7章 チコリータはチコリータ

「な……、チコリータ!」

面白がって、ピチューがミズカの頭に乗る。勢いづいて、頭がガクッと項垂れる。

「動いちゃだめって言われてるんですけど!」

そう言うとピチューはケラケラと笑う。ミズカもポケモンたちもそのうち笑い出していた。チヒロは口角を上げ、一気に絵を描き上げた。

「できた」
「うわぁ、うまっ」

サトシがチヒロの絵を見て呟く。ミズカもエーフィ達も気になって、チヒロの絵を覗いた。ベンチに座って、仲良く楽しんでいる様子が描かれている。

「すごい!!」

目を輝かせていると、チヒロはそのページを切り取った。そして、ミズカに渡す。

「モデルになってくれてありがとう。これ、お礼」
「え、いいの?」
「良ければ」
「ありがとう!」

チヒロから絵を受け取った。ミズカは大事そうに丸めて持つ。あとでクリアファイルを買うつもりだ。

「それじゃあ、私はこれで」
「チヒロ、ありがとうね」
「うん」
「メェ~」
「メリープもまた会えたときよろしくね」

メリープに言えば、すり寄ってくる。ミズカはしゃがんで頭を撫でた。こうして、チヒロと別れを告げた。

「今日は色々とあったなー!」
「ミズカはまだいるの?」
「うん。明日明後日までいようかなって思ってる」

カスミの質問にミズカは頷いた。ちゃんとは決めていないが、今日は帰らない予定だ。せっかく、サトシ達とも会えたのだから帰るのは勿体ない。

「そうそう。聞いて、今日ね……」

ミズカは今日あったことを話した。迷子の女の子を助けたこと、チヒロのメリープがとっしんしてきたこと。それがきっかけでチヒロと会ったこと。いつもとは違う流れで一日を終え、ミズカはずっと話し続けていた。
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