最終章 別れのとき

夕食後。少しの談笑のあと、寝る準備をした。みんな布団の中に潜る。しかし、「おやすみ」と言ったものの、誰一人として眠れるものなどいなかった。

ミズカは布団の上を見つめる。布団の上には、エーフィ、ピチュー、チコリータ、プラスルにマイナンと五匹もポケモンが乗っていて重い。隣にはミズカを囲むようにチルタリス、サーナイト、バシャーモ、レントラーが寝ていた。

「……フィフィ」
「ん? どうしたの?」

エーフィに話しかけられ、ミズカはゆっくりと起き上がった。

「チコ!」

チコリータがつるのムチで窓の外をさした。何かと思って、目を向ける。そこには青く綺麗なポケモン、スイクンが立っていた。

ミズカは驚いて飛び起きた。そして、勢いよく部屋を出て、庭に向かう。それをポケモン達も追いかける。

ミズカが慌てて外へ行くのを感じ取り、サトシたちも起き上がった。サトシが他の仲間たちも起きてきて、苦笑する。

「なんだ、皆起きてたのか」
「あんたが寝られないほどなんだから、皆起きてるわよ……」

サトシが言うと、カスミがツッコミを入れた。皆、少し呆れた表情である。

「ピカピ」

ピカチュウが窓の外を指差した。サトシ達は見る。それを見て納得した。スイクンがいるからだ。ミズカが走ってスイクンの元へきた。ミズカのポケモン達も一緒だ。


ミズカはスイクンが会いに来てくれたのだと思い、胸を弾ませていた。

「スイクン!」
『眠れぬようだな』

スイクンに言われ、ミズカは苦笑した。

「もうスイクンは知ってるんだね」
『あぁ』
「来てくれてありがとう。スイクン」

スイクンにお礼を言う。会えないと思っていた彼に会うことができて嬉しい。

「そういえば、スイクンはサトシとあたしのことを知っていたよね? 北風使いに関係してるの?」
『あぁ』
「てことは、なんでお父さんがあたしを殺そうとしたのかも知っているんじゃないの?」

そう聞くと、スイクンは少し目を逸らした。ミズカは首を傾げる。

『……北風使いには関係していることだけは話しておこう。しかし、解決していることに口を出すことはしない』

スイクンの言葉にミズカは、エーフィを見た。エーフィは自分よりずっと色々なことを知っていた。だから、ひょっとさしたらと思った。しかし、エーフィは肩を竦める。

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