9章 ピチューを救え!

その頃ミズカは、

「バショウ、ブソン! ピチューを返して!」

やっとヘリに乗り込んだところだった。チコリータを戻し、隣にはエーフィがいる。

「このガキついてきやがった」
「野蛮な人のようです……」

まさか、ついてくるとは思っていなかった二人は、ミズカの行動に呆れ半分、驚き半分だ。そもそも、そんな身体能力があるとも思っていなかった。

「野蛮でもなんでも良いからピチューを返して!」
「しつこいガキだな」
「ピチューはどこ?!」
「探したきゃ俺達を倒せ」

ブソンが挑発する。ここはヘリの中。空の上。とても戦える環境ではない。

「金縛り!」

エーフィに指示を出して、二人の動きを止めた。金縛りは最近、エーフィが覚えた技だ。

「このガキ!!」

殴ろうとする勢いのブソンだが、体が動かない。 バショウは早々に諦めたようで、小さくため息をついた。

「エーフィ、しばらく頑張ってね」

エーフィは頷いた。とはいえ、金縛りは覚えたての技。そう長くは続かないことをエーフィ自身も、ミズカもわかっている。

ミズカはエーフィの金縛りが切れる前にと、ピチューを探す。ヘリコプターの中は意外に広く、探すのが大変だった。

「ピチュ!!」

探しているとピチューの声がヘリの後方からする。ミズカは声のする方へと急ぐ。ピチューは小さい檻の中に入れられていた。

「ピチュー! 無事だったのね!」

まずはピチューが何もされていなくて安心した。ピチューもミズカの助けに目を輝かせている。檻は、まさかミズカが来ると思ってもいなかったのだろう。外側からだと簡単に開けることが出来た。

檻が開いた瞬間、ピチューはミズカに抱きついた。ミズカも抱き返す。しかし、ここで、エーフィの金縛りの効果は切れてしまった。

――どうやって逃げよ……。全然考えてなかった。

ピチューを取り返して安心したのかミズカは冷静になる。
よく考えても、考えなくても空の上、とても逃げられる状態ではない。

たしか、エーフィは金縛りは長く持たなくてもサイコキネシスは出せたはずだ。つい最近やったバトルを思い出す。

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