4章 ピチューゲット! vsサトシ
「イーブイ戦闘不能、ピカチュウの勝ち! よって勝者サトシ!」
タケシの号令が響く。ミズカは呆然と倒れたイーブイを見つめた。
――負けちゃった……、なんでだろう? 他のトレーナーとバトルした時よりも悔しい。なんでこんなに悔しいの?
ミズカは悔しさを抑えながら、倒れているイーブイを抱いた。
「イーブイ……、大丈夫……?」
「ブイ……」
ミズカはまだまだだな、と思う。サトシの方が力は上。そもそも経験値が違う。そんなのはわかっていた。
「ミズカ、バトル楽しかったぜ!」
「ピーカ!」
「そうだね! 負けたけど、あたしも楽しかった」
ミズカの言ったことにウソはなかった。実際手に汗握るバトルはハラハラもしたが、ワクワクの方が勝っていた。しかし、どうにも悔しいという気持ちでいっぱいだ。
ミズカはサトシに負けた後、ずっと体育座りをして木の下で一人でいた。回復したイーブイが隣で心配そうに見守っている。
ミズカは顔をうずめた。サトシの強さはよくわかっているはずだった。アニメで何度も格好いいバトルを見た。実力差なんてわかっていたはずだ。それなのに、ミズカは悔しくて仕方がなかった。後一匹のところまで追い込んだのだから余計かもしれない。
「ミズカ」
見かねたカスミが声をかけた。ミズカは顔を埋めたままだ。
「何?」
「もう昼食の時間よ」
「いらない……」
「散歩しよっか!」
「一人で行けばいいじゃない……」
「行きましょうよ!」
なんとか元気づけようとカスミはミズカの腕を引っ張る。ミズカはカスミの腕を振り払った。
「行かないって言ってんでしょ! 放っといてよ!」
ミズカのその大きな声に、サトシもタケシもビックリして振り向く。カスミはそのミズカの態度にムッとし、腰に手を当てた。
「何よ! 人がせっかく、心配してあげてるのに!」
「心配なんかしてもらわなくていい!」
「いい加減にしなさいよ! いつまでいじけてる気?」
そんなのは自分が聞きたい。ミズカだっていじけたくてこうしているわけじゃない。気持ちの整理がつかない。それだけだ。
「だいたい、あんたがサトシに勝てるわけないじゃない!」
カスミはハッとするがもう遅かった。売り言葉に買い言葉。ミズカの態度に腹が立ち、つい言ってしまった。
本当はそんなことが言いたかったのではない。むしろ、バトル経験が豊富なサトシをあそこまで追い込んだことが凄いと思っていた。しかし、こんな言い方になってしまった。
ミズカはゆっくりその場に立つ。拳を握った。
「わかってた……」
「え?」
「わかってたよ。そんなことぐらい! 最初っから、負けるのは百も承知でやってた! もう放っといて!!」
ミズカは顔を歪めると、走って行ってしまった。イーブイはそれを追いかける。
「あたし、酷いこと言っちゃった……」
カスミはその場で立ち尽くした。元気づけたかったのに、傷つけるようなことを言ってしまった。カスミも落ち込む。しかし、追いかけても謝っても、きっとミズカは自分の顔なんて見たくないだろう。だから、どうすれば良いか分からなかった。
タケシの号令が響く。ミズカは呆然と倒れたイーブイを見つめた。
――負けちゃった……、なんでだろう? 他のトレーナーとバトルした時よりも悔しい。なんでこんなに悔しいの?
ミズカは悔しさを抑えながら、倒れているイーブイを抱いた。
「イーブイ……、大丈夫……?」
「ブイ……」
ミズカはまだまだだな、と思う。サトシの方が力は上。そもそも経験値が違う。そんなのはわかっていた。
「ミズカ、バトル楽しかったぜ!」
「ピーカ!」
「そうだね! 負けたけど、あたしも楽しかった」
ミズカの言ったことにウソはなかった。実際手に汗握るバトルはハラハラもしたが、ワクワクの方が勝っていた。しかし、どうにも悔しいという気持ちでいっぱいだ。
ミズカはサトシに負けた後、ずっと体育座りをして木の下で一人でいた。回復したイーブイが隣で心配そうに見守っている。
ミズカは顔をうずめた。サトシの強さはよくわかっているはずだった。アニメで何度も格好いいバトルを見た。実力差なんてわかっていたはずだ。それなのに、ミズカは悔しくて仕方がなかった。後一匹のところまで追い込んだのだから余計かもしれない。
「ミズカ」
見かねたカスミが声をかけた。ミズカは顔を埋めたままだ。
「何?」
「もう昼食の時間よ」
「いらない……」
「散歩しよっか!」
「一人で行けばいいじゃない……」
「行きましょうよ!」
なんとか元気づけようとカスミはミズカの腕を引っ張る。ミズカはカスミの腕を振り払った。
「行かないって言ってんでしょ! 放っといてよ!」
ミズカのその大きな声に、サトシもタケシもビックリして振り向く。カスミはそのミズカの態度にムッとし、腰に手を当てた。
「何よ! 人がせっかく、心配してあげてるのに!」
「心配なんかしてもらわなくていい!」
「いい加減にしなさいよ! いつまでいじけてる気?」
そんなのは自分が聞きたい。ミズカだっていじけたくてこうしているわけじゃない。気持ちの整理がつかない。それだけだ。
「だいたい、あんたがサトシに勝てるわけないじゃない!」
カスミはハッとするがもう遅かった。売り言葉に買い言葉。ミズカの態度に腹が立ち、つい言ってしまった。
本当はそんなことが言いたかったのではない。むしろ、バトル経験が豊富なサトシをあそこまで追い込んだことが凄いと思っていた。しかし、こんな言い方になってしまった。
ミズカはゆっくりその場に立つ。拳を握った。
「わかってた……」
「え?」
「わかってたよ。そんなことぐらい! 最初っから、負けるのは百も承知でやってた! もう放っといて!!」
ミズカは顔を歪めると、走って行ってしまった。イーブイはそれを追いかける。
「あたし、酷いこと言っちゃった……」
カスミはその場で立ち尽くした。元気づけたかったのに、傷つけるようなことを言ってしまった。カスミも落ち込む。しかし、追いかけても謝っても、きっとミズカは自分の顔なんて見たくないだろう。だから、どうすれば良いか分からなかった。