悲しみで塞ぎ込んでいる場合ではない。自分は今、指名手配の身だ。次のことを考えなければならない。

――そういえば、エーフィは大丈夫かな……。

まずは記憶が戻ったことでやることがある。怪我をしたエーフィだ。誰かに居場所を聞こうと思い、歩いていく。ロビーには、探していたエーフィが微笑んで立っていた。彼女はまだ傷が治っていないものの動けるようになったらしい。そして、病室から戻ってくるミズカを待っていたのだ。

「エーフィ……」

いつの日か、また彼女と一緒に旅をする事を願っていた。かけがえのないポケモン達の一匹。最初のパートナー。様々な思いが込み上げてくる。エーフィは此方へ走ってきて、ミズカの胸に飛び込んだ。彼女もしっかり受け止め、抱き返す。

「元気だった？」
「フィ」
「さっきは、ありがとう」

エーフィは首を横に振る。やっとミズカに会えた。エーフィは嬉しくて仕方がなかった。

ミズカは今度はサーナイトとチルタリスをモンスターボールから出した。エーフィの反応を見て、二匹はミズカが記憶を取り戻したのだと悟った。エーフィから離れ、二匹に抱きつく。

「一緒にいてくれてありがとう」

２匹はニコッと笑う。この日を待ち続けていた。主人が記憶を取り戻してくれる日を待ち望んでいた。彼女なら記憶を蘇らせることが出来ると信じていたのだ。

「これからも……お願い出来る？」

その言葉に、当然と言った表情で頷く。

「……ありがとう」

安心したせいか、ドッと疲れが出て彼女の体を重くした。頭がクラクラし、そのまま眠りに入ってしまった。そこがロビーだったため良かったが、いつもの調子のミズカに三匹はため息をつく。そして、エーフィはサトシ達を呼んでくる事にした。