8章 気持ちの正体

ミズカは今真剣だった。サキコがバクフーンを出している。対するこちらは、メガニウム。手持ちを確認して、ニョロボンを出した。ニョロボンになみのりをさせて戦闘不能にさせ、ミズカは勝利を収めた。

「わー、負けたー」

サキコは自分の家の大きなテレビの前で項垂れた。ミズカは同じクラスのサキコの家にお邪魔して、ポケモンスタジアムで自分がクリスタルで育てたポケモンをバトルさせていた。サキコも自分のポケモンには自信があったらしいが、何度やってもミズカに勝てないで落ち込んでいた。

「ミズカちゃんってタイプ全部覚えてるの?」
「え? うん」

3対3のバトル。ちなみに今はポケモンのゲーム、クリスタルでの対戦。ミズカの手持ちはエーフィ、メガニウム、ニョロボン。ちなみに残りの三体は、ライチュウ、クロバット、ドンファンだ。エーフィ、ライチュウ、メガニウムはポケモン世界の自分のポケモンをゲームでプレーしていたところ、最終進化までした。ニョロボンはカスミのニョロゾ、クロバットはタケシの、ドンファンは最近サトシが捕まえたゴマゾウを手持ちに入れ、最終進化させた。

向こうの世界を基準にゲームをやるのはどうかと思ったが、自分のポケモンや仲間のポケモンに近いほうが、イメージしやすかった。

「タイプはどうやって覚えるのー?」

そう聞かれてミズカは目をパチクリさせた。

どうやって覚えるか。それはあちらの世界で沢山バトルをしているから。身体で覚えた。そう言おうか迷ったが、弟に信じてもらえなかったことを考えると頭がおかしいと思われそうだ。

「うーん、なんとなく」

と、適当に誤魔化した。

「絶対必死に覚えただろ」

後ろで二人の勝負を見ていたリキヤが言う。ミズカは肩を竦めた。あながち間違いではない。

「次は俺たちの番。いい加減貸して」

カナタがサキコに手を差し出した。コントローラーを渡してほしいらしい。サキコがミズカに負け続けて意地になっていて、借りれなかった。ポケモンスタジアムはサキコの家しか持っていない。だから、最近はここが溜まり場のようになっている。

というのもサキコの家は広く、外にはプレハブが建っているくらいだ。毎年ハワイに行ってるのを考えると、お金持ちなんだろうなぁ、と皆言わないまでも察していた。

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