1章 ポケモン世界へ!?

「あった!!」

やっと、イーブイのモンスターボールを見つける。奥底にあった。きっと落ちないように奥に入れてくれたのだろう。

初めて触ったモンスターボール。アニメを見ていても不思議だったが、この中にポケモンがいるらしい。

「早速、出してあげなさいよ」
「うん!」

真ん中のボタンを押すと、ミズカの手の中でボールが膨らんだ。

「よーし、出てきて! イーブイ!!」

ミズカはモンスターボールを投げる。そこから出てきたのは、茶色く、目がくりくりとしたポケモン。首周りのもふもふの毛が、マフラーみたいで可愛い。その名はイーブイ。もちろん、ミズカの知っているポケモンだ。

「ブイ!!」

元気で活発な性格らしい。イーブイは、やっと出会えたパートナーに会えた喜びからなのか、目を輝かせていた。

「めちゃめちゃカワイイ!!」

そんなイーブイをミズカはとても気に入った。どんなポケモンでも良かったが、彼女で良かったとミズカは思う。

「イーブイよろしくね!」

ミズカは、手を差し伸べた。握手したい。イーブイはそれに答えて、「ブイ!」と握手をしてくれた。そこへ、サトシが昼食ができたと呼びに来た。

「ミズカ、カスミ! ご飯できったって……あれ? そのイーブイもしかして……」
「うん! あたしのパートナー!」
「そっか、よろしくな!」
「ピッカー!!」
「ブイブイ!」

イーブイは何にも物怖じしないらしく、初対面であるはずのピカチュウともすぐに仲良くなった。

「いっただっきまーす!!」

昼食になった。今日の昼食は焼きそば。タケシが作る料理はシチューばかりと思っていたが、違うらしい。

しかも、焼きそばはおいしい。

「おいしい!!」

と言った。お腹がすいていたから、余計においしく感じた。
ミズカが満足して、あと一口を食べようと口を開いたとき、

「ブーイ!?」
「ピカピー!?」

一緒にご飯を食べていたイーブイとピカチュウの叫び声がした。振り向けば、網に引っかかり、引っ張られていくイーブイとピカチュウ。

――まさか……!?

アニメで見たことのある光景。ミズカの脳裏に浮かんだ人物たちがいた。

「なんだ?」

サトシが声を上げる。そうすると、どこからか三人組の声がした。

「なんだかんだと聞かれたら」
「答えてあげるが世の情け」

お決まりの口上が始まる。ムサシ、コジロウ、そしてニャースである。彼らはカントーを中心に悪さをする組織、ロケット団の一員だ。

ミズカがアニメで見るときは気球に乗って登場することもしばしばだったが、今日は珍しく気球に乗っていない。

「答えなくていいわよ! あたしのイーブイとサトシのピカチュウを返しなさいよ!」

ミズカはイーブイを捕まえられたことに腹が立って、まだ口上の途中にも関わらず、ロケット団に野次を飛ばした。
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