「よーし！　ピカチュウ！　十万ボルト！！」
「ピーカーヂューウ！！」

ピカチュウの電撃はロケット団へまっすぐ飛んでいく。

「なんで、ピカチュウまで出してんのよ！！」
「一緒の網に入れてたんだから、当たりまえにゃ！」

ムサシの言葉に、ニャースが突っ込む。そして、十万ボルトを浴びた三人は、

「やな感じ～！」

と、ロケット団は星になっていった。

「あれが、十万ボルトかぁ！　すごい！」

ミズカはピカチュウの生十万ボルトに感激した。こんなふうに自分もこれからポケモンたちとバトルをできるかもしれない。それだけで、嬉しくて仕方がない。

「イーブイ」
「ブイ？」
「あたし達も頑張ろうね！！」
「ブイ！」

ミズカの意気込みが通じたのか、イーブイも大きく頷いた。

「決めた！　あたしサトシのライバルになるわ！！」
「え？

唐突な話にサトシは目をパチクリさせる。

「よーし！　頑張るぞー！」

そんなことを言いながら、ミズカはまだ食べきっていなかった焼きそばの一口を口に入れた。

その日の夜。

「あたし、ちょっと散歩してくる！！」

ミズカは、夜のポケモン世界を堪能したくて、散歩にすることにした。

「イーブイ、一緒に行こう！」

イーブイを誘って、森の中を進んでいく。ミズカは耳を澄ましながら歩いた。昼と夜とで森の顔は全然違う。それは単に暗さもそうだが、聞こえるポケモンの鳴き声も違った。歩いていて、とても気持ちがいい。

少し歩くと、綺麗な湖に出た。

「うわ～！！ 綺麗～！！」

澄んだ水は、お昼だったら水の中が見えただろうと思う。今は、鏡のように夜空の星や三日月を映し、まるでもう一つの宇宙を見ているようだった。誰もが綺麗と言うだろう湖にミズカは心を奪われる。

ふと、ミズカは湖の上にポケモンがいるのに気がついた。

「あっ！」

それは、その湖にふさわしい綺麗な青色のポケモンである。紫の毛並みが綺麗に靡き、紅い瞳がミズカとイーブイを捉えているようだった。

あまりにも綺麗な姿にミズカは見惚れた。