9章 悲しき現実と蘇る記憶
「あの条件は考えたか」
「考えなくても答えは出てる」
カルナの言葉に、ミズカはムッとした表情でそう言った。
「逆らうのか。ならばリョウスケがどう……。何!?」
隣を見るが、リョウスケはいなかった。いつの間にか、タカナオが彼に肩を貸している。サーナイトがテレポートでリョウスケを此方に連れてきたのだ。
「ミズカさん……。すみません」
「謝らないの。あたしが悪いんだから」
リョウスケを助けられたものの不利には変わりなかった。キッとカルナを睨み付ける。
「今の状況を考えても、我々に逆らう気みたいだな。……マルナ、お前は私の子ではなかったか?」
「世界の破滅なんて間違っています!」
マルナが前に出てきた。
「世界の破滅は、殺しです」
言うのが苦しい。何故、親を前にして、言わなければならないのだろう。
「……生き物を殺そうとするのは間違ってます」
マルナの悲しみに満ちた表情に、サトシ達は8年前のミズカと重なり合わせてしまった。ミズカは、またデジャヴを感じる。
「私は、生き物を殺す自分の親を見たくないんです。何故、そんなにも酷いことをするのですか? 何故、私だけ組織に残したのですか?」
マルナの、残したという言葉に、タカナオ達は首を傾げる。
「知っていたのか」
「はい。姉妹で、知っていました」
ヒナがマルナの隣に来た。
「ヒナ……?」
「ごめんなさい」
タカナオがヒナを呼ぶと、彼女は謝った。ミズカは顔を歪める。どうやらミズカも知っているらしい。しかし、他の者は勿論理解出来ずに顔をしかめている。
「あたしとマルナは、双子の姉妹なのよ」
いきなりなもので驚いた。言葉にならない。とくに驚いたのはリョウスケだった。タカナオは驚きはしたが、妙に腑に落ちた。ヒナがリョウスケを信じられた理由……。確信を持って言えたのは、きっと彼女――マルナの存在があったからだ、と。
「双子って……似てないじゃない……」
「似てない双子はマレにいますよ」
カスミの疑問にヒナは答える。
「二卵性双生児か」
タケシの言葉に、ヒナは頷いた。そっくりに生まれてくる双子は、一卵性双生児。大体は、そうなる。しかし、ヒナとマルナは二卵性双生児で、普通の兄弟姉妹が似ているような感じなのだ。たしかに二人は金髪で、茶色が少し混じった黒い瞳をしていた。
「え、でも、ヒナはちゃんとお母さんが……」
「あたしは養子です。NWGのボスであるカルナに捨てられたんですよ。占い師に言われて……」
ヒカリが聞くと、ヒナは下を向いて言った。
「幼心に、ショックを受けてました。なんでヒナなんだろうって……。一年前どうしても会いたくなって連絡を取り合うようになったんです。でも、NWGが悪の組織だとか、そういう話は全くしませんでした」
タカナオはヒナが自分と旅をしている理由にやっと納得がいった。もちろん、ミズカと再会したいというのも本当だろう。しかし、再会したい人が他にいたのだ。それが、マルナだったとは。
「これも全て北風使いのせい。マルナ、お前はそう思っていたはずだがな」
カルナは、ミズカを見た。マルナは顔を歪める。まるでミズカが全て悪い様だ。
「何せ、今は世界の破滅を望む極悪非道な北風使いだもんなぁ」
ごくりと息を飲む。事実がそうでなくても世間ではそれが事実となっている。
「さて、これだけ考える時間を与えてやってるんだ。そろそろいい返事を聞かせてもらいたい。せっかく傷ついて立てなくした奴らも動けるようになったみたいだしな」
「ふざけないで。あたしは最初からあんなところに行く気なんてなかった。何を言われても、戻るなんて言わない」
カルナに返事を聞かれ、ミズカはそう答えた。
「考えなくても答えは出てる」
カルナの言葉に、ミズカはムッとした表情でそう言った。
「逆らうのか。ならばリョウスケがどう……。何!?」
隣を見るが、リョウスケはいなかった。いつの間にか、タカナオが彼に肩を貸している。サーナイトがテレポートでリョウスケを此方に連れてきたのだ。
「ミズカさん……。すみません」
「謝らないの。あたしが悪いんだから」
リョウスケを助けられたものの不利には変わりなかった。キッとカルナを睨み付ける。
「今の状況を考えても、我々に逆らう気みたいだな。……マルナ、お前は私の子ではなかったか?」
「世界の破滅なんて間違っています!」
マルナが前に出てきた。
「世界の破滅は、殺しです」
言うのが苦しい。何故、親を前にして、言わなければならないのだろう。
「……生き物を殺そうとするのは間違ってます」
マルナの悲しみに満ちた表情に、サトシ達は8年前のミズカと重なり合わせてしまった。ミズカは、またデジャヴを感じる。
「私は、生き物を殺す自分の親を見たくないんです。何故、そんなにも酷いことをするのですか? 何故、私だけ組織に残したのですか?」
マルナの、残したという言葉に、タカナオ達は首を傾げる。
「知っていたのか」
「はい。姉妹で、知っていました」
ヒナがマルナの隣に来た。
「ヒナ……?」
「ごめんなさい」
タカナオがヒナを呼ぶと、彼女は謝った。ミズカは顔を歪める。どうやらミズカも知っているらしい。しかし、他の者は勿論理解出来ずに顔をしかめている。
「あたしとマルナは、双子の姉妹なのよ」
いきなりなもので驚いた。言葉にならない。とくに驚いたのはリョウスケだった。タカナオは驚きはしたが、妙に腑に落ちた。ヒナがリョウスケを信じられた理由……。確信を持って言えたのは、きっと彼女――マルナの存在があったからだ、と。
「双子って……似てないじゃない……」
「似てない双子はマレにいますよ」
カスミの疑問にヒナは答える。
「二卵性双生児か」
タケシの言葉に、ヒナは頷いた。そっくりに生まれてくる双子は、一卵性双生児。大体は、そうなる。しかし、ヒナとマルナは二卵性双生児で、普通の兄弟姉妹が似ているような感じなのだ。たしかに二人は金髪で、茶色が少し混じった黒い瞳をしていた。
「え、でも、ヒナはちゃんとお母さんが……」
「あたしは養子です。NWGのボスであるカルナに捨てられたんですよ。占い師に言われて……」
ヒカリが聞くと、ヒナは下を向いて言った。
「幼心に、ショックを受けてました。なんでヒナなんだろうって……。一年前どうしても会いたくなって連絡を取り合うようになったんです。でも、NWGが悪の組織だとか、そういう話は全くしませんでした」
タカナオはヒナが自分と旅をしている理由にやっと納得がいった。もちろん、ミズカと再会したいというのも本当だろう。しかし、再会したい人が他にいたのだ。それが、マルナだったとは。
「これも全て北風使いのせい。マルナ、お前はそう思っていたはずだがな」
カルナは、ミズカを見た。マルナは顔を歪める。まるでミズカが全て悪い様だ。
「何せ、今は世界の破滅を望む極悪非道な北風使いだもんなぁ」
ごくりと息を飲む。事実がそうでなくても世間ではそれが事実となっている。
「さて、これだけ考える時間を与えてやってるんだ。そろそろいい返事を聞かせてもらいたい。せっかく傷ついて立てなくした奴らも動けるようになったみたいだしな」
「ふざけないで。あたしは最初からあんなところに行く気なんてなかった。何を言われても、戻るなんて言わない」
カルナに返事を聞かれ、ミズカはそう答えた。