3章 チコリータ、ゲットだぜ!
「ジョーイさん。お世話になりました!」
「ミズカちゃん、無茶しないようにね!」
ペコリと頭を下げたミズカに、ジョーイは腰に手を当てて注意した。
「はい……」
ミズカは苦笑する。チコリータを守るためだった。が、それは他人からすれば無鉄砲と呼ばれる類のものだ。
昨日は滾々とカスミとタケシに危ない目に遭ったときの対処法を聞かされた。サトシみたいになるなとカスミに釘を刺された。
『そういえば、サトシに雰囲気が似てるなぁ』
サトシの名前が出た時に、タケシに言われた。アニメの主人公に似ていると言われるのは光栄だが、ミズカにはよくわからない。そうか? と首をかしげた。
「それじゃ、さようなら!」
ミズカ達は、ポケモンセンターを後にした。ミズカは歩きながら、何日、ポケモン世界にいるのか考える。今日で3日目だ。
「あ、そろそろ帰らなきゃ」
「え?」
「オーキド博士が向こうの世界でこっちに来ているのがバレないように滞在は3日までだって手紙くれたんだ」
忘れていた。この3日があっという間過ぎた。ミズカはリュックからガサゴソと手鏡を探しながら、前へ進む。手鏡をなかなか見つけられないでいると、カスミに肩を叩かれた。
「ん?」
「ミズカ、あれ」
カスミの視線を追いかけると、ミントグリーンの身体を纏ったポケモンが自分を見つめていた。チコリータである。
「チコリータ……」
ミズカはビックリした。目に前に別れたはずのチコリータがいる。チコリータは口角を上げると、ミズカの胸に飛び込んできた。ボトッとリュックが地面に落ちる。
「どうやら、チコリータはミズカにゲットされたいみたいだな」
タケシが言った。ミズカは目を見開きながら、ゆっくりチコリータを見つめる。
「そうなの? チコリータ……?」
「チッコー!!」
チコリータに確認する。チコリータは目を輝かせると、ミズカにしがみついた。ようやくミズカは、チコリータが自由を選んだことを理解する。それが自分のもとへ来ることだと言うことも。
これが、チコリータが選んだミズカとの在り方だった。ミズカはチコリータをぎゅっと抱きしめる。嬉しくて、胸がいっぱいだ。初めてのゲットだった。
「……よーし!」
「何かするのか?」
サトシが顔を覗かせる。ミズカはリュックを拾い、サトシ達の数歩先を歩くと、チコリータを掲げた。
「チコリータ! ゲットだぜ!!」
サトシがポケモンをゲットする時に言うセリフ。ミズカがずっと言いたかった言葉でもあった。まさか、サトシの前で言う機会があるとは思っていなかったが、ミズカは満足だった。
「あー、それ俺のセリフ……」
サトシは少し不満そうに口を尖らす。ミズカはいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「いいじゃん! ずっと言ってみたかったんだもん!!」
ミズカはそのまま逃げるように走っていく。
「ちょっと、待てよ!!」
サトシ達はミズカを追った。結局、彼女がもとの世界へ帰ったのは夕方頃だった。
「ミズカちゃん、無茶しないようにね!」
ペコリと頭を下げたミズカに、ジョーイは腰に手を当てて注意した。
「はい……」
ミズカは苦笑する。チコリータを守るためだった。が、それは他人からすれば無鉄砲と呼ばれる類のものだ。
昨日は滾々とカスミとタケシに危ない目に遭ったときの対処法を聞かされた。サトシみたいになるなとカスミに釘を刺された。
『そういえば、サトシに雰囲気が似てるなぁ』
サトシの名前が出た時に、タケシに言われた。アニメの主人公に似ていると言われるのは光栄だが、ミズカにはよくわからない。そうか? と首をかしげた。
「それじゃ、さようなら!」
ミズカ達は、ポケモンセンターを後にした。ミズカは歩きながら、何日、ポケモン世界にいるのか考える。今日で3日目だ。
「あ、そろそろ帰らなきゃ」
「え?」
「オーキド博士が向こうの世界でこっちに来ているのがバレないように滞在は3日までだって手紙くれたんだ」
忘れていた。この3日があっという間過ぎた。ミズカはリュックからガサゴソと手鏡を探しながら、前へ進む。手鏡をなかなか見つけられないでいると、カスミに肩を叩かれた。
「ん?」
「ミズカ、あれ」
カスミの視線を追いかけると、ミントグリーンの身体を纏ったポケモンが自分を見つめていた。チコリータである。
「チコリータ……」
ミズカはビックリした。目に前に別れたはずのチコリータがいる。チコリータは口角を上げると、ミズカの胸に飛び込んできた。ボトッとリュックが地面に落ちる。
「どうやら、チコリータはミズカにゲットされたいみたいだな」
タケシが言った。ミズカは目を見開きながら、ゆっくりチコリータを見つめる。
「そうなの? チコリータ……?」
「チッコー!!」
チコリータに確認する。チコリータは目を輝かせると、ミズカにしがみついた。ようやくミズカは、チコリータが自由を選んだことを理解する。それが自分のもとへ来ることだと言うことも。
これが、チコリータが選んだミズカとの在り方だった。ミズカはチコリータをぎゅっと抱きしめる。嬉しくて、胸がいっぱいだ。初めてのゲットだった。
「……よーし!」
「何かするのか?」
サトシが顔を覗かせる。ミズカはリュックを拾い、サトシ達の数歩先を歩くと、チコリータを掲げた。
「チコリータ! ゲットだぜ!!」
サトシがポケモンをゲットする時に言うセリフ。ミズカがずっと言いたかった言葉でもあった。まさか、サトシの前で言う機会があるとは思っていなかったが、ミズカは満足だった。
「あー、それ俺のセリフ……」
サトシは少し不満そうに口を尖らす。ミズカはいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「いいじゃん! ずっと言ってみたかったんだもん!!」
ミズカはそのまま逃げるように走っていく。
「ちょっと、待てよ!!」
サトシ達はミズカを追った。結局、彼女がもとの世界へ帰ったのは夕方頃だった。