4章 ピチューゲット! vsサトシ
「タケシ」
「なんだ、サトシ」
「俺、ミズカの様子見てくるよ」
「お前が行って大丈夫なのか?」
サトシはカスミのことをよくわかっているつもりだ。面倒見が良いから、元気づけようとしていたこともよくわかる。嫌な態度を取られて、カスミが腹が立つのもよくわかっていた。今のはカスミの短所が引き出されてしまっただけ。
カスミの反省している姿を見て、どうにかするべきはミズカなんだろうと、サトシは感覚的に思った。
「大丈夫だって。カスミをよろしくな! ピカチュウ行こうぜ!」
「ピッカ!」
サトシとピカチュウはミズカの行った方向に走っていった。果たして、自分が行ってミズカが大丈夫なのかは正直わからない。でも、初めての二人の喧嘩で、このまま亀裂が入ることになってほしくはないと思った。
しばらく走ると、湖の前に出た。ミズカは湖の水面に映っている自分の顔を見つめている。
「ミズカ」
「サトシ……」
ミズカはサトシの顔をチラッと見たが、また水面に映っている自分の顔を見た。泣きそうな酷い顔だ。サトシを突っぱねないということは、ミズカはバトルでのショックより、カスミと喧嘩したことの方がショックみたいだ。
「カスミ、反省してた」
「……あたしが悪い。あんな風にしちゃったし……」
サトシはそれを見て、ミズカの隣に座った。いつもカスミの前では素直になれない自分と、今のミズカは被って見える。
「俺も前にあった」
「え?」
「セキエイリーグで負けたとき……。カスミが気を遣ってくれたのに、素直になれないで結局いつものケンカになちゃったんだ」
――そういえば、アニメでもやってた。
セキエイリーグの出場やオレンジ諸島での殿堂入りをミズカはアニメで見て知っていると彼らに話していた。それをサトシは覚えていたようだ。
ミズカはセキエイリーグを思い出す。サトシが話している内容を見たのは彼女の幼稚園のとき。うろ覚えの部分もあるが、そのケンカのシーンは印象深く残っていた。
そのときはサトシがリーグで負けて、ふて寝していたところにカスミが声をかけたのだ。結果として喧嘩になってしまい、最後はピカチュウの十万ボルトで収まったはずだ。それを考えるとミズカも同じことをしている。
「ミズカもそうだろ?」
ミズカは、素直にこくりと頷いた。
「戻ろうぜ! カスミもかなり落ち込んでるからさ」
サトシに言われ、ミズカは口角を上げて頷く。強くなりたい思いは大事かもしれないが、それで友達を失うのはミズカだって嫌だ。
そして、サトシの強さを知った今、リーグへ挑戦することが近道なのではないかとも思い始めていた。いつまでもいじけていては駄目だ。前を向こう。ミズカはそう思った。
「なんだ、サトシ」
「俺、ミズカの様子見てくるよ」
「お前が行って大丈夫なのか?」
サトシはカスミのことをよくわかっているつもりだ。面倒見が良いから、元気づけようとしていたこともよくわかる。嫌な態度を取られて、カスミが腹が立つのもよくわかっていた。今のはカスミの短所が引き出されてしまっただけ。
カスミの反省している姿を見て、どうにかするべきはミズカなんだろうと、サトシは感覚的に思った。
「大丈夫だって。カスミをよろしくな! ピカチュウ行こうぜ!」
「ピッカ!」
サトシとピカチュウはミズカの行った方向に走っていった。果たして、自分が行ってミズカが大丈夫なのかは正直わからない。でも、初めての二人の喧嘩で、このまま亀裂が入ることになってほしくはないと思った。
しばらく走ると、湖の前に出た。ミズカは湖の水面に映っている自分の顔を見つめている。
「ミズカ」
「サトシ……」
ミズカはサトシの顔をチラッと見たが、また水面に映っている自分の顔を見た。泣きそうな酷い顔だ。サトシを突っぱねないということは、ミズカはバトルでのショックより、カスミと喧嘩したことの方がショックみたいだ。
「カスミ、反省してた」
「……あたしが悪い。あんな風にしちゃったし……」
サトシはそれを見て、ミズカの隣に座った。いつもカスミの前では素直になれない自分と、今のミズカは被って見える。
「俺も前にあった」
「え?」
「セキエイリーグで負けたとき……。カスミが気を遣ってくれたのに、素直になれないで結局いつものケンカになちゃったんだ」
――そういえば、アニメでもやってた。
セキエイリーグの出場やオレンジ諸島での殿堂入りをミズカはアニメで見て知っていると彼らに話していた。それをサトシは覚えていたようだ。
ミズカはセキエイリーグを思い出す。サトシが話している内容を見たのは彼女の幼稚園のとき。うろ覚えの部分もあるが、そのケンカのシーンは印象深く残っていた。
そのときはサトシがリーグで負けて、ふて寝していたところにカスミが声をかけたのだ。結果として喧嘩になってしまい、最後はピカチュウの十万ボルトで収まったはずだ。それを考えるとミズカも同じことをしている。
「ミズカもそうだろ?」
ミズカは、素直にこくりと頷いた。
「戻ろうぜ! カスミもかなり落ち込んでるからさ」
サトシに言われ、ミズカは口角を上げて頷く。強くなりたい思いは大事かもしれないが、それで友達を失うのはミズカだって嫌だ。
そして、サトシの強さを知った今、リーグへ挑戦することが近道なのではないかとも思い始めていた。いつまでもいじけていては駄目だ。前を向こう。ミズカはそう思った。