4章 ピチューゲット! vsサトシ

「なんで、みんな暗い顔してるの? これはあたしの問題なんだからみんな気にしなくて良いって。さあ、もう休憩終わり! 次の町に行こうよ」

声が震える。リュックにそそくさと手紙をしまう。そして、リュックを背負って立ち上がった。

「ミズカ……」
「何? カスミ」
「無理しなくていいわよ?」

カスミの言葉に優しさを感じ、ミズカの目から大粒の涙が出てきた。カスミはミズカを優しく抱きしめる。元々、ポケモンが大好きで、今ではそれ以上に好きになっていたから余計だった。自分とポケモンがもっと強くなって、リーグに出て自分の力がどれだけ強くなったのか試してみたかった。

カスミもさっきの喧嘩でミズカの気持ちは痛いほどわかっている。だからこそ、抱きしめずにはいられなかった。少しでもその痛みをわけられたらと。

――バッジを集めて、リーグでバトルしてみたかった……。

頭の中から、そればっかりが浮かんでくる。ミズカはしばらくカスミの腕の中で泣き続けていた。しばらくして、落ち着きを取り戻したミズカは顔を上げた。

「ごめん……」
「いいわよ」
「泣いてても何もならないのにね……」

ミズカはそう言って涙を拭った。

「それじゃ、次の町に行こう? 泣きまくったらスッキリしちゃった!」

ミズカは三人の先を歩く。泣いた痕を見られたくなかった。ミズカ達はそれっきり黙っていた。

歩きながら、ミズカは考えていた。

それでは、なぜ自分はポケモンの世界に呼ばれたのだろうか。イーブイを与えられたということはトレーナーとして成長することをオーキドは望んでいるはずだ。それなのに、リーグには出場できないという。

ミズカだって身分が証明できなければリーグに出られないのはわかるが、だったらどうしてジムは挑戦できるのか分からなかった。たしか、ジムの挑戦も身分証明が必要なはずだ。

だからこそ、考えるのは一つ。それでは、どうして自分がこの世界に呼ばれたのか。

オーキドにはまだ早いと言われた。それはミズカが幼いということなのか。どういうことなのか。バトルに慣れた頃と言われたということは、バトルをして強くなってほしいようにも読み取れる。皆目見当もつかない。

「ミズカ」

やっと、カスミが口を開いた。

「何……?」
「考えててもしょうがないじゃない。まずは、強くなることだけを考えたら?」
「そうだな。リーグ挑戦だけが強くなれる手段とは限らない」

カスミとタケシに言われて、ミズカは目をパチクリさせた。確かに、自分は強くなりたいと思った。リーグ出場できないだけで、バトルを取られたわけではない。

それに、バトルの強さはサトシとバトルすることで、どのくらい強くなったかを見られるではないか。

「よっしゃ!!」

ミズカは急に大声を出した。三人はビックリして立ち止まる。

「な、なんだ?」
「どうしたのよ」
「気合いを入れたのよ! だいたい、強くならなきゃリーグだって無理だもん! よーし、あたしは誰にも負けないくらい強くなるんだから!!」

一同……、ミズカの変わり具合には唖然とした。しかし、これで安心した部分もある。

「行くよ!」

ミズカは一人で勝手に走っていく。

「待てよ!」
「なんか、ホントにサトシに似てるわね……」
「まあ、そんなもんだろ」

安堵しつつも呆れた三人は、走っていくミズカを追いかけていった。

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