4章 ピチューゲット! vsサトシ

「チコリータ、はっぱカッター!!」

チコリータのはっぱカッターで、相手のニョロモは戦闘不能になった。ミズカは相手のトレーナーと握手をし、健闘を称え合う。そして、チコリータのつるとハイタッチした。

ミズカは最近、ポケモン世界に来る。立派なトレーナーになりたい。そんな気持ちから、いろんなトレーナーとバトルするようになっていた。
最初のうちは負けが多かったものの、今では勝つほうが多い。アニメでバトルを見ていたせいか。ゲームをやっていたせいか。タイプ相性はバッチリな上、元々バトルが得意らしい。ミズカの実力は確実に上がっている。

それは、サトシ達も感じていることだった。

「そろそろ、サトシとバトルしてみたら?」

カスミが言った。ミズカはまだサトシとバトルしたことがない。

「うーん……、もう一匹ゲットしたらにする!」
「なんで?」
「とくに理由はないけど?」

とくに理由はなかったわけではないが、ミズカは説明がうまくできそうになかったのでやめた。

ミズカが知っているポケモンバトルは基本3対3。それを考えると、もう一匹捕まえることが立派なトレーナーになる一歩だと思っていた。

それから、相手がサトシだと話は別だ。確かに、もう友達だし、アニメでは見られない一面も知られたりするが、それでもアニメの主人公であることには変わりない。

ミズカからすれば、サトシは憧れの存在でもあった。だからこそ、サトシとはちゃんとしたトレーナーになってからバトルしたい。そう思っていたのだ。

だからこそ、もう一匹捕まえたかった。

「あ、そう」

そうとは知らないカスミは、言葉通りに受け止めて呆れた顔をする。

――妙に、ミズカってサトシに似てるわよね……。

感覚で生きているところがカスミは似ていると思う。バトルの時の目や、キラキラとした笑顔はすごく似ている。
最近は野宿した次の日、ミズカもサトシと同じように寝起きが悪い。ポケモンセンターに泊まった時もそうである。
まあ、本人は、元の世界ではいつもそうだと言っているが。

だからこそ、カスミはサトシとミズカがバトルをしたところを見てみたかった。

「どうしよう。お腹空いた……」
「あんた、さっき食べたばっかでしょ」

ツッコミを入れるカスミは、こういうところもサトシに似ていると思わざるを得なかった。

「えー。だってその後バトルしたし……」
「バトルしたのはポケモンでしょうが」
「そうなんだけど……。あたし、木の実でも探してくる!」

ちょっと、顔を膨らますと、お腹の空き具合に耐えられなかったらしく、ミズカは森の中へ消えてしまった。そんなミズカにカスミは肩を竦めた。

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