5章 秘密
長い森を抜け、ミズカ達は、町のポケモンセンターにいた。ミズカは、さっきもとの世界から来たばかりである。タケシがジョーイに鼻を伸ばしながら、宿泊の受付をしているのを横目に、ミズカはサトシと一緒にポケモンたちとじゃれ合っていた。
カスミはタケシのお目付け役を買い、ナンパをするもんなら耳を引っ張るつもりでいる。ちなみに一度引っ張られているので、タケシも抑えているようだった。比較的小さめのポケモンセンター。周りにはトレーナーがちらほらいる。
入ってくるトレーナーとバトルできないかと思っていると、ポケモンセンターの入口が開いた。見て驚く。サトシの一番のライバル、シゲルだった。茶色い髪を揺らしてこちらに向かって来る。
「シゲル!」
一番早く反応したのは、サトシだ。ミズカもポケモン達とじゃれるのを止めて、立ち上がる。イーブイが目をパチクリしてシゲルを見ていた。
「おや、サートシ君じゃないか」
シゲルはいつもの調子で言う。ミズカはアニメでも見ていたからか、あまり変には思わなかった。いつもの調子だと、サトシと会話をして終わるだろうと思う。
シゲルがサトシ以外と話すところをあまり見たことがなかった。しかし、不意にシゲルと目が合った。サトシの隣にいるのがいつもと違う人物だから不思議に思ったのかもしれない。
「君は?」
シゲルが問う。
「え? あ、あたしはミズカ。よろしくね!」
慌てて返事をする。シゲルはミズカの名前を聞いた途端、顔をしかめた。それはアニメでも見たことがない表情だった。
ナルシストの部分もあるが、物事を冷静に見られる彼には珍しい表情。
「どうしたんだ? シゲル……?」
サトシも気づいて、シゲルに聞いた。シゲルは、ハッとすると、ミズカから目を逸らした。ミズカは首を傾げる。
「別になんでもない……」
そう言って、シゲルはジョーイのところへ行ってしまった。
「なんだ、あいつ……」
「さあ……」
「ミズカ、サトシ。買い出し行くわよ!」
そんな二人をカスミは呼んだ。その隣にはタケシがいる。実は、この町を出るとしばらくは野宿のため、みんなで買い出しに行く事になっていた。
ミズカとサトシは頷いてリュックを背負った。買い出しの間、ミズカはずっと考えていた。
――なんで、シゲルはあたしの名前を聞いた途端、顔をしかめたんだろう?
それだけがずっと突っかかっている。
「ミズカ!」
ミズカはカスミに呼ばれ、ふと我に返った。
「何?」
「あんたボーっとしてるけど大丈夫?」
「実はさ、さっきシゲルがあたしの名前を聞いた途端に顔をしかめたの」
ミズカはカスミに言った。
ミズカとは初対面のはず。そういえば、名前だけ聞かれて、自分で名乗ることをシゲルはしなかった。もちろん、最初のサトシの第一声で名乗る必要がないと思った可能性もあるが、少し違和感を感じる。
だとすれば、シゲルは顔を知らないまでもミズカのことを知っているのではないか。オーキドに聞いていればおかしくはない。だからといって、顔をしかめる理由にはならないが。
カスミはタケシのお目付け役を買い、ナンパをするもんなら耳を引っ張るつもりでいる。ちなみに一度引っ張られているので、タケシも抑えているようだった。比較的小さめのポケモンセンター。周りにはトレーナーがちらほらいる。
入ってくるトレーナーとバトルできないかと思っていると、ポケモンセンターの入口が開いた。見て驚く。サトシの一番のライバル、シゲルだった。茶色い髪を揺らしてこちらに向かって来る。
「シゲル!」
一番早く反応したのは、サトシだ。ミズカもポケモン達とじゃれるのを止めて、立ち上がる。イーブイが目をパチクリしてシゲルを見ていた。
「おや、サートシ君じゃないか」
シゲルはいつもの調子で言う。ミズカはアニメでも見ていたからか、あまり変には思わなかった。いつもの調子だと、サトシと会話をして終わるだろうと思う。
シゲルがサトシ以外と話すところをあまり見たことがなかった。しかし、不意にシゲルと目が合った。サトシの隣にいるのがいつもと違う人物だから不思議に思ったのかもしれない。
「君は?」
シゲルが問う。
「え? あ、あたしはミズカ。よろしくね!」
慌てて返事をする。シゲルはミズカの名前を聞いた途端、顔をしかめた。それはアニメでも見たことがない表情だった。
ナルシストの部分もあるが、物事を冷静に見られる彼には珍しい表情。
「どうしたんだ? シゲル……?」
サトシも気づいて、シゲルに聞いた。シゲルは、ハッとすると、ミズカから目を逸らした。ミズカは首を傾げる。
「別になんでもない……」
そう言って、シゲルはジョーイのところへ行ってしまった。
「なんだ、あいつ……」
「さあ……」
「ミズカ、サトシ。買い出し行くわよ!」
そんな二人をカスミは呼んだ。その隣にはタケシがいる。実は、この町を出るとしばらくは野宿のため、みんなで買い出しに行く事になっていた。
ミズカとサトシは頷いてリュックを背負った。買い出しの間、ミズカはずっと考えていた。
――なんで、シゲルはあたしの名前を聞いた途端、顔をしかめたんだろう?
それだけがずっと突っかかっている。
「ミズカ!」
ミズカはカスミに呼ばれ、ふと我に返った。
「何?」
「あんたボーっとしてるけど大丈夫?」
「実はさ、さっきシゲルがあたしの名前を聞いた途端に顔をしかめたの」
ミズカはカスミに言った。
ミズカとは初対面のはず。そういえば、名前だけ聞かれて、自分で名乗ることをシゲルはしなかった。もちろん、最初のサトシの第一声で名乗る必要がないと思った可能性もあるが、少し違和感を感じる。
だとすれば、シゲルは顔を知らないまでもミズカのことを知っているのではないか。オーキドに聞いていればおかしくはない。だからといって、顔をしかめる理由にはならないが。