最終章 別れのとき
手鏡が散った。これでもう後戻りはできない。彼女の気持ちがわかったのか、仲間達は心配した表情になる。ミズカはそれを察してか、震えた声でぽつりぽつりと話し始める。
「……あ、あたしね。あっちの世界へ帰ったら、学校にちゃんと通うよ。きっと、向こうへ帰っても、この気持ちは変わらないと思う。だって、あたしはみんなのことアニメで観られるんだよ? 記憶がなくなってもずっと応援してる。で、皆から元気もらってると思う。それははっきり言える」
記憶がなくなっても、ミズカにとってアニメの登場人物であることは変わらない。まったく知らなくなるわけじゃない。画面の向こうの存在になる。
アニメでサトシやピカチュウ達の旅に何度も励まされた。それはこの世界に来る前からずっと同じだ。夜は寂しい気持ちもあった。孤独にもなった。それでも毎週テレビの前に来れば、みんなが頑張っていた。自分も頑張ろうと夜を戦えた。
だから、きっと自分の気持ちは変わらない。
「皆には、……本当に感謝してる。ほら、説明下手だから、何を言ったら良いかわからないけど……。でも、ありがとうって言葉は言える」
深呼吸をして、前を向き直した。ミズカの顔を見る仲間達の表情は歪む。ミズカは口角を上げる。仲間たち一人ひとり、一匹一匹を見渡した。
「今まで、ありがとうございました!」
震えた声で、精一杯にお礼を言う。頭を深く下げる。
みんな、ありがとうとしか伝える事が出来ない彼女の気持ちは十分に伝わってきた。
「フィフィ!」
エーフィは堪えられなくなり、ミズカに抱きついた。他のポケモン達も彼女に寄ってくる。ミズカはみんなまとめて抱き締めた。
「皆……、ありがとう。一緒にいてくれてありがとう。貴方達がどんな道を進んでも構わない。でも、必ず元気でいてね」
ミズカの言葉に、ポケモン達は、やっと別れなのだと実感した。涙が出てくる。それを見て、ミズカは必死で涙を堪えた。
「ミズカ……、行かないでよ。行っちゃうなんて、僕、やだよ」
昨日まで、ちゃんと見送りたいと思っていたのに。マサトは堪えきれずに言ってしまった。涙を浮かべるマサトにミズカは顔を歪める。
「マサト……」
「僕はまだトレーナーになってない。まだ、ミズカとバトルしてないじゃないか。約束はどうしたのさ!」
マサトとの約束はよく覚えている。ホウエン地方の時にした約束だ。それを守れなかった。ああ、そうだ。まだ言いたいことは沢山ある。ポケモン達から離れて、マサトの前に来る。
「ごめん……」
謝ると、彼の両肩に優しく触れた。ミズカは無理矢理に口角を上げる。
「……あ、あたしね。あっちの世界へ帰ったら、学校にちゃんと通うよ。きっと、向こうへ帰っても、この気持ちは変わらないと思う。だって、あたしはみんなのことアニメで観られるんだよ? 記憶がなくなってもずっと応援してる。で、皆から元気もらってると思う。それははっきり言える」
記憶がなくなっても、ミズカにとってアニメの登場人物であることは変わらない。まったく知らなくなるわけじゃない。画面の向こうの存在になる。
アニメでサトシやピカチュウ達の旅に何度も励まされた。それはこの世界に来る前からずっと同じだ。夜は寂しい気持ちもあった。孤独にもなった。それでも毎週テレビの前に来れば、みんなが頑張っていた。自分も頑張ろうと夜を戦えた。
だから、きっと自分の気持ちは変わらない。
「皆には、……本当に感謝してる。ほら、説明下手だから、何を言ったら良いかわからないけど……。でも、ありがとうって言葉は言える」
深呼吸をして、前を向き直した。ミズカの顔を見る仲間達の表情は歪む。ミズカは口角を上げる。仲間たち一人ひとり、一匹一匹を見渡した。
「今まで、ありがとうございました!」
震えた声で、精一杯にお礼を言う。頭を深く下げる。
みんな、ありがとうとしか伝える事が出来ない彼女の気持ちは十分に伝わってきた。
「フィフィ!」
エーフィは堪えられなくなり、ミズカに抱きついた。他のポケモン達も彼女に寄ってくる。ミズカはみんなまとめて抱き締めた。
「皆……、ありがとう。一緒にいてくれてありがとう。貴方達がどんな道を進んでも構わない。でも、必ず元気でいてね」
ミズカの言葉に、ポケモン達は、やっと別れなのだと実感した。涙が出てくる。それを見て、ミズカは必死で涙を堪えた。
「ミズカ……、行かないでよ。行っちゃうなんて、僕、やだよ」
昨日まで、ちゃんと見送りたいと思っていたのに。マサトは堪えきれずに言ってしまった。涙を浮かべるマサトにミズカは顔を歪める。
「マサト……」
「僕はまだトレーナーになってない。まだ、ミズカとバトルしてないじゃないか。約束はどうしたのさ!」
マサトとの約束はよく覚えている。ホウエン地方の時にした約束だ。それを守れなかった。ああ、そうだ。まだ言いたいことは沢山ある。ポケモン達から離れて、マサトの前に来る。
「ごめん……」
謝ると、彼の両肩に優しく触れた。ミズカは無理矢理に口角を上げる。