1章 北風使いの生まれ変わり
「博士、記憶は戻りました。話してください」
「思い出したの……?」
「もうバッチリ。ミズカを探しに行こうぜ!」
カスミは目を輝かせた。そして、エーフィと顔を見合わせると、大きく頷く。
「サトシもシゲルも、そこに座ると良いじゃろう」
オーキドも安心して、二人をソファに促した。二人は腰を下ろす。
「博士はミズカが北風使いの生まれ変わりだと知ってましたか?」
単刀直入にサトシが聞く。答えはわかっていたが、確認しておきたかった。
「いや、まったく。じゃが、ノリタカが子供を殺そうとしていることに、もう少し深く突っ込むべきじゃった。すっかり人が変わったと思っていたのでな」
「北風使いが破滅の力を持っていることは知っていたんですね」
「それは勿論じゃ。ノリタカと研究していたのが、スイクン伝説。スイクン伝説と北風使いは切っても切り離せんよ」
「……じゃあ8年前、言っとけば良かったんだな」
サトシはぼそりと呟く。オーキドには関係ない話だと、言わないままだった。言っておけば、こんなややこしい自体にはなってなかったはずだ。
「お前さんは知っとったのか」
「はい。それに8年前の別れのときにスイクンが来てたので、他の仲間たちも知ってます」
「そうじゃったか……」
オーキドは腕を組む。済んだことは仕方がない。このあとのことを考えるしかない。
問題はどうやってミズカを見つけるか。
「あの。今、ミズカがどの辺にいるかは見当つきますか?」
シゲルの質問にオーキドは「うむ」と考えながら、口を開いた。
「おそらくじゃが、カントー圏内。行ってもシンオウかホウエンじゃろう」
「なぜ?」
「まず一つに2ヶ月前に時空間の歪みが発生しておる。それがカントー地方のクチバ近郊じゃ。第二にミズカが記憶がないまでも自分が北風使いであることを知っている可能性が挙げられる。わしは、ノリタカが手を貸しているように思える」
「ノリタカさんがですが?」
「ミズカを殺害しようとした原因はこのことで間違いない。じゃが、こんなに大事になっているにも関わらず、連絡はまるでない。連絡できん状態かもしれん。下手に動いたら、向こうに見つかるような……。向こうに見つかってまずいのだとしたら、ミズカの居場所を知っているからじゃろう」
なるほど、とサトシは思う。別にノリタカ自身は関係ないのだから、いつでも連絡は取り合えるはずだ。それができない状態ということは、ノリタカがミズカを助けているということの裏付けになる。
「そして、第三に飛行機に乗って移動するような大きな動きは組織にバレやすい。じゃから、ここから飛行機を使わずに済む地方にいると考えられるじゃろう。それから、スイクンや破滅の鍵を探しているのであれば、スイクン伝説はジョウト近辺の話だと言われておる。そこから離れることは考えづらい」
「ということは、カントーやジョウトから探したほうがいいのね」
「それぞれ自分たちのやることもあるしな……。カントージョウトって絞れても骨が折れそうだぜ……」
サトシは小さくため息をついた。
「サトシはワールドチャンピオンシップスがあるからのう」
「いや、それは断るつもりです。まだ参加登録してないんで。逆にそのおかげであちこちの大会断ってるから、俺が一番動けます」
本来彼は1ヶ月後にワールドチャンピオンシップス……、通称WCSに参加予定だった。WCS自体はシーズン毎にやっているが、自由人のサトシは毎回出場しているわけじゃない。
それは初めてチャンピオンになったときもそうだった。次のシーズンは参加せず、カスミやタケシと旅をしていた。
「思い出したの……?」
「もうバッチリ。ミズカを探しに行こうぜ!」
カスミは目を輝かせた。そして、エーフィと顔を見合わせると、大きく頷く。
「サトシもシゲルも、そこに座ると良いじゃろう」
オーキドも安心して、二人をソファに促した。二人は腰を下ろす。
「博士はミズカが北風使いの生まれ変わりだと知ってましたか?」
単刀直入にサトシが聞く。答えはわかっていたが、確認しておきたかった。
「いや、まったく。じゃが、ノリタカが子供を殺そうとしていることに、もう少し深く突っ込むべきじゃった。すっかり人が変わったと思っていたのでな」
「北風使いが破滅の力を持っていることは知っていたんですね」
「それは勿論じゃ。ノリタカと研究していたのが、スイクン伝説。スイクン伝説と北風使いは切っても切り離せんよ」
「……じゃあ8年前、言っとけば良かったんだな」
サトシはぼそりと呟く。オーキドには関係ない話だと、言わないままだった。言っておけば、こんなややこしい自体にはなってなかったはずだ。
「お前さんは知っとったのか」
「はい。それに8年前の別れのときにスイクンが来てたので、他の仲間たちも知ってます」
「そうじゃったか……」
オーキドは腕を組む。済んだことは仕方がない。このあとのことを考えるしかない。
問題はどうやってミズカを見つけるか。
「あの。今、ミズカがどの辺にいるかは見当つきますか?」
シゲルの質問にオーキドは「うむ」と考えながら、口を開いた。
「おそらくじゃが、カントー圏内。行ってもシンオウかホウエンじゃろう」
「なぜ?」
「まず一つに2ヶ月前に時空間の歪みが発生しておる。それがカントー地方のクチバ近郊じゃ。第二にミズカが記憶がないまでも自分が北風使いであることを知っている可能性が挙げられる。わしは、ノリタカが手を貸しているように思える」
「ノリタカさんがですが?」
「ミズカを殺害しようとした原因はこのことで間違いない。じゃが、こんなに大事になっているにも関わらず、連絡はまるでない。連絡できん状態かもしれん。下手に動いたら、向こうに見つかるような……。向こうに見つかってまずいのだとしたら、ミズカの居場所を知っているからじゃろう」
なるほど、とサトシは思う。別にノリタカ自身は関係ないのだから、いつでも連絡は取り合えるはずだ。それができない状態ということは、ノリタカがミズカを助けているということの裏付けになる。
「そして、第三に飛行機に乗って移動するような大きな動きは組織にバレやすい。じゃから、ここから飛行機を使わずに済む地方にいると考えられるじゃろう。それから、スイクンや破滅の鍵を探しているのであれば、スイクン伝説はジョウト近辺の話だと言われておる。そこから離れることは考えづらい」
「ということは、カントーやジョウトから探したほうがいいのね」
「それぞれ自分たちのやることもあるしな……。カントージョウトって絞れても骨が折れそうだぜ……」
サトシは小さくため息をついた。
「サトシはワールドチャンピオンシップスがあるからのう」
「いや、それは断るつもりです。まだ参加登録してないんで。逆にそのおかげであちこちの大会断ってるから、俺が一番動けます」
本来彼は1ヶ月後にワールドチャンピオンシップス……、通称WCSに参加予定だった。WCS自体はシーズン毎にやっているが、自由人のサトシは毎回出場しているわけじゃない。
それは初めてチャンピオンになったときもそうだった。次のシーズンは参加せず、カスミやタケシと旅をしていた。