1章 北風使いの生まれ変わり
自分が行くことも考えるが、生憎サトシと違い外せない仕事がいくつもある。むしろ、それをさっさと片付けたい。カスミだって、いつまでもジムを開けているわけにいかないだろう。だったら、やはりサトシに頼むしかないのだろうか。
「俺、やります」
シゲルが悩んでいると、ここにない声が聞こえた。
声がする方を見ると、少し赤み掛かった髪色の少年がドアに寄り掛かっていた。彼はそのまま部屋に入ってくる。
「リョウスケ……!」
彼の名はリョウスケ。ここマサラタウンに住む14歳の少年である。彼は頬をポリポリと掻く。
「すみません。入れそうな空気じゃなかったんで、盗み聞きみたいになりました」
「今の全部聞いて……?」
「はい。ジュンサーさんと話してるところから」
リョウスケは苦笑した。サトシたちは顔を見合わせる。
「俺なら暇っす。こないだカントーリーグ終わったばっかで帰ってきたところなんすよ」
「ああ、そっか。優勝おめでとう」
サトシが思い出したように言う。サトシの後輩に当たるリョウスケとは、何度か研究所で出会している。その後は何度かバトルもしている仲だ。
そんな彼は、ハルカの弟であるマサトを下してカントーリーグ優勝を果たした。そのマサトとはライバル関係にある。確かに、もし頼めるのなら、リーグ優勝者の彼なら適任だ。
「頼んでいいのか?」
すぐにサトシ達はその気になる。リョウスケは口角を上げて頷いた。
「サトシさん達は、北風使いの生まれ変わりを探したいでしょうし、なんだったら弟の護衛もしますよ」
リョウスケの安請け合いにシゲルは首を傾げる。
「なぜそこまで手伝ってくれるんだい?」
「まだやりたいことも終わってねぇのに世界が終わりを告げるのを見たくないっす」
リョウスケはさらりと返事をした。世界が終わるかもしれない。たしかに、サトシたちはそれよりミズカのことで頭がいっぱいだが、普通はそういう思考になる。
そもそもサトシたちはミズカのことをよくわかっている。死んでも、自分から世界を滅ぼそうとはしない。だから、心配なのだが。
「俺、やります」
シゲルが悩んでいると、ここにない声が聞こえた。
声がする方を見ると、少し赤み掛かった髪色の少年がドアに寄り掛かっていた。彼はそのまま部屋に入ってくる。
「リョウスケ……!」
彼の名はリョウスケ。ここマサラタウンに住む14歳の少年である。彼は頬をポリポリと掻く。
「すみません。入れそうな空気じゃなかったんで、盗み聞きみたいになりました」
「今の全部聞いて……?」
「はい。ジュンサーさんと話してるところから」
リョウスケは苦笑した。サトシたちは顔を見合わせる。
「俺なら暇っす。こないだカントーリーグ終わったばっかで帰ってきたところなんすよ」
「ああ、そっか。優勝おめでとう」
サトシが思い出したように言う。サトシの後輩に当たるリョウスケとは、何度か研究所で出会している。その後は何度かバトルもしている仲だ。
そんな彼は、ハルカの弟であるマサトを下してカントーリーグ優勝を果たした。そのマサトとはライバル関係にある。確かに、もし頼めるのなら、リーグ優勝者の彼なら適任だ。
「頼んでいいのか?」
すぐにサトシ達はその気になる。リョウスケは口角を上げて頷いた。
「サトシさん達は、北風使いの生まれ変わりを探したいでしょうし、なんだったら弟の護衛もしますよ」
リョウスケの安請け合いにシゲルは首を傾げる。
「なぜそこまで手伝ってくれるんだい?」
「まだやりたいことも終わってねぇのに世界が終わりを告げるのを見たくないっす」
リョウスケはさらりと返事をした。世界が終わるかもしれない。たしかに、サトシたちはそれよりミズカのことで頭がいっぱいだが、普通はそういう思考になる。
そもそもサトシたちはミズカのことをよくわかっている。死んでも、自分から世界を滅ぼそうとはしない。だから、心配なのだが。