1章 北風使いの生まれ変わり
「ピカチュウもいいか?」
「ピカ!」
ピカチュウに聞けば、全然問題がなさそうだ。
「でも断って大丈夫なの? あんたの参加に期待する人沢山いるみたいだけど」
「こればっかりは仕方ないだろ。ちゃんと事情は話すさ。流石に妹だってことは言おうかどうしようか迷ってるけど」
カスミの心配をよそに、サトシはもうその気だった。
「サトシが動けるなら大きいわね。……そういえば、NWGもミズカを探しているのよね?」
「そうじゃな。ミズカが来る前にミズカを保護するから時空間を繋げてほしいと頼まれた」
「断ったんですか?」
「時空間が歪むこともあったんじゃが、ミズカに記憶のないまま、こちらに来させるのは酷じゃ。それに、本来は簡単に時空間は繋げないはず。ミズカがこちらに来るよりは安全じゃと思っとった」
オーキドの言うことには納得する。結果的にこうなってしまっているが、こちらにいるのが危険なのであれば、下手にこの世界に呼ばないほうがいい。それにしても、なぜ簡単に繋げない時空間を繋げられたのか。サトシはそっちのほうが気になった。
「ミズカ、NWGに自分から行けばいいのに、なんで行かないのかしら?」
「行かない理由はいくつか考えられる。破滅の鍵は世界の破滅を防ぐために、鍵自体を壊せるらしい。スイクンも先に見つけておきたいんじゃないかな。あるいは、もう……」
「悪い方の組織に捕まってるって?」
シゲルが言いにくそうにすると、サトシがストレートに聞く。カスミが眉を潜めた。
「そんな……」
「あくまで可能性の話だよ。警察の発表だと警察にミズカが助けを求める連絡を入れたのが、一ヶ月前。そこから何も音沙汰がない。可能性はなくはない」
「え、連絡あったのか」
サトシは一連のニュースをまるで知らない。まさか、連絡を入れる機転がミズカにあると思っていなかった。
「捕まっていても破滅の鍵が見つかってないんじゃ、組織は動けない。膠着状態になっている可能性もある」
「てことは、いずれにしろ破滅の鍵が見つかってないってことか」
「その可能性は高い。仮に見つかっているなら、スイクンに会えさえすれば壊せるはずだからね」
シゲルの推測に二人は納得する。破滅の鍵が見つかっていないのなら、ミズカが捕まったとしても組織はミズカがいないと世界の破滅をさせられない。だから、シゲルも冷静にいられた。
一息ついたところで遠くから電話の着信メロディーが流れた。少しすると、ケンジが顔を覗かせる。
「博士。ジュンサーさんが頼みたいことがあるらしくて……。北風使いについてだそうです」
サトシ達に緊張が走る。オーキドが立ち上がると、サトシ達も立ち上がり、ついていった。
「すみません。よろしいですか」
「どうしましたかな?」
オーキドが対応する。サトシ達は後ろでジュンサーとオーキドの会話を見守っていた。
「先程、ミズカさんからこちらに連絡がありました。『あたしは無事です。それよりも弟が危ないんです。助けてください。オーキド研究所に連絡を入れれば、多分何かわかるので』と」
「弟……」
「博士、何か心当たりは?」
オーキドはジュンサーの問いに腕を組んで考える。
オーキドに連絡を入れることを頼んだということは、ミズカは昔こちらに来ていたことを知っている。ますますノリタカが手を貸していることが濃厚になった。
「ピカ!」
ピカチュウに聞けば、全然問題がなさそうだ。
「でも断って大丈夫なの? あんたの参加に期待する人沢山いるみたいだけど」
「こればっかりは仕方ないだろ。ちゃんと事情は話すさ。流石に妹だってことは言おうかどうしようか迷ってるけど」
カスミの心配をよそに、サトシはもうその気だった。
「サトシが動けるなら大きいわね。……そういえば、NWGもミズカを探しているのよね?」
「そうじゃな。ミズカが来る前にミズカを保護するから時空間を繋げてほしいと頼まれた」
「断ったんですか?」
「時空間が歪むこともあったんじゃが、ミズカに記憶のないまま、こちらに来させるのは酷じゃ。それに、本来は簡単に時空間は繋げないはず。ミズカがこちらに来るよりは安全じゃと思っとった」
オーキドの言うことには納得する。結果的にこうなってしまっているが、こちらにいるのが危険なのであれば、下手にこの世界に呼ばないほうがいい。それにしても、なぜ簡単に繋げない時空間を繋げられたのか。サトシはそっちのほうが気になった。
「ミズカ、NWGに自分から行けばいいのに、なんで行かないのかしら?」
「行かない理由はいくつか考えられる。破滅の鍵は世界の破滅を防ぐために、鍵自体を壊せるらしい。スイクンも先に見つけておきたいんじゃないかな。あるいは、もう……」
「悪い方の組織に捕まってるって?」
シゲルが言いにくそうにすると、サトシがストレートに聞く。カスミが眉を潜めた。
「そんな……」
「あくまで可能性の話だよ。警察の発表だと警察にミズカが助けを求める連絡を入れたのが、一ヶ月前。そこから何も音沙汰がない。可能性はなくはない」
「え、連絡あったのか」
サトシは一連のニュースをまるで知らない。まさか、連絡を入れる機転がミズカにあると思っていなかった。
「捕まっていても破滅の鍵が見つかってないんじゃ、組織は動けない。膠着状態になっている可能性もある」
「てことは、いずれにしろ破滅の鍵が見つかってないってことか」
「その可能性は高い。仮に見つかっているなら、スイクンに会えさえすれば壊せるはずだからね」
シゲルの推測に二人は納得する。破滅の鍵が見つかっていないのなら、ミズカが捕まったとしても組織はミズカがいないと世界の破滅をさせられない。だから、シゲルも冷静にいられた。
一息ついたところで遠くから電話の着信メロディーが流れた。少しすると、ケンジが顔を覗かせる。
「博士。ジュンサーさんが頼みたいことがあるらしくて……。北風使いについてだそうです」
サトシ達に緊張が走る。オーキドが立ち上がると、サトシ達も立ち上がり、ついていった。
「すみません。よろしいですか」
「どうしましたかな?」
オーキドが対応する。サトシ達は後ろでジュンサーとオーキドの会話を見守っていた。
「先程、ミズカさんからこちらに連絡がありました。『あたしは無事です。それよりも弟が危ないんです。助けてください。オーキド研究所に連絡を入れれば、多分何かわかるので』と」
「弟……」
「博士、何か心当たりは?」
オーキドはジュンサーの問いに腕を組んで考える。
オーキドに連絡を入れることを頼んだということは、ミズカは昔こちらに来ていたことを知っている。ますますノリタカが手を貸していることが濃厚になった。