9章 ピチューを救え!

「大人しく渡せば、何もしねぇのに。バショウ、こいつ絶対渡す気ないぞ」
「仕方がないですね。あまり手荒な真似はしたくないのですが……。ブソン頼みます」
「了解」

ブソンはミズカのところへ行き、ピチューを無理矢理取ろうとする。ミズカは必死で抵抗する。サトシもブソンを押さえようとするが、相手は大人。しかも鍛えられた身体の持ち主では到底太刀打ちできない。

二人とも吹っ飛ばされてしまい、ピチューをとられてしまった。二人とも尻餅をつく。お尻に鈍い痛みが走った。

「ミズカ! サトシ!」

タケシが叫ぶ。カスミとタケシがこちらへ走ってくるのが見えた。

「ブソン、ヘリを出してください」
「人使い荒いな」

ブソンは文句を言いながら何かリモコンを出しボタンを押した。すると、後ろからヘリコプターが出てきた。ヘリの入り口からロープが出ていてバショウとブソンはそこに掴み、すばやくヘリの中へ入る。ミズカはこのままピチューを盗られて溜まるもんかと、勢いよく立ち上がり、飛び出した。そして、上昇しようとするヘリのロープに掴む。ぎりぎりで掴んだロープ。ミズカはぶら下がっていてとても危険な状態だった。

「おい! ミズカ!」
「助けてくる!」

サトシが叫ぶが、ミズカは戻る気配がない。モンスターボールに触れると、チコリータを自分の腕の中に出した。そして、ヘリコプターの足のような部分……スキッドにつるのムチで巻き付くように指示を出す。

ミズカとチコリータはヘリに振り落とされないように慎重に上がって行った。

「また、無茶苦茶な……」

空を見上げながら、タケシはため息をついた。

「まったく、ミズカも無鉄砲なんだから……」
「も、って……?」
「サトシもって事だ」

カスミの言葉が引っかかり、サトシが聞くと、それにタケシが答えた。サトシは自覚がないのか、自分を指さして首を傾げる。

「俺も?」
「当たり前でしょ!」
「当たり前って……なんだよ」

呆れたようにカスミに言われ、サトシはピカチュウと顔を見合わせての首を傾げた。

「たしか、この近くにポケモンセンターがあったはずだ。俺はジョーイさんに頼んでジュンサーさんを呼んでくる!」

タケシは二人の会話には入らず、まず最優先でやることを考えた。自分たちが、なんとかできるものではないと判断し、大人を頼るために、すぐ行動していった。

「俺達はミズカを探しに行こうぜ!」
「うん!」

サトシとカスミは、大人に頼むのをタケシに任せることさて、ミズカを探すことにした。
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