレンジのドレスに頭には赤いリボン、外人なのか、髪は長く綺麗な金髪だった。心なしか、自分が見られている気がする。

タカナオは知らない顔で、その少女を素通りしようとした。

「貴方がタカナオね」

やはり見られていたらしい。少女に呼び止められてしまった。タカナオは怪訝な顔を浮かべる。彼女には会ったことがない。なぜ、名前を知っているのか。

「何?」
「やっぱり! 似ているからすぐにわかったわ!」

タカナオの言葉は無視し、少女は嬉しそうにしている。

「似てる……?」
「そう、貴方のお姉さんに」

彼女の言葉に顔をしかめる。タカナオに姉などはいない。一人っ子だ。何を言っているのか、全く話が掴めなかった。人違いだろうか。いや、自分の名前を知っていた。

「わからないはずだわ。貴方のお姉さんは、この世界には存在していないもの。記憶になくて当然よ」

微笑む彼女に、ますます混乱する。

「今はわからなくて良いわ。貴方には、これから、あちらの世界へ行ってもらわないとならないし」
「何言ってんの? これから塾があるから行くよ。じゃあね」

意味がわからないことをこれ以上聞いていても仕方がない。タカナオは少し腹立たしく思いながらも、帰路を行こうとする。

「仕方ないわ。話を聞いてもらえないのなら、あちらの世界で聞いてもらうわ。出てきて、リングマ!」

タカナオは驚いて、バッと振り返る。そこには、少女と大きな熊がいた。

「うそ……だろ!?」

思わず目を擦らずにはいられなかった。少女の前には、この世界にいるはずのない……。架空の生き物がいた。彼はこの熊が何か知っているのである。
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