7章 チコリータはチコリータ

「チコリータはあたしが残念がると思ってる?」

理由を聞いて意思疎通ができたものの、元気のないチコリータ。ミズカは優しく声をかけた。チコリータは申し訳なさそうに頷く。

「確かに、一緒に強くなりたいよ? でも、あたしはチコリータのしたいように強くなってくれればって思う。それが進化とは違う形なら反対しない」

チコリータは目を見開いて顔を上げる。ミズカはにこりと笑って、身体を撫でた。

「チコリータはチコリータでしょう? 一緒に旅する前にも言ったけど、チコリータの自由にしていい」
「チコ?」
「うん。あたしも指示出し頑張るからさ! 次はベイリーフに勝とう!」

そう言うと、チコリータはやっと笑顔になって、ミズカに飛び込んだ。ミズカも抱きしめて、チコリータの背中を撫でる。

「よし。そうと決まれば、妥当ベイリーフで特訓しよう!」
「チッコ!!」

ミズカの掛け声で、チコリータは声を上げた。その日、チコリータとミズカは、タケシに付き合ってもらい、ベイリーフに勝つにはというテーマで特訓をした。

翌朝は、にほんばれもいらないくらいの太陽の照りつける朝だった。天候が味方をしてくれていることをミズカもチコリータも感じている。

「これより、一対一のポケモンバトルを始める」

タケシの号令に、力が入る。サトシとベイリーフにお願いして、今日は特訓ではなく、バトルにしてもらった。

「ベイリーフ、葉っぱカッター!」

先に動いたのはベイリーフ。サトシの指示で真正面からはっぱカッターを放ってきた。

「チコリータ、ジャンプ!」

チコリータはジャンプで躱す。が、これはバトル。

「そのまま、葉っぱカッターで追いかけろ!」

ジャンプを追いかけて、ベイリーフがはっぱカッターを放ってきた。しかし、ミズカとチコリータに焦りの色はない。

「つるのムチ!」

チコリータはつるのムチで、地面を叩くと高く飛んだ。そして、ベイリーフの背後へ回り、はっぱカッターを放つ。すかさず、ベイリーフはチコリータの方を向いた。

「つるのムチで捕まえろ!」

うまく切り返し、ベイリーフはつるのムチをチコリータに伸ばしてくる。

「チコリータ、はっぱカッター!」

はっぱカッターを放つと、ベイリーフは捕まえるより先に葉っぱを落とす作業をする羽目になった。葉がどんどん落ちていく。その間に、チコリータはまたつるのムチでジャンプし、ベイリーフの背後に立つ。またはっぱカッターで攻撃を入れた。

「だったら、こっちも葉っぱカッターだ!」

ベイリーフは葉っぱカッターを放つ。チコリータは切り返しがうまくできずに攻撃を食らう。ブルブルと身体を振っていると、ベイリーフが走ってきた。のしかかりをしようとしている。
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