7章 チコリータはチコリータ

「エーフィ、念力!」

翌朝、朝食を早々に済ませ、ミズカとサトシはバトルしていた。エーフィの相手はヨルノズク。空から向かってくるヨルノズクに念力を食らわせる。しかし、そこはヨルノズクも念力で対抗してきた。

「エーフィ、もっと強く!!」
「フィー!!」

ヨルノズクの念力から誘発されてか、エーフィのサイコパワーが増大する。ヨルノズクはエーフィに体当たりをしようとするが、ふっ飛ばされた。

「あれ、念力じゃなくない?」
「サイコキネシスだな」

技の強さに気づく。どうやらエーフィはサイコキネシスを覚えたらしい。ミズカの目は輝く。

「すごいすごい! エーフィ、やるねぇ!」
「フィー」
「ヨルノズク、怯むなよ! 催眠術!」
「エーフィ、躱して! スピードスター!」

エーフィは催眠術を躱すと、スピードスターで攻撃した。が、そのあとにヨルノズクの体当たりでふっ飛ばされ、バトルはそこまでとなった。

「うーん。やっぱり、私の指示がなぁ」
「催眠術をスピードスターで防いで、サイコキネシスが良いかもな」
「ああ、なるほど」

ミズカはエーフィに下がってもらいながら、タケシの話を聞いた。躱すだけでなく、攻撃で防ぐことも考える必要があったらしい。

「次はチコリータか?」
「あ、うん」
「よし、じゃあ俺はベイリーフ! 君に決めた!」
「ベイベイ!」

チコリータの進化系、ベイリーフが出てくる。ベイリーフはサトシにすり寄る。サトシもベイリーフの頭を撫でた。ベイリーフはサトシのことが大好きで、ピカチュウにも嫉妬するほどだ。

チコリータは、ベイリーフを前にやる気満々で葉っぱを振る。

「ベイリーフ、はっぱカッター!」
「チコリータ、はっぱカッターを躱しながら、体当たり!」

チコリータはなるべくはっぱカッターを躱すようにした。当たっても気にせずにベイリーフに体当たりをするのだが、6.4キロと言われるチコリータに対して、ベイリーフは16キロ。簡単に跳ね返される。

「のしかかりだ!」
「はっぱカッター!」

ベイリーフにのしかかりされる前に、チコリータがはっぱカッターを打つ。ベイリーフは嫌がってチコリータから離れた。

「ベイリーフをつるのムチで捕まえて!」

チコリータはベイリーフの首につるを巻きつける。しかし、逆に引っ張られてしまい、チコリータは宙に投げられた。そして、はっぱカッターを食らう。

「そこまで」

タケシが止めた。チコリータはまだ動けそうだったが、今回はバトルはバトルでも特訓。ミズカの特訓にサトシが付き合っている形だった。

「ミズカ、ソーラービームを狙いすぎよ」
「あ、バレた?」
「相手の動きを見て判断しないと」

カスミに手厳しく言われて、ミズカは肩を竦める。チコリータは落ち込んで肩を落とすように葉を下ろす。

「最近、慣れが邪魔してるな」
「うん……。なかなか勝てないんだよね……」

ミズカは素直に頷いた。そう。慣れからか、自分の好きなパターンをやって負けることが多くなっている。簡単に言うとスランプ。だからこそ、ミズカはサトシに相手をお願いした。

「でも、ミズカのチコリータなら、もうすぐ進化できるんじゃないか?」
「えっ?」
「ソーラービームなんて、チコリータは覚えるのに時間掛かるし、相当なレベルになってそうじゃん」
「あ、確かに」

サトシに言われて、ミズカはチコリータを見る。確かにソーラービームを覚えたのなら進化がそろそろあってもおかしくはない。

チコリータは葉っぱを立てて、会話するミズカをちらりと見た。ミズカは自分の進化を望んでいるのだろうか。今の会話では少し読めない。
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