最終章 別れのとき
「なんだよ?」
ちょっとぶっきら棒に言うが、声が震えている。ミズカは込み上げてくるものを飲み込んだ。家族との別れはこれが初めてではない。ミズカにとっては2回目だった。
「兄妹だって知ったとき傷つけてごめん。あたしがもとの世界に帰った時、一番辛かったはずなのに迎えにきてくれてありがとう。サトシはどう思ってるかわからないけど、あたしはサトシがお兄ちゃんで良かった。ポケモンマスターになるときまで応援してる!」
ミズカの言葉に、先程のバトルを思い出す。嬉しさと別れの悲しさとが、涙になった。もう気持ちはごちゃごちゃだ。サトシは深く帽子を被り直し、涙を見せぬようにした。
「結局、何を言ったらいいか、わからないとか言いながら、ちゃんと言ってるわね」
ヒカリが突っ込む。小さく微笑んだ。帰るのに心の整理がついた。
「はい、あたし達から」
不意にポンとカスミから封のされた手紙を渡された。驚き、目を見開く。顔を上げるとみんな注目していた。ミズカの表情はすぐに崩れそうになる。
「……開けてもいい?」
仲間達はもう何も言えないのか、ただ頷くだけだった。ミズカはそれを見ると、静かに封を開く。何枚もあるということは、みんなそれぞれ書いてくれたということだ。
いつ書いたのか。それはシゲルと買い物をしているときだろう。シゲルはうまく時間を見つけて書いてくれたようだった。
ミズカは読み始めた。
『ミズカへ
きっと、泣いて何も言えなくなると思うので、手紙にします。
一同』
これが一枚目だった。ゆっくりと二枚目を読む。
『できれば、ミズカとバトルしたかったな。もし、ミズカがまたこのせかいに来られたら、ぜったいにバトルしようね! それまで、ぼく、ミズカみたいにポケモンのきもちがわかる、強いトレーナーになってるから! 元気でね。
マサト』
思わず手紙を読む手に力が入った。手紙の両端が寄れる。もうこの時点で駄目だった。仲間の温かさに心を打たれる。ミズカは流れてくる涙で手紙が滲まないように手で拭う。
『ミズカの頑張る姿が凄く好きだったかも! 無理しちゃう時もあって、心配だったけれど、その反面、戦っているミズカを応援しちゃった。これから、また辛いことがあるかもしれないけど、ミズカのその負けん気で頑張って欲しいかも! また会おうね。
ハルカ』
ハルカの手紙にうんうんと頷く。涙で視界が霞みながらもなんとか読み、3枚目に差し掛かった。
ちょっとぶっきら棒に言うが、声が震えている。ミズカは込み上げてくるものを飲み込んだ。家族との別れはこれが初めてではない。ミズカにとっては2回目だった。
「兄妹だって知ったとき傷つけてごめん。あたしがもとの世界に帰った時、一番辛かったはずなのに迎えにきてくれてありがとう。サトシはどう思ってるかわからないけど、あたしはサトシがお兄ちゃんで良かった。ポケモンマスターになるときまで応援してる!」
ミズカの言葉に、先程のバトルを思い出す。嬉しさと別れの悲しさとが、涙になった。もう気持ちはごちゃごちゃだ。サトシは深く帽子を被り直し、涙を見せぬようにした。
「結局、何を言ったらいいか、わからないとか言いながら、ちゃんと言ってるわね」
ヒカリが突っ込む。小さく微笑んだ。帰るのに心の整理がついた。
「はい、あたし達から」
不意にポンとカスミから封のされた手紙を渡された。驚き、目を見開く。顔を上げるとみんな注目していた。ミズカの表情はすぐに崩れそうになる。
「……開けてもいい?」
仲間達はもう何も言えないのか、ただ頷くだけだった。ミズカはそれを見ると、静かに封を開く。何枚もあるということは、みんなそれぞれ書いてくれたということだ。
いつ書いたのか。それはシゲルと買い物をしているときだろう。シゲルはうまく時間を見つけて書いてくれたようだった。
ミズカは読み始めた。
『ミズカへ
きっと、泣いて何も言えなくなると思うので、手紙にします。
一同』
これが一枚目だった。ゆっくりと二枚目を読む。
『できれば、ミズカとバトルしたかったな。もし、ミズカがまたこのせかいに来られたら、ぜったいにバトルしようね! それまで、ぼく、ミズカみたいにポケモンのきもちがわかる、強いトレーナーになってるから! 元気でね。
マサト』
思わず手紙を読む手に力が入った。手紙の両端が寄れる。もうこの時点で駄目だった。仲間の温かさに心を打たれる。ミズカは流れてくる涙で手紙が滲まないように手で拭う。
『ミズカの頑張る姿が凄く好きだったかも! 無理しちゃう時もあって、心配だったけれど、その反面、戦っているミズカを応援しちゃった。これから、また辛いことがあるかもしれないけど、ミズカのその負けん気で頑張って欲しいかも! また会おうね。
ハルカ』
ハルカの手紙にうんうんと頷く。涙で視界が霞みながらもなんとか読み、3枚目に差し掛かった。