「いい加減解きなさいよ！！」

気球の中で、ミズカは激怒していた。縄で縛られても口は動く。

「うるさいわねぇ。もうちょっと静かにできないの？」
「解放してくれたら、静かになるわよ！」
「コジロウ！」
「あいよ！」

いい加減耐えきれなくなったロケット団。コジロウは何か袋を出すとムサシに渡した。

「な、なに！？」
「あんたには眠ってもらうわ」

ムサシは袋を開き、ミズカの口に近づけた。粉を吸わされる。急に体が重くなり、まぶたが降りてきた。

「眠り……粉……？」

ミズカはそのまま眠りについてしまった。ロケット団はやっと静かになったミズカを見て、ため息をついた。

一方、ミズカを探すサトシ達のもとにはヨルノズクが帰ってきていた。

「どうだった？」
「ホー！」

ヨルノズクは踵を返して飛んで行く。どうやら見つけたらしく、ついて来いと言ってるらしい。サトシ達はヨルノズクを追いかけた。

しばらく走っていると、ロケット団の気球が着陸しているのが見えた。その気球の前にはロケット団と眠ったミズカがいた。やはり、見つけてくるのを待っていたようだ。

「ブイブ！！」

イーブイがミズカを呼ぶ。イーブイの声にミズカは重たいまぶたを開いた。

「……ん？　イーブイ！　みんな！」

ミズカはサトシ達に気づいた。

「ミズカ！　大丈夫か？」
「うん……、眠らされてただけだから」

それを聞いて、一先ずサトシ達は安堵した。

「うるさくてしょうがなかったからなあ」
「気球がうるささで割れるかと思ったニャ」
「誰を捕まえても良かったけど、ジャリガールはやめとくんだったわ」

口々に言うロケット団に、サトシ達は少し同情した。きっと、相当うるさくて眠らさないと気が済まなかったのだろうな、と思った。

「さて、ジャリボーイ。このジャリガールを返して欲しかったら、ピカチュウを渡すんだね！」

ムサシが気を取り直して交渉を始めた。