4章 ピチューゲット! vsサトシ

「うわ~、ミズカの言ったとおり、可愛いわね!」
「でしょ!!」

カスミの言葉に、なぜかミズカは誇らしげだった。しかし、せっかく会えたのだが、問題が発生した。そう、いつものあいつらである。最近ミズカは気配で気付くようになっていた。

「また、出た……」

ミズカは呆れた表情で言う。

「出たって? なにが?」
「ロケット団だよ! ロケット団!」
「え? どこに?」

サトシ達はまったく気づいていない。

「あそこ」

ミズカは一本の木を指差した。そこには木々の間に揺れる人影がある。

「本当だ」

タケシは感心したように声を上げる。サトシとカスミははまったくわからないらしく、首を傾げる。

「ロケット団! いい加減出てきなよ!」

ミズカが言った。

「バレちゃあしかたない」

そう言った言葉から、

「あぁ、あんな所にいたのか!」
「影薄いわね……」

やっと気づいた二人。

――影が薄いというより、サトシもカスミも慣れちゃってんじゃ……。

ミズカはそう思った。考えてみれば、この二人が一番ロケット団とのお付き合いが長い。そのせいで、慣れ過ぎたのではないかとミズカは思った。

「影薄いって何よ! こっちはちゃんと気配を消してるの!」
「そうだそうだ!」
「でも、あのジャリガールは気づいたニャ……」

そのニャースの言葉にムサシとコジロウは顔を見合わせる。言葉が詰まった。少し変な間が空いた。

「……っ。と、とにかく! 今日こそピカチュウを頂くわよ!!」

ムサシが言った。ロケット団は、木から降りてくる。

――あれ? いつものセリフは?

ここで、そう思ったのはミズカだけだった。ロケット団もすっかりいつもの長いセリフを忘れている。

「ピカチュウと一緒に、あのピチューも捕まえるニャ!」
「あのピチュー捕まえたら、あたしのもんね!」
「ボスに渡すんじゃないのか?」
「ピカチュウだけで十分よ!」
「そうか……?」
「なんか勝手に話を進めてるし」

ミズカは、また呆れた表情をする。そして、ピチューを捕まえる気ならとくるりとピチューを見た。

「ピチュー。あいつらは悪いやつだから、隠れてて」

ミズカはピチューに言う。

「ピ? ピチュ……」

ピチューは理解すると、ミズカを心配そうに見つめた。

「大丈夫。早く隠れて!」

心配しているピチューにミズカは笑顔を見せる。ピチューは納得はしていなかった。ピチューはミズカともう少しいたかったのだ。ここで逃げてはミズカに会えないかもしれない。そう思っていた。

しかし、ここは仕方がない。ピチューは去っていく。

「……! 逃がすなんて卑怯よ!!」

ムサシは当然怒る。
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