最終章 別れのとき
「ミズカは俺達に迷惑をかけたと思っているかもしれないが、お前だったから、助けようと思っていたんだ」
「お節介みたいなものかも!」
タケシとハルカ達は、落ち着きを取り戻して喋れるまでになっていた。優しい笑顔で言われ、ミズカは首を横に振った。お節介だとは思っていない。
彼らがいなければ、今の自分はいなかった。今こうやって前を向いて次に行こうとできるのは、間違いなくみんなのおかげ。一人でも欠けていたら、ミズカは前を向くことができなかったと思っている。
仲間達は一人一人、片手を重ね合わせ、円陣を組む。ミズカは目をパチクリさせた。みんな、乗り遅れたミズカに注目する。
「何、ぼーっとしているんだい?」
「あ……。ちょっと……、待って!」
シゲルに誘われ、ミズカはそう言った。そして、一人円陣から離れるとオーキドとハナコ、ケンジの前へ行く。
「オーキド博士。本当にありがとうございました。呼んでくれたから、素敵な仲間ができました!」
「達者でのう」
「はい。……ケンジ。ポケモンの面倒見てくれてありがとう。博士からケンジが健康観察とかお世話してくれてるって聞いた」
「向こうでも元気で」
ミズカはケンジの言葉に大きく頷いた。そして、ハナコを見つめる。
「この世界でのお母さんは間違いなく、サトシのママです。あたしを受け入れてくださり、ありがとうございました!」
「良いのよ。元気でね」
「はい」
涙を拭き、深くお辞儀をする。最後にポケモン達とも一匹ずつハグをし、円陣に戻ってきた。そして、仲間達の重ねた手の上に自分の手も重ね合わせる。
「この手を離したら、自分の所へ戻ろうぜ」
サトシの言葉に、仲間達は頷いた。
「皆、また会おうね!」
後ろを振り向く。手を重ねていない方の手をポケモン達に大きく振った。ポケモン達は泣いて頷いた。
「それじゃあ、行こっか……」
ミズカは再び向き直ると、別れを惜しみながらも決意したように言う。いつまでも、ぐずぐずしていられない。
「また会おうね!」
ミズカの言葉に仲間たちも「また会おう!」と返した。そして、彼らは同時に重ねた手を離すと、それぞれの光の方へ歩いて行く。
振り向く者は誰一人としていなかった。振り向けば、もう光の先に進めない気がしたのだ。今までの思い出を心に焼きつけ、未来で会えることを信じる。
――もしも一つだけ願いが叶うのなら。
今、彼らが願う事は一つ。
――また仲間に会わせて下さい……。
彼らは、それぞれの思いを胸に、静かに泣きながら、光の向こうへ歩いて行った。
「お節介みたいなものかも!」
タケシとハルカ達は、落ち着きを取り戻して喋れるまでになっていた。優しい笑顔で言われ、ミズカは首を横に振った。お節介だとは思っていない。
彼らがいなければ、今の自分はいなかった。今こうやって前を向いて次に行こうとできるのは、間違いなくみんなのおかげ。一人でも欠けていたら、ミズカは前を向くことができなかったと思っている。
仲間達は一人一人、片手を重ね合わせ、円陣を組む。ミズカは目をパチクリさせた。みんな、乗り遅れたミズカに注目する。
「何、ぼーっとしているんだい?」
「あ……。ちょっと……、待って!」
シゲルに誘われ、ミズカはそう言った。そして、一人円陣から離れるとオーキドとハナコ、ケンジの前へ行く。
「オーキド博士。本当にありがとうございました。呼んでくれたから、素敵な仲間ができました!」
「達者でのう」
「はい。……ケンジ。ポケモンの面倒見てくれてありがとう。博士からケンジが健康観察とかお世話してくれてるって聞いた」
「向こうでも元気で」
ミズカはケンジの言葉に大きく頷いた。そして、ハナコを見つめる。
「この世界でのお母さんは間違いなく、サトシのママです。あたしを受け入れてくださり、ありがとうございました!」
「良いのよ。元気でね」
「はい」
涙を拭き、深くお辞儀をする。最後にポケモン達とも一匹ずつハグをし、円陣に戻ってきた。そして、仲間達の重ねた手の上に自分の手も重ね合わせる。
「この手を離したら、自分の所へ戻ろうぜ」
サトシの言葉に、仲間達は頷いた。
「皆、また会おうね!」
後ろを振り向く。手を重ねていない方の手をポケモン達に大きく振った。ポケモン達は泣いて頷いた。
「それじゃあ、行こっか……」
ミズカは再び向き直ると、別れを惜しみながらも決意したように言う。いつまでも、ぐずぐずしていられない。
「また会おうね!」
ミズカの言葉に仲間たちも「また会おう!」と返した。そして、彼らは同時に重ねた手を離すと、それぞれの光の方へ歩いて行く。
振り向く者は誰一人としていなかった。振り向けば、もう光の先に進めない気がしたのだ。今までの思い出を心に焼きつけ、未来で会えることを信じる。
――もしも一つだけ願いが叶うのなら。
今、彼らが願う事は一つ。
――また仲間に会わせて下さい……。
彼らは、それぞれの思いを胸に、静かに泣きながら、光の向こうへ歩いて行った。