4章 ピチューゲット! vsサトシ

「来るぜ! かわせ!」

しかし、簡単に避けられてしまった。
ミズカの手には汗が滲む。ポケモンリーグに出たことのある実力……。オレンジ諸島で殿堂入りする実力……。やはり一筋縄ではいかない相手だ。

「チコリータ! つるのムチ!」
「こっちもつるのむちだ!」

お互い激しく鞭合う。そのうちに、薄い雲から太陽が出てきた。一気に日差しが強くなる。ミズカもサトシも、太陽が出るのを待っていた。

「フシギダネ!」
「チコリータ!」
「ソーラービームだ!」
「ソーラービーム!!」

フシギダネとチコリータは指示された通り、太陽の光を溜めてソーラービームを出す。同時に放たれたソーラービームはぶつかりあい、激しい爆発音となって二匹を包み込んだ。

「チコリータ!!」
「フシギダネ!!」

チコリータは倒れた。フシギダネはかろうじて立っている。

「チコリータ、戦闘不能! フシギダネの勝ち!」
「ありがとう、チコリータ、後はゆっくり休んで……」

ミズカはお礼を言いながら、チコリータをモンスターボールに戻した。ミズカは息を吐く。チコリータがあともう少しまで持っていってくれたのは大きい。

「イーブイ。出てきて!」
「ブイ!」

ミズカはイーブイを出した。まずは、こっちも白星をつけることにした。

「イーブイ、電光石火!!」
「フシギダネ! かわすんだ!」

フシギダネは躱そうとしたものの、さっきのダメージからか、うまく動けない。

「イーブイ! スピードスター!!」
「ブイブイ!!」

スピードスターは必中の技。先程大きなダメージを受けたフシギダネには十分のダメージだった。

「フシギダネ戦闘不能! イーブイの勝ち!」
「やった!」

イーブイとミズカは飛び跳ねた。

「フシギダネ、後は休んでくれ! ワニノコ! 君に決めた!!」
「ワニワニワー!!」

元気の良いワニノコが足をバタバタさせてモンスターボールから出てきた。ミズカは相性を考える。

「イーブイ戻って。ピチュー、出てきて!」
「ピチュー!」

ワニノコに負けないくらい元気にピチューが飛び出す。ワニノコに相性は有利だ。

「ワニノコ。恐い顔だ!」
「ピチュ……」

サトシの指示でワニノコは恐い顔をした。ピチューは思わず怯みかける。

「ピチュー、怯まないで! 電気ショック!」

怯まないように喝を入れてピチューは電気ショックを繰り出すが、ワニノコにすんなりと躱された。

「そのまま、水鉄砲!!」
「ワニワニ!!」
「ピチュー! 避けて!!」
「ピ……」

ピチューは避けきれずにダメージを食らう。ミズカの額には汗が流れていた。

――そっか、まだ、スピードについていけないんだ……どうすれば……。

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