最終章 別れのとき

「久しぶりのバトルだね」
「そうだな」

エーフィとピカチュウが戦うのに、二人は準備に屈伸を始める。

「やっぱり最後は、バトルなわけね……」

カスミは、寂しげに笑いながら呟いた。けれど、二人が久しぶりに向き合っているところを見て安心もしている。

「ミズカとサトシがバトルするところ、初めて観るかも!」
「どんなバトルなんだろう?」

ハルカとマサトは、楽しみらしくて目を輝かせた。

「あれ? シゲルとケンジは?」
「オーキド博士の手伝いがあるみたいだぞ」

ヒカリがキョロキョロ辺りを見回すと、タケシが答えた。彼女は、「へぇ」と呟くと少し微妙な表情を浮かべたが、やがて、元の表情に戻した。

今、シゲルとケンジが手伝うことは一つしかない。確実に、ミズカとの別れが近づいているのを感じずにはいられなかった。

「審判は……、いらないよね」
「あぁ、始めようぜ!」

バトルは審判抜きでやることになった。

「それじゃ、エーフィ、プレイバトル!!」
「フィ!」
「ピカチュウ、君に決めた!!」
「ピッカ!」

互いにエーフィとピカチュウを位置につかせる。


「俺からいくぜ! ピカチュウ、十万ボルト!」
「ピーカチューウ!」

まずはピカチュウがエーフィに十万ボルトを放った。

「スピードスターで向かい打って!」
「フィ~!」

十万ボルトとスピードスターがぶつかりあう。

「そのまま電光石火!」
「フィ!」

先に動いたのはエーフィだった。隙をつかれ、ピカチュウは攻撃を喰う。
10/19ページ
スキ